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2010年12月11日 (土)

フランチェスコ・カヴァッリ オペラ「ラ・カリスト」:熊か星か

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東京室内歌劇場42期第128回定期公演
指揮:濱田芳通
演出:伊藤隆浩
演奏:アントネッロ
会場:渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
2010年12月4・5日

まず第一印象はというと「『アーサー王』みたいな出来じゃなくてヨカッタ \(^o^)/」であったsweat01
同じ演出家の『アーサー王』があまりにひどかったので、散々行くかどうか迷った揚げ句に最高より三千円安いS席にした。さらに日によってキャストが違うので、ここでも迷った。4日は野々下由香里や彌勒忠史の名前が……しかし、5日の方を選んだのであった。

会場は出来たてピカピカの複合ビル内のホール。すごいね、さすが渋谷区この不景気なのに金があるぜdollar 収容人数は700人とのこと。純粋に音楽よりはパフォーマンスや芝居向きのホールのようだ。

ストーリーはギリシャ神話から取ったもので、大神ジョーヴェ(ゼウス)がニンフのカリストに言い寄るがすげなくふられる。そこで、変身して接近し意を遂げるが、妻のジュノーネ(ヘラ)は嫉妬で怒ってカリストを熊に変えてしまったので、彼女を星にすることを約束する。
これに女神ディアーナ(アルテミス)と羊飼い、それにお笑い担当カップルの二組のロマンスが絡むんである。

しかし、この話のキモはジョーヴェが変身するのがカリストが仕えるディアーナであるということだ。つまりカリストはレズかい(!o!) さらに羊飼いがディアーナに言い寄った時に、実は中の人はジョーヴェであるという場面もあり、かなりいかがわしさは保証つきokなのである。
ところが、この演出ではジョーヴェが人形みたいな偽ディアーナを外から操るというという形を取っているので、そうしたジェンダー・パニック的な面白さはほとんどなく、いかがわしさも激減している。詰まんな~い(x_x) そういう意味ではちと期待はずれだった。
さらにあらすじでは羊飼いは女神(しつこいようだが中身はジョーヴェ)と●●●したかのように書いてあるが、舞台ではそんな気配はひと筋もなしdash なんだよ。これまた詰まんないのであった(+_+)

一方、字幕は下ネタspaをすべて分かりやすく直訳したのはまあいいとしても、それ以外のセリフも「沸点到達、嫉妬メラメラ」って……これが一番エラい女神の言うことかannoy フツーの日本語でお願いします。この演出家は字幕に関わらない方がいいと思うぞ。

好色バリバリなジョーヴェに『オットーネ』の海賊だった春日保人、今回も快調です。冒頭は笑わせてくれたし、ラストではタイトルロールの澤村翔子と共にしんみりとした調子で聞かせてくれた。
BCJでおなじみ松井亜希は女神さまとしてここでも問題なく快唱。彼女にフラれる牧神と「自然」をやった櫻田亮はやはり得意のイタリアものとあって、前者の役ではコミカルに、後者では冴え渡る歌声だった。
ということで、一番の見せ場は櫻田牧神が上杉清仁扮する軟弱な羊飼いをケトばす場面でキマリgoodということでよろしいかな。

舞台装置は「オペラで最低記録の予算」(ポストトークにて)というだけあって簡素だった。セットは二つの山のようなものがあって、人によってクチビルkissmarkに見えたり女の胸のように見えたりするようだ。もっとも、私はもっといかがわしい部分ではないかと解釈したが……どうよ(^^;

楽器部隊は鍵盤4台という驚きの布陣である。それにヴァイオリン3本(P・エレラ氏こんな所にいたのね)やリコーダー、サクバット、セルパンなど加わっていた。西山まりえのハープがやけによく聞こえるなと思ったら、やはりマイクを使用していた。
パーカッションはかなり賑やかに入っていて、所によっては賑やか過ぎるほどだった。眠気虫に食いつかれた人は目が覚めてよかったかも知れない。それから、なるべくジャズっぽいテイストを入れるということで、熊が踊る場面では濱田氏が指揮台から客席の方を向いてコルネットをジャズ風フレーズで吹いたりした。
ただ、正直言って個人的にこういう手法には疑問を感じる。まあ頑張って下せえと言うしかない。

全体的として一部の字幕と演出を除いては文句はなしっ。カーテンコールでも拍手喝采となった。4日には演出家に対して「ブー」downも飛んだらしいが、この日は「ブラボー」のみであった。

あえて、一つ文句を付ければプログラムに作者のカヴァッリの経歴や初演がいつどこかというような紹介が全く載っていないことだ。生没年すら出てない。これには驚いた。
プレトークでその解説があったが、全ての人がプレトーク聞く訳じゃなし、500円でも金を取っているからにはそのぐらいは載せてしかるべきだろう。
そのプレトークでは、年増の侍女役を男声テノールが歌うことについてこの役を「オカマ」だと解説者が語ったが、年寄りの乳母とか年増女みたいな端役をテノールがやるのは当時よくあったことでそれを「オカマ」と表現するのはどうかと思った。

それにしても、4日にディアーナ役の野々下さんを聞けなかったのは返す返すも残念無念よ。野々下さんの女神サマがあんなことheart01こんなことするheart04のを是非見たかった(聞きたかった)ですう(*^-^*)
会場にはマチャアキ氏や評論家も来てたようで。
配られたチラシに面白そうな公演発見。これは「買い」だ!

《Deus ex machina -機械仕掛けの愚か者-》
4日の様子。クロークやってなくて、ペットボトル売ってたのは5日も同様だった。
それからこのバリアフリー時代に、トイレの前に狭くて急な階段があるのはどうかと思った。足の悪い高齢の女性が苦労して登り降りしてたぞ。

《sueyoshitomoko.com blog》
4日のキャストの写真。衣装はこんな感じだった。

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←なぜか足元にオモチャのトランペットが……(^^?

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コメント

このオペラ・プロダクション(というか演出)がどんな具合だったのか知りたくて、記事アップお待ち申しておりました。心配したほど酷くはなかったようで、やはりマイナー・バロックですから見に行かれてよかった、と胸をなでおろしました。たかがオペラ鑑賞なのに、なんで事前にやきもきしなきゃいけないのだ?というツッコミがひっこむほど、迷いに迷った挙句パスした、という方も多数いそうですが。。。
いかにも当時のヴェネツィア趣味らしい下ネタ満載のどたばた喜劇で、なんとなくオタク度が高いというか通好みって印象があるバロック・オペラの枠を壊したなら、大成功でしょう。

投稿: レイネ | 2010年12月12日 (日) 23時08分

|迷いに迷った挙句パスした、という方も多数いそうですが

まあ、それだけ「アーサー王」の衝撃が尾を引いているというわけでしょう(^^;)
今回よかったのは演出家が余計なことをしなかったせいではないかと推測します。
個人的にはもうちょっとドタバタした喜劇モードで見たかったですね。

投稿: さわやか革命 | 2010年12月14日 (火) 08時23分

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