「フルートの黄金時代」:黄金と百円皿
演奏:有田正広&千代子
会場:松明堂音楽ホール
2009年2月7日
有田正広が8本のフルートを駆使してルネサンス期から近代までの歴史をたどるコンサートである。
さぞ、ウンチク話を聞けるだろうと期待して行ったら、ステージに登場してすぐに解説が始まった。
「フルートの黄金時代」というのは実際にはバロック期と19世紀末だそうである。しかし、本当の意味での黄金時代はバロックしかないとのこと。それほどに、多くの優れたフルートのための曲が作られたのだ。
演奏は時代に沿って、ルネサンスフルートによるファン・エイク「笛の楽園」から。
次いで、1700年頃のモデルによるバロック・フルートでオトテールとボワモルチェとなった。
その後はロカテッリの予定だったが「急に吹くのがイヤになった」との理由でルクレールに変更。有田先生、そんなワガママな……(^o^; ここで使用されたのはまるでプラスチック製のように見える白い象牙製のもの。なんと、1730年頃にパリで作られたオリジナルで、世界でもこれ一本しか残っていないそうだ 有田先生っ!(^^)/(ハイっと手を上げて)保険金はいくらですかと聞きたくなった。
さらに、テレマン、そして最後まで時代の流れに逆らってキイなしのフルートを使い続けたというドヴィエンヌへと、それぞれ笛を代えて続いた。それぞれピッチが違うので、チェンバロと合わせるのが大変だったもよう。
休憩を挟んで19世紀へ突入だー。楽器もキイ付きフルートとピアノとなる。この頃になると、フルート曲はロクなのがなくて「一皿百円」(←先生談)状態だそうだ。で、J・ドンジョンという作曲家の曲を聴く。
次はドビュッシー、来たーッである。「パンの笛、またはシランクス」は芝居の中で牧神が吹いているという設定で使われたという。エコーを模した部分の入った極めて幻想的な曲である。実際にフランス語のセリフの朗読と共に演奏した時は、もっとゆっくり吹かないと合わなかったとのこと。
20世紀の作曲家フェルーに続き、ラストはラヴェルの「ハバネラ」でしめくくった。チューニングの関係でプログラムに記載されてない八本目のフルートを使用した。
アンコールはフォーレと????(名前が聞き取れなかった(^o^;)だった。この二曲目で有田夫人が譜めくりに失敗してしまい、もう一度同じ曲を再演奏したいと希望したらしいが、タイムアウトでできなかった。
しかし、譜めくりもうまく行かないと大変なんですなー。めくり方も練習するんだろか?見よ!この華麗なる譜めくりさばきをとか……。
とにかく、笛の歴史を心ゆくまで堪能できたコンサートで大満足であった。やはり、有田先生のウンチク話はないとさみしいのよ~。またお願いします。
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コメント
ドビュッシーの「パンとシランクス」は、9月にファン・ハウヴェ先生のリコーダーコンサートでも聴きましたね。そうか、ドビュッシーはピアノ曲ばっかり聴いてますが、笛の曲もなかなかなのね。
演奏会での譜めくりに関しては、やはり上手下手は、大変重要です。ピアノの師匠の譜めくりをさせてもらえるのは、いつも決まった弟子2人で、わたしにはお声がかかったことがありません。あるとき、師匠の先輩格の人が譜めくりしたんだけど、タイミングが微妙に合わなくて、見ているほうがひやひやしました。先輩だから、文句も言えないし、きっとこりごりだったろうと思います。
投稿: レイネ | 2010年2月14日 (日) 03時51分
有田、ハウヴェ両人それぞれの味わいがありましたなー。
譜めくりの世界も深いのですね。今度からよく観察してみよう(^-^;
投稿: さわやか革命 | 2010年2月17日 (水) 06時13分