「死者の名を読み上げよ」
著者:イアン・ランキン
早川書房(ハヤカワ・ミステリ)2010年
様々な判型で出版されてきたイアン・ランキンの「リーバス警部シリーズ」。今回はポケミスに復活だー。
でも相変わらず厚くて重い。しかも二段組だ。老眼にはキツイのう(+_+)
しかし厚いのも道理、全体は4章に分かれ(なぜか目次がないのだが)、それも「サイド・ワン」から「サイド・フォー」と銘打たれ各章にそれぞれタイトルが付けられている。こりゃ昔のLPレコード二枚組を模しているようだ。頑丈なジャケットに包まれた、あのドッシリ重たいぞ感が甦るではないか(オバハンオヂサン限定)。
舞台はスコットランド・エジンバラ。2005年7月の今、激動の一週間を迎えつつある。G8主要国首脳会議が開催されるため、政治家はもちろん財界人、全世界よりデモ隊が押し寄せ、チャリティ・コンサートが行われる。市内は交通規制だらけ、警官は総動員。殺人の一件二件起ころうと構っちゃいられないのである。
しかし、それを構っちゃうのがリーバス警部だいっ
というわけで、団塊世代で「頑固爺」化しつつあるリーバスが、娘ほどの年齢差の相棒シボーンと共に各所に出没しては荒らしまくるのであった。なんとブッシュ大統領が自転車に乗って警備の警官に激突した場面まで目撃しちゃう。
それだけではない、この一週間にはロンドンでのオリンピック開催が決定し、その翌日に地下鉄で同時多発爆弾テロが勃発という英国全体にとっての激動の時でもあった。
作者が直接体験したのか、エジンバラの狂騒的ともいえる恐ろしい状況の描写はド迫力である。それだけでも読む価値はあるといえるが、だが肝心の事件となると、果たしてそんな犯罪が実行可能なのか? そして、実行されたとしてそれを後から解明するなんてことが可能なのか?--なんて疑問が浮かんでしまうのであった。
でも、ここまでこのシリーズを読み続けてきた愛読者ならそんな事は気にしない 作者もきっと気にしてないだろう(火暴)
ところで、ランキンは米国製ドラマの「ロー&オーダーSVU 性犯罪捜査班」を見ているのだろうか。作中に番組の名が出てくるし、事件の一部の元ネタとして使っているようだ。
最近は海外製ミステリもあまり売れず、シリーズ物の続巻が出るかどうかはひとえに新巻の売り上げにかかっているという。ということで、これもブ●クオフで買ったり図書館で借りたりせず、新品を書店で購入してくれい。頼む(^人^)
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