「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」:ネコと亀と美術と
監督:佐々木芽生
出演:ハーバート&ドロシー・ヴォーゲル夫妻
米国2008年
市井の夫婦がなんと現代アートを買いに買ったり4700点
妻は図書館司書、夫は郵便局員という組合わせゆえに、高価な作品を買えるはずもなく、若いアーティストのアトリエを回っては、自分たちの好みにかない、かつアパートに入る大きさの作品を選んで行ったという。
六十年代あたりからそれを繰り返し、さらに買った作品は絶対売らないというのを信条としているので、所狭しと積み重なっていて小さなアパートはもはやギュウギュウだ~ 加えてネコやら亀やらペットまでいるぞ。
そんな老夫婦のドキュメンタリーである。
平凡な市民--と言っても、ニューヨークのアートシーンではかなり有名人らしい。美術展の内覧会に招かれたり、雑誌・TVに出たり--。
旦那のハーブは元々美術学校へ通い、絵を描いていたとのこと。その審美眼は鋭く、アーティストも納得してしまうほどだ。
それにしても、作品を売らないというのを貫いてきたのはすごい。アートバブルの時期に売ってたら一財産築けただろうに。
クリスト夫妻がインタビューに答えて、あの買い方は依存症的だよねと語るが、それも頷けるほどである。買い物依存症? ゴミ屋敷ならぬお宝美術屋敷?
私もコンサート行くのを一切やめ、CDを買うのもやめて気に入ったアート作品を購入するかね(^o^)v でもCDの整理だってままならんのに、買ってもホントに積んどくだけになってしまうだろうけど。
一方、画廊を通さず直接アーティストから購入するというのは、美術品の売買システムからは外れていて非難する意見もあったことが紹介される。そこら辺の美術市場のドロドロした部分についてもうちょっと描いてくれればと感じたが、そこに踏み込んじゃうと「かわいい老夫婦」路線をウリにするわけには行かないから無理か。
とはいえ、人はなぜアートに惹かれるのかという原点を再認識させてくれたドキュメンタリーであった。
ところでクリストの奥さんてド派手で賑やか クリストご本人は脇でうんうんと頷いている感じだ。こんな奥さんを亡くしてしまったら寂しいだろうねえ--なんて関係ないけど思ってしまった。
美術界魑魅魍魎度:5点
夫(婦)唱婦(夫)随度:7点
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