「しあわせの隠れ場所」:一体これは現実なのか--見ていると不安になる作品
監督:ジョン・リー・ハンコック
出演:サンドラ・ブロック
米国2009年
苦労は分かるが、この邦題はやはり何とかして欲しかった(\_\;
オスカーがらみの映画としては『ハート・ロッカー』と並んで評価の分かれる作品である。裕福な白人一家が夜のドライブ中に、息子と同じ学校に通っているという以外に縁もゆかりもない黒人少年が雨の中を着のみ着のままで歩いているのを見かけて、車に乗せて連れ帰り、そのまま家で同居させてやる……。
何が驚くってこれが実話(!o!)だということだ。でなければ、こんなデタラメな話を書く脚本家は力の限りに罵倒されるだろう。
映画ファンとしては当然、車に乗せた少年が実は連続殺人鬼(→『ヒッチャー』)とか、家に入った途端にバットで主人を襲撃(→『ファニーゲームU.S.A.』)みたいな展開を想像するのだが、そうはならない。
しかし、見ている側としては実話と分かってはいても、「なんだか信じられん」感から逃れられずただボーッと事態を眺めるのみなのである。
露骨な感動盛り上げ路線を避けているのはいいけど、逆にそれが裏目に出てしまったのかも知れない。
少年を家に連れ帰ったヒロインについては、実物は相当にキョーレツな人物らしい。サンドラ・ブロックは自らの「隣りのおねーさん」の持ち味を生かして、「きっぷのいい奥さん」風に嫌味なく演じているが、むしろキョーレツなままなキャラクターの方が真実味というか説得力が出たかも知れない。
メリル・ストリープとオスカーの主演女優賞を競って、直前まで下馬評が分かれた揚げ句に彼女がゲットしたのだが、正直それに値する演技であるかは疑問である。人柄好感票とか「今回上げなければもう貰えないだろうし」票が集まったのかね(^^?
それにしても、奥様仲間から「同じ屋根の下に年頃の娘さんと一緒で大丈夫」と言われてタンカを切ったはいいが、後で心配になって(今さらのように)娘に尋ねてみるって……これもホントですか なんだかこれでは、ウッカリ奥さんだ。
それから実話と言っても少なくとも十年ぐらい前の話なのかと思ったら、最後に御本人たちのその後が登場する場面で、その時点で少年はようやく大学を卒業してフットボールのチームに入ったばかりなのが判明する。これまたビックリ。青田買いな話であるなあ。
まあ、S・ブロックのファンとアメフト・ファンにはにオススメと言っておこう(本物のコーチやらスカウトマンが多数登場してるらしい)。これも上映時間2時間以上。最近こんなのばっかだ
それから字幕を読んで何を意味しているのかどうもよく分からない場面が数か所あり。DVD発売時には改善されていることを祈る。
現実度:5点
トンデモ奥様度:7点
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