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2010年6月 8日 (火)

「フラ・ディアーヴォロ~魔術とも薬ともなった歌と音」:快僧不調なれどドラム爆発す

100608
演奏:アッコルドーネ
会場:王子ホール
2010年6月4日

ロンドン・バロックに行き損なって涙を呑んではや3週間、今度はやはりウンか月前から待ってましたのアッコルドーネである。二度と失敗を繰り返してはならぬと鎮痛剤に花粉アレルギーの予防薬、のど飴等をしっかり準備して、体調万全で望んだのであった。

だが……調子が悪かったのは私ではなく、マルコ・ビーズリーの方だった(>O<)
もう、一声聞いた途端に「あっ、調子悪そ~」と分かってしまうぐらい。彼は途中で咳したり、曲の合間に寒暖の差が大きいこの気候で喉をやられたなどと喋った。
さらに、喉を休めるためかプログラムに載ってない器楽曲を前半と後半に一曲ずつ入れて、舞台から引っ込んだりもしていた。
なんか声の艶や張りが全くないし、声量も出ないみたい。元々声のデカさで聞かせる人ではないが、時によっては楽器に埋もれてしまうような印象を受けてしまった。
前回の公演の時はいかに絶好調だったかを改めて実感した次第である。

今回は南イタリアで採取された伝統歌や民族音楽が中心ということで、グイード・モリーニの鍵盤、撥弦楽器三兄弟(リュート、テオルボ、バロックギター)は前回と同じだが、まだ二十代という若手のパーカショニストが新たに加わっていた。

このマウロ・ドゥランテという奏者がド迫力であった。前半に即興的なソロ曲をやったのだが、タンバリンのひと回りデカイ奴(フレーム・ドラムというそうな。全く知らんかったです(^^ゞ)を一個使って、まるでバンドのドラムセット一組分と同じくらいの音量と多彩な音色・高低を生み出すのであった。別に大袈裟に言ってるわけではないっ(キッパリ)。
さらに「モンテヴェルジネに捧げる歌」では冒頭フレーム・ドラムを叩きながら歌も披露。それに他のメンバーが加わっていくのだが、これがまた呪術的にして野蛮極まりないサウンドで、聞いてて感動のあまり背筋がゾゾーっとしてしまったぐらい。
これまで、どうも古楽+民族音楽系の演奏というと満足を感じるものは少なかったが、これは赤ペンで花マル印を付けたいぐらいであった。

G・モリーニは民謡系の曲になるとオルガンの低音部分を文字通りブイブイ弾きまくり、撥弦三兄弟オヤヂ達は互いに目くばせしながら、息の合ったところを見せ(聞かせ)つけていた。

後半では「タランテッラ」や前回でも印象的だった革命歌の「高らかに打ち鳴らせ」もやった。終曲はバロックギターのS・ロッコを皆で囲んでビーズリーが歌い、他のメンツがハミングを付けるという形の「馬車引きの歌」。ギターは一風変わった短いフレーズを繰り返し、それに乗ってビーズリーはまるで牛追いならぬ「馬追い」のかけ声のような歌を歌う。農民たちが恐らくは作業の帰りに歌ったのだろうか。夕暮れの寂しい道を思わせるような曲だった。

アンコールに至っては、なんとマウロ氏が弦楽器をもって現われ--一瞬フィドルかと勘違い、実は特殊なヴァイオリンとのこと--弾きまくったかと思ったらついでに弾き歌いまでしちゃってくれたのであった。これには仰天よ
いや、参りました(@_@)

とはいえマルコの体調が悪かったせいか、はたまた王子ホールの聴衆の拍手が足りなかったせいか、アンコールは1曲だけで終了であった。もっと聞きたかったぞ(T_T)
彼の声の調子が良かったらな~、文句はなかったのだが。

実は翌日の三鷹公演のチケットも入手していたのだが、なんとこういう時に限って土曜出勤の日が重なってしまい、無駄にしたのであった。でも、翌日の方が調子が上だったようで……くやし~いっ(*`ε´*)ノ☆
また絶好調の時に来日を望む。

【関連リンク】
やはりブログ検索しても記事が減っておりますねえ。
《チェンバロ漫遊日記》
三鷹公演の様子。アンコール2曲やったんだ……。

《Pavane~リュートとギターに囲まれて》
こちらは兵庫公演。


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