「寺神戸亮×上尾直毅 J.S バッハ」:秋深き隣はバッハを弾く人ぞ
考えてみれば、こんな小さなホール(収容人数80人か)で寺神戸氏の演奏を間近に聴くのは初めてかも。
この公演では「一人目のナオキ」こと上尾直毅との組合わせでバッハをやるという、ある意味「王道」なプログラムであった。
曲目はヴァイオリンとオブリガート・チェンバロのソナタを3曲。もはや二人のコンビネーションに文句は付けようがありません!完璧であった。
一曲、スパッラを使ってガンバ&チェンバロのソナタを演奏した。寺神戸氏は今ではすっかり自家薬籠中のように楽器を弾きこなしていた。ただ、ガンバのような渋い音じゃなくてもうちょっと軽めの音に聞こえたんでここは好みが分かれるところだ。
ナオキ氏は独奏でトッカータを一曲。爆奏に近い力強さで会場の喝采を受けていた。「一人目」はダテではないのを見せつけ……でなくて、聞かせつけたのであった。
チラシの解説を読むと、オブリガート・チェンバロの入ったソナタを「通奏低音からの脱却」として近代的なヴァイオリンとピアノのソナタへと向かう端緒として見なしているようだ。
だからだろうか、聞いていてバロックとしての安定感よりも緊張を感じてしまうのは。まだまだ深いバッハ先生の世界である。
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