« ラ・ガラッシア コンサート vol.3「私の贈り物」:まな板とたこ焼きに共通する楽器とは | トップページ | 「ヒストリエ」5・6巻 »

2010年5月30日 (日)

「アリス・イン・ワンダーランド」:自立の国のアリス

100530
監督:ティム・バートン
出演:ミア・ワシコウスカ
米国2010年

御歳19歳のアリスちゃんは美しい金髪に透き通るような白い肌の可愛い娘さん……でも、ちょーっと待った この時代の英国のお嬢様だったら、19歳は結婚適齢期のど真ん中。これ以上遅れたら大変なことですわ。
でも、周囲を見まわしても幸福そうな結婚はありません。不実な男を掴んじゃったら、姉の夫のように陰で浮気されちゃう。自分の母は父という理想の男を見付けたけど、先立たれたら夫の夢も引き継げず友人に売り渡すしかできないのです。そんなのイヤー(>O<)
かと思えば、理想の王子様を待ち続けた揚げ句に、行かず後家の叔母さんみたいになるのもイヤイヤ(;_;)(;_;)

ところが、折あしくと言うのでしょうか。家柄と金はあるけれど超キモ男が求婚して来たじゃありませんか(!o!) さーて、どうするよ、アリス
追い詰められ逃走した彼女は樹の根元の穴に転げ落ち……てな展開ですわね。

とはいえ、彼女はもう純真な幼女じゃないんですから、地下の奇想天外なキャラクターや事象を無邪気に受け入れるわけには行きません。ほら、悩むお年頃ですもの。

地下の国では大頭の独裁者・赤の女王と美しくて聡明な白の女王が争ってるんですけど、アリスはその独裁者を倒す救世主--なんて予言されちゃってるんです。でも、いきなりそんな予言されても「聞いてねえよ~」状態ですわよね。唯一頼れそうな帽子屋は過去の戦いのPTSD状態だし、いかにも訳分かってそうな青い芋虫はケムにまくだけだし。わたくしだったら、容赦なく靴で踏ん潰してやるところでしてよ。
大体にして善玉風の白の女王だってかなりの怪しさですこと。「あなたが自由に決めていいのよー(*^-^*)」なんて言いながら、なにげにアリスへ圧力かけているじゃありませんの。
わたくしも「白の女王・影の悪玉説」に一票ですわ。

それに比べて、赤の女王に何がしかの同情を感じてしまうのは、致し方ないことじゃありません? きっといつも美しい妹に比べられて「女王の資格がない」とか言われて、周囲にはおべっか使いばかり、誠実な男にも恵まれず……彼女の末路には、わたくし思わず涙してしまいましたわ(T-T)クーッ これも近ごろ中年オバサン度が増して来たせいかしら。

地上に戻ってからのアリスについては何と申し上げたらよいのやら。これって時代を考えると「自立する女は資本帝国主義の先兵たれ」ってことですわよね わたくしの穿ち過ぎかしらん。
でも、現代は不況の世の中。今だったら冒険など考えずに「多少のキモヲタであっても目をつぶり経済力のある男と結婚すること」--オバハンの心からの忠告でしてよ。

あっと、肝心なことを書くのを忘れてました。
ヴィジュアル面では正直なところ、ティム・バートンにしてはパンチo(--;)/Θが足りな~い。3Dで見たせいか画面は薄暗いし、画面の真ん中から色々と立体で飛んでくるのは先端恐怖症の人には耐えられないかも。次からは昔ながらの2D字幕版に戻ろうかなんて考えてますの。
良かったのは、お城の堀(?)を死人の顔みたいのを踏んで行くところ。ああいう不気味な場面がもっとあればよろしかったのに。ちょっと不満ですわ。まあディズニー映画じゃ仕方ないかも。
もっとも、自分のヨメにヒステリックで醜悪な女王をやらせる、なんてのはバートン監督ぐらいなものかしら。ヘレナ・ポナム=カーターも嬉々として演じてましたわね。結論は、この夫にしてこのヨメあり--というところでしょうか。


赤の女王度:8点
白の女王度:6点


| |

« ラ・ガラッシア コンサート vol.3「私の贈り物」:まな板とたこ焼きに共通する楽器とは | トップページ | 「ヒストリエ」5・6巻 »

