結城座「浮世の奈落 黙阿MIX」:政権変われど何も変らず--っていつの時代の話だ?
作・演出:斎藤憐
会場:東京芸術劇場小ホール
2010年10月7日~11日
糸あやつり人形芝居の結城座、今回の演目は狂言作者の河竹黙阿弥を取り上げた。
黙阿弥について自前学習しとけばよかったんだけど、ほとんど無知のまま突入してしまった 彼は江戸幕府から明治政府へと社会体制の大転換期を実作者として創作し続けた人物である。
前半では彼の狂言のダイジェストが人形や写し絵(宇野亜喜良の原画)で紹介される。いかにもな悪漢ではなく、小心者の一市民がころっと悪事に走ってしまうというのがその特色とのこと。
後半は作家としての半生を、お上からのイチャモンとの苦闘、西洋芝居の流入などのエピソードで描く。
時代が江戸であっても明治であっても、作品の内容に干渉して来るのは変らない。もっと道徳的な話にしろとか、お上への批判だろう、とか。体制が変わってもいつでも同じである。権力はどれであれ変らずってことか。。
そのような激動の時代を作家として生きぬいたという黙阿弥の人生には感銘を受けたが、いかんせん芝居全体的にエピソードを羅列した感じで盛り上がりに欠けたのが難である。
黙阿弥は非常なネコ好きだったということで、ネコの人形がたくさん出てきたのはかわいかったぞ
次回は三島の「近代能楽集」だそうだ。そちらに期待することにしよう。
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