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2010年11月13日 (土)

上野千鶴子×森達也×加藤陽子「「戦争の論理」が駆動する時」

101113
第75回紀伊國屋サザンセミナー
会場:紀伊國屋サザンシアター
2010年11月2日
注-記憶違いや省略などあるので正確な記録ではありません。

ステージ上に三人が登場して着席すると、まず加藤陽子の「皆さん、今日は東大のヨン様こと姜尚中さんの講演会が同じ日にあるのに、こちらに来ていただいてありがとうございます」という挨拶から始まった。
加藤陽子は三人の中では一番若い。最近『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』を出して評判になった東大のセンセイである。

進行の形としては、座談会とかトークセッション風に展開するのかとおもいきや、そうではなく一人が十分ずつ順番に話して行き、一回りしたら最初の話を受けてまた十分ずつ話を回していくという想定だったらしい。
で、年齢順か?加藤陽子→森達也→と自己紹介をかねて近況とかテーマについて思うところを話して行ったのだが、上野千鶴子はさすがというべきか(?)そのようなナアナアな展開をブチ壊し、二人に対し軽くジャブを放ったのであった。

ゴ~~ン かくしてゴングは鳴った。

上野千鶴子は『それでも~』と森達也の『ベトナムから来たラストエンペラー』という著書について、この二人の本には女性が登場していない、戦争とジェンダーは切り離せないのだが--と指摘した。例えば、外交問題における「弱腰」には「男らしさ」のイメージが問題とされ、ハトヤマ前首相の言う「友愛」は本来の意味では「同胞愛」でそこには男しか入っていない、など。

それに対して意外にも加藤陽子は大きな反応を見せた。すなわち『それでも~』は小林秀雄賞というのを取ったばかりなのだが、そこで選考委員のホリエモンに「いらだち」が潜んでいるを見抜かれたというのである。実際に、優秀な男子高校生たちの前で「女だてら」に日本軍事史を男の言葉で語ったということに、自分への「いらだち」を感じていたというのだ。
この率直な心情の吐露には正直驚いた。ベストセラーの影に著者自身の隠されたいらだちがあったのか。その代わりにというか、次の著書は天皇と女性がテーマになるとのことである。

その後、話の展開を読んでなかった森達也の発言に上野千鶴子がチクチクと針(釘というほどのものではない(^^;)を刺したり、ウッカリ社会学の用語を加藤陽子が間違えて使用したのを指摘されたり、さらに同じ東大の教授同士なのについ「上野先生」と読んでしまうのに「先生と呼ぶのは相手をおちょくる時だけです」などと返されたり、と二人がかりで防戦状態だった。

話は天皇の戦争責任問題、それから現代において情報が過多かそれとも足りないのかというテーマに移り、森達也がドキュメンタリー作家らしく写真から動画へと情報が多過ぎる方に向かっていると発言したところ、それに対し上野千鶴子は自分たちが過去に犯した加害の情報を知らないから被害者意識ばかり高まる、というように情報は過多ではないと反論。
ようやくここで森達也にアクセルがかかって反論だ~というところで、あっけなく時間切れとなってしまったのである。残念よ(^o^;

全体的に加藤陽子は話が分かりにくかった。話題がウネウネとねじくれて行って、一体何を話したいんだ(?_?)と聞き手が訳分からなくなり、話の最後でようやくああそれが言いたかったのかと分かるような話し方なのだ。
一方の森達也はとつとつとした喋り方でスロー・スターターだし、これで討論が盛り上がるのはなかなか大変だった。

最後は上野が加藤を研究者として大きくほめあげてエールを送って終わりとなり、森の立場はちょっとなかった。以後の彼の逆襲を期待したい。


帰りは一緒に行った同業者たちと高島屋の上の中国料理屋に行き(9時過ぎても順番待ち行列ができてた)紹興酒を飲んで乾杯(^O^)/□☆しながら、「上野千鶴子の前で社会学の用語なんか使って大丈夫かしらんと思ってたら案の定、言われちゃった」とか「森達也って普通の人だねえ」などと感想話に花を咲かせたのであった。

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