コメント

私も観に行きました! 『アリス・イン・ワンダーランド』。 さわやか革命さんの感想を楽しみにしていたので、嬉しいです。 赤の女王、監督の奥様だったんですね!? お、おかしな夫婦だなあ…私は同監督の作品は初鑑賞だったのですが、直前に観たシュヴァンクマイエルの『アリス』の方が原作の世界観を忠実に映像に反映しているような気がいたしました。 胡散臭い赤の女王よりも赤の女王の方が人間的にシンパシーを抱きました。 いつも妹ばかりチヤホヤされて、という下りにほろりとさせられたり。 クレジットで、アリスよりも先に帽子屋が来るのに、アリスの話じゃないんかい! と腑に落ちなかったです。 周囲の人も大抵観ていたので、よく話のタネになりましたが、全員に共通して『目が疲れた』と…、私はメガネの上に3Dメガネをかけたせいかと思いましたが、3Dも良し悪しですねえ。

投稿: かみや | 2010年6月12日 (土) 07時54分

コメントありがとうです(^^)
映画のクレジットの順番は、役柄よりは役者のランクで決まるので、この場合は帽子屋のJ・デップが一番頭に来るのは順当でしょう。
アリス役は映画初出演の新人さんなんで「特別枠」になるわけです。
過去に、この順番でトラブルが起こったことは数知れず……「なんで、オレよりあいつの方が上なんだ!」みたいな感じですかね。

バートン監督作なら--人によっておすすめ作は色々でしょうが--やはり『シザーハンズ』かな。

投稿: さわやか革命 | 2010年6月12日 (土) 13時22分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「アリス・イン・ワンダーランド」:自立の国のアリス:

» アリス・イン・ワンダーランド [☆彡映画鑑賞日記☆彡]
 『アリス、戦う─ワンダーランドの運命を賭けて。』  コチラの「アリス・イン・ワンダーランド」は、ルイス・キャロルの「不思議な国のアリス」と「鏡の国のアリス」をベースに、その後のアリス(ミア・ワシコウスカ)の冒険を描いた4/17公開のアドベンチャー・ファンタ....... [続きを読む]

受信: 2010年5月30日 (日) 14時04分

» アリス・イン・ワンダーランド(5/22) [庭は夏の日ざかり]
【2010年5月22日(土) 15:45~ 品川プリンスシネマ】 よく、ドラクエは「大人が子どもの心に戻るための作品」、FFは「子どもが大人に背伸びするための作品」みたいな表現を目にする。 ことの正否は判断しかねるけども、個人的にはなるほどうまいことを言うなあと思っていて、今でもドラクエに抑制の美学を感じたりするわけです。 「アリス・イン・ワンダーランド」は、その分類に則れば、ドラクエ型の作品だったと思う。 ストーリーは淡白の極み。『不思議の国』と『鏡の国』を控えめに混ぜ合わせて... [続きを読む]

受信: 2010年6月 2日 (水) 23時02分

» 観ました、「アリス・イン・ワンダーランド」 [オヨメ千感ヤマト]
21世紀には「不思議の国のアリス」はこうなった。以下ネタバレあります。 不思議体 [続きを読む]

受信: 2010年6月 4日 (金) 08時43分

» アリス・イン・ワンダーランド【3D】 [Addict allcinema おすすめ映画レビュー]
世界はもう、マトモではいられない…。 [続きを読む]

受信: 2010年6月 6日 (日) 19時02分

» 『アリス・イン・ワンダーランド』が挑戦したものは? [映画のブログ]
 意外や、面白い映画だった。  なんて云うと、お叱りを受けそうだが、ティム・バートンやテリー・ギリアムの作品は下手に期待するとはぐら... [続きを読む]

受信: 2010年7月10日 (土) 07時54分

» アリス・イン・ワンダーランド [★★むらの映画鑑賞メモ★★]
作品情報 タイトル:アリス・イン・ワンダーランド 制作:2010年・アメリカ 監督:ティム・バートン 出演:ミア・ワシコウスカ、ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アン・ハサウェイほか あらすじ:不思議の国の冒険から13年後。19歳に成長したアリスは、母親に勧められ富豪たちが集まる席で婚約を発表することになっていたが、彼女は自分にはまだ早すぎると半ば困惑していた。そんな時彼女の前に白ウサギが現れ、彼を追いかけ穴に落ちた彼女は再び不思議の世界へ飛び込むことになる。しかし、そこは赤の女王に支配さ... [続きを読む]

受信: 2010年8月 3日 (火) 18時08分

» 『アリス・イン・ワンダーランド』'10・米 [虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映...]
あらすじ19歳のアリス・キングスレーは、ある日チョッキを着た不思議な白うさぎを追いかけているうちに誤ってうさぎの穴に落ちてしまう。その地下に広がっていたのは、アンダーラ... [続きを読む]

受信: 2010年12月 4日 (土) 20時12分

« ラ・ガラッシア コンサート vol.3「私の贈り物」:まな板とたこ焼きに共通する楽器とは | トップページ | 「ヒストリエ」5・6巻 »