「バロック室内楽の夕べ」:タイトル地味でも音楽は錦
今月行く予定だったコンサートはアッコルドーネとこのコンサートのみ。ああ(=_=;)それなのに、そういう時に限って出張が重なるんだよなー。
しかし、用事は予定より早く終わり、それは良かったが、俄にどっと疲労感で眠さがのしかかる。家に直行してしまおうかと思ったが、それでは今月のコンサートは一回だけになってしまうではないか。そんなのはイヤだー
ということで、気力体力にムチ打って行きましたよ、近江楽堂。雨だったけど地下から直行なのはエエですのう \(^o^)/ でも関節痛がまだ続行中で、肩と腕が痛くて吊り革につかまれないのは、ラッシュ時には致命的であった。
さて、このコンサートのタイトルは「バロック室内楽の夕べ」……ってなんのヒネリもないなあ。他に付けようがなかったんかいなどと思ってしまうのは仕方なかろう。
しかも5人のアンサンブルはグループ名もなく、リコーダーが安井敬(確かケルト系の音楽もやってたような)、ヴァイオリンは高田あづみ&竹嶋祐子、ガンバ福沢宏にチェンバロが副嶋恭子というメンツである。
曲目も冒頭のJ・C・ノード以外はヴィヴァルディ、スカルラッティ、ヘンデル、テレマンとよく知られた作曲家多数だ(デュパールも?)。リコーダーを中心としたアンサンブル曲がほとんどだけど、タイトル同様あまり意外性は期待できない印象である。
だが……それは大いなる誤解であった。すいませんm(_ _)m
ノードの曲はバロックと古典派の中間ぐらいで、いかにもその時代らしい明晰さが感じられた。デュパールで通奏低音をバックに安井氏がソロの腕前を披露した後は、再び5人で華やかでいかにもヴィヴァルディな協奏曲が演奏された。
それよりも一世代前のスカルラッティの協奏曲となると同じ華やかさでもバロック的なある種の「地味」さが濃厚である。途中の楽章で高田女史と安井氏だけのかけ合いが入るのが新鮮だった。
最後はテレマンだったが、その間に入ったヴァイオリン2本と通奏低音によるヘンデルのトリオソナタがこれまた素晴らしかった。CDなどで何度も聴いている曲にも関わらず、早いテンポの楽章のストレートな鮮烈さに感動した。一方、アダージョでは二本の弦のかけ合いをしみじみと味わった。それでなぜか涙目になってしまったほどだ。
高田&竹嶋ペア、グッジョブと会場内は拍手喝采となった。
それにつけても、コンサートに行くのだって健康でなければ会場にたどり着けぬ。間近で弾く福沢氏のガンバの低音弦の響きが直接身体に伝わってくるのを感じた時、生音を聴ける喜びをまたもシミジミシミジミと味わったのであったよ。
あともう一つ、今回のプログラムではリコーダー奏者の見せ場(聴かせ場)が多い曲が大半であった。だが、果たしてそれが聴衆にとっては聴いてて快の方向へと常に感じられるのか--という疑問が、アンコールの伸びやかなボワモルティエの曲を聞いてて浮かび上がってきたのもまた事実である。
行く前に時間が少しあったので寄った某HMVで、間違って買ったCDを返品しようとした中年男性が、現金は返って来ないと知った途端に居直ってイチャモン付け始めたのを目撃。「こっちは謝ったのになんだ」とか言われてもねえ……。「キレる中年」てヤツですか(@∀@)
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