
演奏:カテリーナ古楽合奏団
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
2010年7月27日
美術館の展示室内で、その作品が描かれた当時の音楽を聴くというのはありそうで実は滅多にない。今回それが聴けるというので行ってみた。
ピーテル・ブリューゲルというと、16世紀半ばの庶民の暮らしや子どもを描いた絵画が人気だが、これは版画だけを集めた展覧会。「バベルの塔」など、絵画と同じものを版画版にしたものもある。また同時期の画家や後輩の作品も多かった。
面白いのはやはり七つの大罪を描いた連作だろう。醜悪な人間の行為に変な怪物たちが隅から隅まで跋扈していて、滑稽で笑える。細かいんでちょっと見ただけではとても把握し切れない。これは時間をかけてじっくり眺めたいもんである。
それに比べると七つの徳を描いた作品は、言ったらナンだけど真面目な題材だから面白さには欠ける。やっぱり悪事の方が描き甲斐があるんかのう。
その他、ことわざシリーズや教訓もの、聖書の場面、民衆の生活を描いたものなどあり。船を描いた作品がかなりあるのでどういうことかと思ったら、当時の「鉄ヲタ」ならぬ「船ヲタ」向けに販売したらしい。いつの世もいるんですねえ……
一方、教室の光景やスケートをしている人々の姿は、現在と全く変わりない(^o^;
入場する時に入口で人がワサワサしているので驚いたが、運悪くテレビ番組の収録と重なってしまったらしい。おかげで、中に入ってからも見ていてうるさくてたまらなかった。周囲にはスタッフらしい人間が何人もボーッと立ってるし。
グッズ売り場では物欲がムラムラと湧き出て、「大きな魚は小さな魚を食う」(日本の「弱肉強食」の意味になるとか)の大型カードを買って、職場に教訓として飾ることにした。
閉館時間ギリギリに外へ出て、また入口に並び直す。今度は展示室での50人(?)限定コンサートである。ほとんど、告知されてなかったようなので、客は身内が多かったようだ。
ちょうど「大きな魚は小さな魚を食う」がある部屋に椅子が並べられコンサート開始。カテリーナ古楽合奏団四人が演奏しながら入場してきた。
使用楽器は、ガンバ、リュートなどおなじみのものから、バグパイプ、ハーディ・ガーディ、クルムホルン、角笛そのまんまみたいなゲムスホルンまで。これらの楽器は、ブリューゲルの時代には既に古いものと見なされていたらしい。曲は当時の舞曲を中心に演奏された。
バクパイプ奏者の一人はジョングルール・ボン・ミュジシャンのリーダーの近藤治夫だった。
展示されている版画と同じく、粗野にして活気ある音楽が響き渡った--と言いたいところだが、美術館自体は極めてモダンな空間であり、版画自体も小さくてみんな額に入っているものだから、予想に反して当時の空気を満喫
という訳ではなかった。これは正直、意外よ。演奏自体は、人形劇ならぬ「クルムホルン劇」やら、客の若い女の子たちに踊らせたりして楽しかったけど。

30分強の演奏が終わった後は、なんと貸し切り状態で作品鑑賞タイムが設けられていた
こいつは豪勢だいっ。これなら事前にチケット買って見なくても良かったのに~と思ったが、いくら客が少なくても全作品を40分ぐらいで鑑賞するのは無理だったろう。
ちゃんとグッズ売り場も開いていて、またも物欲追加で買ってしまった(+_+)トホホ
美術館に入る前に東急本店の上の階にあったウェッジウッドのティールームで休憩しようとしたら、なんと無くなっていた。また一つ、お気にの喫茶店が~(´・ω・`)ショボーン