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2009年12月12日 (土)

歌劇「リナルド」:ツンデレ魔女の住む館

0901212
2007→2009ヘンデル・プロジェクト3
演奏:バッハ・コレギウム・ジャパン
会場:東京オペラシティ コンサートホール
2009年12月6日

正直に言おう、いや~楽しかったです \(^o^)/
エディンバラ音楽祭では好評だったという話だけれど、歌手や演奏者が半分は異なるし、実のところそもそも演奏会形式だということであまり期待していなかったのだ。
しかし、予想はいい意味で裏切られた

作品はヘンデル先生ロンドン初登場の『リナルド』。これで華々しくデビューを飾っちゃうもんね、ムフッ(*'∀')=3という気概が伝わって来る内容だ。
単純に言ってしまえば、十字軍を背景にした二組のカップル(タイトルロールの騎士リナルド×婚約者、イスラエル王×魔女)の四角関係の物語である。

この四人の中でダントツに目立っていたのがレイチェル・ニコルズの魔女だった。雷鳴を模したパーカッションの乱打を背景に登場する彼女はあまりにキョーレツで恐ろしく……どのぐらい恐ろしいかというと、会場のオペラシティの椅子がバタバタと一斉にドミノだおしに倒れて、床に投げ出された聴衆が「ひえ~{{(>_<)}}ガクブル、おねげえですだ、命ばかりはお助けをーっ」と手を合わせて拝みたくなるほどなのだ。
さらにこの魔女、敵方のリナルドと対面して最初は詰問モードだったのが、急に「あら、なかなかエエ男じゃないの」と気付いて俄かに態度を豹変させるツンデレ振りである。一転、恋する女に変身よ!--正直言って、R・ニコルズがこんなに芸達者とは全く想像もしていなかった。「れ、レイチェルたんの魔法にかけられたい(^Q^;)ハアハア」なファンが増えるは必定であろう。
カップルの相方イスラエル王役で、低音部を一人支えるバリトンの萩原潤ともどもお笑い担当面も冴えていて、会場を沸かせていた。

リナルド役のティム・ミードを始め、カウンターテナー・ガイジン組は3人も登場。『聖アレッシオ』とまでは行かないが、日本では滅多にお目に(お耳に)かかれない布陣である。3人とも高水準な歌を聞かせてくれて満足よ。加えて出番は少ないけど、プラス一人の日本人CT上杉さんも好調だった。
ヘッヘッヘッ( ̄∀ ̄)その、なんですな同じカウンターテナー聴くならやはり若くてイケメンはエエですのう、ヘッヘッヘッ(←恒例の下卑た笑い)

一方でワリを食ってしまったのが、リナルド&アルミレーナ(森麻季)組。特にティム・ミードの歌唱は文句ないんだけど、物語上のキャラクターとして今一つ煮え切らないというかハッキリしないというか面白さに欠けるのであった。
エディンバラでは別のカウンターテナーで拍手大喝采だったということなんで、そちらの方の配役でも聞いてみたいもんである。

BCJの演奏は上にも書いたようにパーカッション大活躍、かと思えば牧歌的な鳥笛も出現(パイプオルガンの横で吹いていたのは誰かと思ったら、伝令役のテノールの人だったもよう)。随所にメリハリも効いて、これなら「ヘンデルにしては地味」とか「大人し過ぎ」とか「詰まらない」などという文句も出ないだろう。
チェンバロは2台向かい合わせに置いてあって、鈴木(兄)はたまに弾きながら指揮していたが、ヘンデルが長いチェンバロ即興をかましたという第二幕最後のアリアでは鈴木(息子)優人が腕前披露した。「息子よ、後はまかせたぜい(^_-)b」というところか。
ファゴットが結構目立つ場面が何回かあって、当時優秀な奏者がいたのかしらん、などとも思った。

しばらく前のヘンデル・フェスティバル・ジャパンや今回のパンフによると、昔のバロック劇場では場面転換自体が聴衆を魅了する一大スペクタクルであったということである。この『リナルド』では恐ろしげな魔女の館や海辺やらのどかな庭園やら戦争やら--と場面が派手に変わり、さらにきれいなネーチャンのセイレーンや怪物や亡霊も登場して見せ場満載。そんな派手な舞台を一度は見てみたいとは思うが、今回のような形でも十分大満足であった。ヘンデル・イヤーも押し詰まって、こんな公演にめぐり合えたのは嬉しい限りだ。
私の近くの席に座っていた中年女性二人(森麻季のファンらしい)が休憩時間中に「こんな楽しい時間がずーっと続けばいいのにねえ」「ホントよね~」となどと会話を交わしていたが、まさにその通りだった。

文句を敢えてつけるとすれば、途中で場面が変わる時は字幕にト書きを出して欲しかったということ。けっきょく、パンフで確認する羽目になった。
それから演奏会形式では途中で歌手への拍手をどの程度したらいいのか(?_?)よく分からなかった。本当は第二幕の後半でR・ニコルズに拍手喝采したい雰囲気(←なぜか変換できる)だったが、次のチェンバロが始まってしまってできず。
第一幕が終わった後に急に空席が幾つも出来てしまって、これは一体どういうことかと思ったら、他のオペラ公演とかけもちしていた人が結構いたらしい。な、なるほど

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