NEC古楽レクチャー「BCJとバッハの教会カンタータ」:濃厚バッハ話の夜
結成20周年をむかえて
出演:鈴木雅明、江端伸昭&特別ゲスト
会場:東京オペラシティリサイタルホール
2010年3月15日
この古楽レクチャーに行くのも久方振り。前に行ったのは2005年ぐらいだろうか。これでシリーズ最終ということで、20年を振り返るような内容らしいので行ってみた。
だが、私は甘かった。懐古的に初期の公演から語る--なんて内容ではなく、そこで展開されたのはディープなバッハヲタ話であったよ(>O<)
まず、研究に伴って演奏も変化するということで近年のバッハ研究の動きをレクチャー。そして2008年、2009年の新発見について。特に歌詞本というのがあって、カンタータの歌詞を冊子にしたものを教会で配ったものがロシアで発見されたという話は熱が入っていた。実際に教会で演奏された曲が確認できる、なによりの証拠だとのこと。
レクチャーの相方は前回の定期公演プログラムに長文の論文を書いて、何も知らずプログラムを買った一般聴衆の目を白黒させた(@∀@)江端伸昭氏であった。
この人がまた鈴木雅明がウカツなことを言えば鋭くツッコミを入れ、かと思えば演奏の録音ディスクをかけるとウットリと目をつぶって聞き入るという、まさにバッハ ヲタク 愛好者の鑑のような人物である。
BCJの公演については初期の頃は年代順ではなかったとのこと。順序立ててやるようになったのは1995年からだそうだ。教会カンタータの終了は2012か13年になるらしい。
後半はファンサイト《VIVA! BCJ》を運営しているクネヒトさんが登場。さすが社会科の先生というところか、カンタータ演奏の変化の一覧表を作成(時間の余裕がなく一日で作ったとのことでオツ!であります)、合唱の人数などひと目で変化が分かるようになっていた。
全体の進行の仕切りもクネヒト氏がさりげなく助けていたようである。
印象に残った話は、カンタータの最後のコラールは教会で会衆も一緒に歌ったはずなので、当初は合唱が素人っぽく荒っぽい感じで歌うのもありと考えたが、とはいえ当時だってシロートの人々が本当にいきなりコラールを歌えたか怪しいということで、会衆歌のように歌うべきではないと確信したとのこと。
また、当時のオリジナル演奏を目指すと言っても、合唱の人数は実際の歌手の顔ぶれを見て決めざるを得ないとのことだった。
20年もの試行錯誤が色々とあって今のBCJがあるというのがよ~く分かりました。生演奏はなかったが色々とためになりました。教会カンタータは終わっても、あと20年ぐらいまだ頑張って下さい \(^o^)/
なおこのNECによる古楽レクチャーは今回で最終回とのこと。やはり不景気だからでしょうか……。
ところでアンケート用紙が配られて、「あなたがもう一度聴きたい、またはベストBCJカンタータは?」とか「ベスト演奏会は?」などという項目が並び、「休憩時間までに出して下さい」なんてあったけど、そんなの家帰ってCDやらプログラムひっくり返さなければ回答できないですよ~。で……あまり集まらなかったもよう(^=^;
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