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2010年7月 3日 (土)

「ひねもすハトちゃん」

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著者:久世番子
新書館2010年

主人公は鳩山さんという女子中学生。友人は少なく、地味過ぎるので男子による女子ランキングではそもそもエントリーさえされなかったという女の子である。
でも、絵を描くのが大好きで、前世は「戦国時代、国の興亡を占った巫女」だと信じているヲタク系でもある。

クラス内の女子グループ、球技大会のドッジボール、苗字でなくて名前で生徒を呼ぶ教師など、多くの人が自分の中学時代に必ず幾つか思い当たるようなエピソードが登場する。ついでに言えば、女子だけでなく男子の立場から見た話も登場する。

転校する子に贈る色紙に書く言葉に悩む話は特に面白い。鳩山さんは親しくないので悩むのだが、一番仲よい(とみんなに思われている)子も言葉が見つからないのだ。分かるよその気持ち。
なんとなく、思い出したくない中学時代がモーローと目の前に浮かび上がってくるのであった。
ここで、正直に言おう。もし私が世界征服をして独裁者となったら、この地球上から全てのドッジボールを抹殺してやる~ あー、思い出すのもイヤっ(>y<;)

面白いのは、鳩山さんの喋る言葉が吹きだしに入ったセリフとしては一つもないことである。そして彼女の心理は地の文章で説明されているのだ。これは鳩山さんの地味かつ複雑なコミュニケーションを表現しているのであろうか。

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このマンガの裏版というか、実は作者自身がかなり反映されていたのか--というのがよくわかるのが、
私の血はインクでできているのよ」(講談社2009年)
であろう。

小学生の時から絵が大好きで美術部に所属し、マンガ家を目指して一直線であった作者のヲタク女子としての姿が赤裸々に回想されている。それにしても過去の同人作品どころか、自分が「初めて描いた少女マンガ絵」(小学生時代)なんてまで公開しているのは恐れ入る。
でも、禁断の「大鏡」超訳マンガ「花山院の出家」--どんなんだか見てみたい(恐いもの見たさ)

「宇宙皇子」に熱狂したエピソードが出てくるが、当時確かにエラい人気だった。もう昔の話であーる(遠いまなざし)……


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