マイケル・ジャクソンについての予言
朝日ニュースターで放送されている米国TV番組「デモクラシーNOW!」の11月第1週分をようやく見た。
後半が「マイケル・ジャクソン:キング・オブ・ポップの一生と彼が遺したもの」と題された回で、米国では6月30日、彼の死の直後に放送されたものである。
内容は彼について著書を出していた二人の研究者に話を聞くというものだった(その本は日本では出ていないもよう)。
番組の中で、M・ジャクソンは人種と性別を越える存在(それはある意味で「奇形」である)となったと述べられ、それに関連して、作家のジェイムズ・ボールドウィンがM・ジャクソンについて1985年に書いたエッセーが紹介された。極めて印象深い文章なので引用してみよう。
マイケルをめぐる耳障りな騒ぎは本人には関係がない。彼がそれに気付き、成功の報いで身を滅ぼす前に逃げることを祈る。そう簡単には許されまい。これほど権威をくつがえし、途方もない夢をかなえ、大金持になったのだから。
奇形(フリークス)とは奇形と呼ばれ、忌まわしきものとして扱われる。彼らの姿が人間の心の奥底に潜む恐怖と欲望を映し出すからだ。
1985年というのは彼の絶頂期ともいうべき時期だろう。その時にこのように将来を見通したかのような文章が書かれていたのは驚きである。
また、日本だとどうしても1980年代以降の活躍を中心に語られがちだが、街頭インタビューの市民たちは子どもの時から同世代の彼の歌を聞いてきたと答えていた。(となると、私の母の世代の美空ひばりみたいな存在なのか(?_?;)
5歳でスターとなった少年マイケルについて、番組内での指摘によると、彼は魅力にあふれ、大人の性的欲望の対象となったという。ファンの崇拝には、そのスター自身を餌食にしてしまうような面がある。特に対象が子供スターの場合は--。
果たしてこのようなショービジネスの世界が彼の人生に影響を与えたのだろうか。
正直、M・ジャクソンは私にとってヒットチャートの上位を長期間占めていたスターの一人という以上でも以下でもなかったが--もちろん「スリラー」や「バンド・エイド」のヴィデオはすり減るほど何回も見ましたよ(^^;)--色々と考えさせられた内容だった。。
なお、番組の前半は『ベルゲン・ベルゼンの日記 1944-45』という本を紹介したもの。ユーゴからドイツの強制収容所に収容されたユダヤ人女性が所内で密かに綴っていた日記である。
ジャーナリストである娘によると、母は収容所にいた時は希望を抱いていたが、生き延びて解放された後は外の世界に絶望して(パレスチナ弾圧やユーゴ解体など)何も文章で語ることはなくなってしまったという。なんたる皮肉だろうか……(v_v)
こちらの前半も興味深かった。
なお、再放送が15日の深夜1時(16日早朝)にもあるので、視聴可能で興味のある方はどうぞ。
| 固定リンク | 0
コメント