「借りぐらしのアリエッティ」:家政婦は見た!小人の家族と家族なき人間を
監督:米林宏昌
声の出演:志田未来、神木隆之介
日本2010年
ジブリ・アニメは「ポニョ」も見てなくてご無沙汰です。この作品も全く期待してませんでしたが、それが却ってよかったのでしょうか。結構楽しめたのは意外でした。
舞台は日本、都市郊外の緑の多い高台のお屋敷に、小人の一家が住んでおります。名前はなぜかカタカナなんですけど……海外からの移民かしらん、なんて余計なことをよい子は考えちゃいけませんよ。
ある日、その家の主の孫の少年がやってきます。この子が実に礼儀正しいキチンとした子で、今時のニキビ面の腰パン中学生なんかとは大違い! でも、それによって小人一家の生活は変わることを余儀なくされるのでした。
身長十数センチ?の小さい人たちの生活が実に丁寧に描かれています。人間の小物を「借りて」きては様々に使っている様子は感心するばかり。百円ショップでなんでも買ってきちゃう現代都市住人には新鮮な、素朴な手作り感にあふれています。
また、お屋敷の庭はさながら異世界の密林のよう。ヒロインの少女アリエッティが蔦を上ったり草をかき分ける場面を始め、ダンゴムシと遊んでいる所は王蟲の幼虫みたい--なんて『ナウシカ』を連想してしまいました。そういや太ったネコは王蟲の成虫か
かと思えば、人間の生活音は無駄にデカくて野蛮。とても脅威です。
さて、アリエッティは思春期らしく感情の起伏はあれど素直な女の子なんですが、一方、人間の少年翔はその礼儀正しい美少年のイメージとはうらはらに、内部に虚無と暴力性を抱え込んでいたのでした。一体、そんな事誰が想像したでしょうか? きゃ~っ、恐ろしい……つーか、何考えてんのかわかんねー。病気のせい(?_?)それとも両親に構ってもらえないから(?_?;
何の説明もなく唐突に出てくるんでビックリです。作品内最大の衝撃ポイントですね。異種族の少女の気持ちは分かるのに、同じ人間の方は理解できないとはこれ如何に
まあ、でも仕方ないでしょう。だってなんにも説明されてないんですから。
それはこの作品だけの事に限りません。最近のハリウッド映画を見ていても似たようなことを感じてしまいます。壮大なヴィジョンや特異な世界観を示せても、説得力ある描写はできないようです(する気がない?)。
ヴィジュアルの技術は進み、才能ある人材は多数出てきても、昔ながらの脚本を作り上げていくシステムは失われてしまったからでしょうか? よく分かりません(>_<)
それは別にしても、私にとってこの作品の問題は、厳格な父、世話焼きでそそっかしい母親、健気な少女、病弱な美少年、美しいお屋敷……等々の全てが、現在の私自身のどこにもなんにも関わる部分がないことです。まさしくこれは遠い世界のファンタジーなのでしょうか
だから、見てても「少年の部屋の枕カバーや壁紙の模様がステキ(^^)」とか「切手を額に入れて飾ってる~」「●キ◎リはあんな生易しくねーぞ」「ハルさんて樹木希林に当て書きしたのか」なんて部分に気を取られちゃうのでした。
あ、それからサウンドデザインがとてもよく出来ていて感心したことを付け加えておきます。
映画館には小さい子どももかなりいましたけど、内容からして小学校中学年以上じゃないと無理無理 ポケモンの方がいいでしょう。
あとはガーデニングやハーブに興味あるオバサン&娘さんに推奨ですかね。アリエッティたんにハアハア(^Q^;)したい男性は……知るかっ(*`ε´*)ノ☆そんなもん。
さわやか度:8点
共感度:5点
【関連リンク】
《忘形人形 - forget me or die -》
中で引用されている「美術品の趣」に思わずナットクです。
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