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2010年11月10日 (水)

「シングルマン」:死後のスタイルさえも気にする男

101110
監督:トム・フォード
出演:コリン・ファース
米国2009年

『終着駅』に続き、またも役者の演技が目立つ映画を観てしまったという印象だ。逆に言うと役者の熱演がなかったら……(>_<)どうなった?
監督はファッション界で極めて有名な人らしいが、私はもちろんその方面は疎くて知りません(^-^;

ゲイの大学教授が十数年連れ添った恋人を突然の事故で失う。1962年だから、さすがに英米であっても葬式に行くこともできない時代である。さらにキューバ危機の頃で世の中(の一部)は騒然としている。
そして失意のまま数ヶ月が経ったある一日の物語だ。

さすが、デザイナーが監督だけあって邸宅、インテリア、衣装、小道具……何から何までビシッと決まりまくっている。主人公がそういう美意識を持ち几帳面な性格という設定でもあるのだが、近所に住む元・恋人(こちらは女)や大学の学生たち、近所の子どもの佇まいにしても何から何までスタイルがキマっている。

ここまで来ると、それは逆にマイナス点にもなる。主人公の言動は明らかに傍から見ればイタイ……というか異常なのだが、そういう風には描けていない。きっと監督は人物がジタバタして見苦しいのは許せないのだろう。

かくして観客は悲しみを外側から眺めている感じで、あまり共感するというようにはならない。そう、苦悩すらもファッショナブルで気どっているのである
そのせいもあってか、描写がいちいちまだるっこしくてマイッタ(@_@) ラストは極めてシニカルなのであるが、それすらもまだるっこしい。

まあ、自分の体内時計に合わないものを見てしまったってことですかね。
主役のコリン・ファースはお見事。アカデミー賞ノミネートは納得。ジュリアン・ムーアもピッタリ適役だ。

ファッションやゲイ・カルチャーに興味のある方は一見の価値はあるだろう。レディース・デイに見に行ったせいか、観客の大半は女性だった。


スタイリッシュ度:10点
ジタバタ度:1点


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