ティーファクトリー「新宿八犬伝 第五巻 犬街の夜」:騒乱の夢は歌舞伎町に開く
作・演出:川村毅
会場:新宿FACE
2010年10月21日~28日
小劇場時代華やかなりし頃--思えばわしも若かったのう。と言っても、たかだか25年前のことじゃ。第三エロチカという劇団があってな、そこが連続して上演してきた看板シリーズ「新宿八犬伝」があったのよ。それで、この度久し振りに新作が発表されたんじゃよ。
わしがこのシリーズを見始めたのは……さて、何作目からだったかな(?_?) モウロクして記憶がだいぶ衰えてしまったわい。おーい、ばーさんやい、覚えとるかのう……返事がない、ウチのばーさんも耳が遠くなったからなあ。
ま、少なくとも一作目は見とらん。見たのは二作目か、三作目からじゃな。
で、これで第三エロチカは正式解散になるっちゅうこと。こいつは大ごとである。是非にも行かずばなるまいて。
そういうわけで、懐かしさに老体にむち打って歌舞伎町まで出かけたのじゃよ。おお、久し振りの歌舞伎町--だが驚いたことに映画街で残っているのはミラノ座系列のみ。コマ劇場はとうに店じまい、他の映画館も全部休業じゃ。
あの空間だけ人通りも少なく闇に沈んでおる。くーっ(T^T)寂しいのう~。
そのせいか、なんということじゃ、会場になってる店の場所が分からず、わしゃさんざウロウロしてしまったわい。年寄りにも分かりやすい所にしてくれんかのう。カラオケやゲームセンターの入ってるビルの上の階にあるイベントホールで、目がクラクラ(@_@)するう~。ま、これはこれで歌舞伎町らしいってことか。
内容はすっかり大人しくなった歌舞伎町に「騒!乱!情!痴!遊!戯!性!愛!」の八個の玉を持つ八犬士と「犬」族が出現、人間に反乱する。そして閉店したキャバクラ跡に「犬街」への入口が広がるのであった。
相変わらずの川村節--と言えばホメ言葉、裏を返せば「十年一日」。どっちに取ってもらっても結構じゃよ(^○^)ワハハ
犬街への案内人ことキャバクラの元店長が日替わりゲストで、わしが見た時はお懐かしや銀粉蝶 わしゃファンだったんじゃ。もっと出番が多かったらよかったのにのう。
そんな中で異質なのが手塚とおる扮するナイフ男かの。とにかくひねくれてねじくれておる。
それから、これまたお懐かしやの有薗芳記には、わしゃビックラこいた(!o!) 全然、変わっとらんで若々しい。動作も素早い。わしなんぞすぐギックリ腰になりそうなのに。この若さは、もしかして処女の生き血でも吸っておるのかな なに、そんなもん歌舞伎町周辺半径10キロ内には存在せぬと(^^? まあ確かに、セーラー服を着てても中身は四十代五十代あたりまえ~な世界ではある。
この最終章、改めて感じたのは川村毅っちゅうのは、常に「騒乱」に憧れ求めているということじゃのう。でも、新宿が最も燃えてた頃は、彼は小学生高学年~中学生だったはず。わしも同世代じゃよ(^^) 騒乱に乗り遅れた世代だからこそ、いつまでも追い求めるのであろうな。
じゃが、もう時代は違う。今回、妙に全体的に違和感があったのは、今の歌舞伎町が変化してしまったからというのではないぞ。世は草食系ナンタラが流行るご時勢じゃ。演じる役者の身体と精神がもはや草食系であるからにゃ、「犬」のような肉食系の登場する作品はもはや合わないってことだろうて。
この時代に合うのはシマウマやキリンあたりか。なに、シマウマだってそれなりに生きるのはヘビーなんじゃよ。
そういや、観客にわしのような年寄り懐旧派は少なく、若い娘っ子がやたら多いと思ったら、どうも出演している若手イケメン男優たちをお目当てに来ていたようじゃのう。
昔の第三エロチカと言うたら、女の観客はそんなに多くはなかったぞ。ああそれなのに……嘆かわしい~(>y<;) 全く往年の小劇場時代と比べたら--(以下五十行愚痴が続く)
これでもう歌舞伎町に来ることもあるまいて。ようやく家にたどり着いて、おーい、ばーさんや帰ったぞ、お茶を入れてくれんか--と思ったらちゃぶ台に何やら書き置きが……。なにっ「お友だちと韓流映画祭りに行ってきます」だと! 亭主を何と心得ておるけしから~ん(`´メ)
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