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2010年8月22日 (日)

副業でいい加減だと本業も……

CS放送の朝日ニュースターでやっている「宮崎哲弥のトーキング・ヘッズ」のゲストに国際政治学者の藤原帰一が出演していた。毎週、様々なゲストが出て宮崎哲弥が話を聞くという番組である。
この日は、藤原帰一の本業の国際政治の話ではなく映画がテーマだった。「アエラ」に連載している映画評はたまに読んでいたので見てみた。

内容は今年に公開された洋画を中心にテーマ別に解説していくものだったが、結論めいたこととして、マイノリティや多文化を扱った作品は米国以外の国でもウケるが(『第9地区』『アバター』など)、911以降の米国の内情を反映したようなもの(『ダークナイト』『ハートロッカー』)は他国では受け入れられないというのだ。で、その証拠として『ダークナイト』は米国内では記録的な興行成績を上げたが、米国以外では全くダメだったとしていた。

ここで、私は大きな疑問を感じた。「あれっ(?_?;『ダークナイト』は米国以外ではウケなかった--のではなくて、日本でだけウケなかったのではなかったっけ?」
西欧圏だけではなく、アジアでも確か韓国ではヒットしたという記憶がある。

こういう時はさすがネット社会。昔だったら図書館に行って年鑑やら統計をひっくり返さなければ確認できないが、今ならあっという間に確認できてしまうのだよね~。
すると出てましたよ、ここに
ご覧のとおり、この年の米国以外の興行成績は一位が『インディ・ジョーンズ』で二位が僅差で『ダークナイト』となっている。つまり、「米国以外の国ではウケなかった」という藤原帰一の話はウソだったことになる。

恐らく、「米国の内向きの実情を描いた作品は他国では人気がない」という結論が先にありきだったのだろう。いや、それとも彼の言う「世界」とは「日本」だけのことなのだろうか。国際政治が専門なのにさ。

副業でこんないい加減なことを言っていると、本業の方の発言だって怪しく思えてしまう。本業の話も眉にツバ付けて聞くしかないかもね。

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コメント

番組をご覧いただきまして誠にありがとうございます。また、『ダークナイト』の韓国における興行成績についてご教示をいただきましてありがとうございました。
さて、『ダークナイト』、確かに日本の興収が著しく低く、また韓国ではそれなりの興行成績を収めているのもご指摘の通りですが、やはり海外興収がハリウッド大作としては低調だったといってよろしいかと思います。海外興収は全体の47%弱、これは『アバター』の73%弱、『タイタニック』の67%強に比べると20ポイント以上の差がついています(出所はBox office Mojo http://boxofficemojo.com/movies/?id=darkknight.htmです)。最大の理由は香港以外の中国では公開されなかったことですが、他の作品と比べた場合、最近では海外興収のかなりをあげるロシアが低く、フランスとドイツもイギリスに比べると低調が目立ちます。
さすがにテレビ放送の際には資料を確認しましたが、ほかにもミスを犯しているかと思います。繰り返しながらご指摘に感謝します。

投稿: 藤原帰一 | 2010年8月22日 (日) 15時54分

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