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2010年5月14日 (金)

「スキャンダルの世界史」

100514
著者:海野宏
文藝春秋2009年

以前、同じ著者の『ホモセクシャルの世界史』が面白くためになった(^^;ので、このスキャンダル編も読んでみることにした。

まずスキャンダルの定義--地位の高い人、偉い人が失敗、それも俗っぽい理由(「女」「金」など)で転落する様を、不特定多数の人々が覗き見て笑う、ということらしい。重要なのは観客がいなくては成り立たないということである。
同時にそれは、「他人の成功を見て感動したい」という欲求と背中合せのものなのである。
これを聞いて私はすぐタイカー・ウッズのスキャンダルを思い浮かべた。自らの力で栄冠を得たスポーツマンが一気に転落する。そしてそれをメディアが大々的に伝える。彼の浮沈こそがまさしく大衆の感動とスキャンダルへの欲求を示しているだろう。

この本では年代順に様々なスキャンダルを紹介していくが、最初はなんと古代ギリシアで神々のスキャンダルからだ。その後はローマ皇帝やリチャード三世……と、なんだか世界史の教科書のようなエピソードが紹介される。といっても、西欧の話ばかりなのが残念。中国・インドあたりも豊富ではないかとおもうが。
読んで行くと、後の小説や映画のネタにされたものも多い。「ふむふむ『冬のライオン』の背景はこれか」とか「『王妃マルゴ』ってこんな人物だったのか」などと思いつつ読み進めた。
まあヨーロッパの王室はスキャンダルの宝庫ということか。特に19世紀以降の英王室はすごいねー。別にダイアナ元皇太子妃が特別というわけではなかったのだ。

20世紀に入ると、ハリウッド・ゴシップも加わり、さらにメディアの発達もあって百花繚乱。数え切れないほどのスキャンダル乱発である。
音楽関係では『春の祭典』騒動が興味深かった。最近、映画でも描かれたらしいが、つかみ合いにまでなって大騒ぎだったらしい。裏を返せば、そこまで人を駆り立てる芸術とは大したものだということだろう。私もつかみ合いをしたくなるような作品にめぐり合ってみたいものだ

巻末にはちゃんと索引が付いているので、折りに触れてスキャンダルを確認することが可能。そのうち「日本編」「アジア編」などもお願いしたい。


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受信: 2010年5月25日 (火) 19時36分

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