「ロビン・フッド」:タイツも無ければ王も無し
監督:リドリー・スコット
出演:ラッセル・クロウ
米国・イギリス2010年
年末年始、暗くて地味な映画ばかり見てしまったので、やはりここは正月向けの派手なヤツを一丁見てくっかと選んだのが、これ。
ただ、リドリー・スコット&ラッセル・クロウの組合わせで歴史活劇となると、当然『グラディエーター』を思い出す。あれはヴィジュアル面優先でお話の方はちょっとという印象が強かった。さらにアクション場面が編集細切れプラス大写しの連続で、見ていて訳ワカラン状態なのもマイナス点。当時の映画フォーラムでは賛否半ばでR・スコットの評価もだいぶ下がったようだった。
そんな理由から、あまり期待しないで千円サービスデイを選んで見に行った。
結果は--いやあ(^-^)/ かなり楽しめました。リチャード獅子心王の遠征に参加していた一介の兵士がなぜロビン・フッドとなって森に住むに至ったかという前日譚なんだけど、あまり深く突っ込まなければ華麗なる歴史絵巻物として面白かった。
衣装や小物、武器、鎧など神経が行き届いてるし、人間の食卓の食べ残しをネズミが漁ってたりなど当時の細かい描写も見せてくれる。
戦闘シーンは前半の城攻めの過程が出てくるかと思えば、一転、後半は第二次世界大戦そのままみたいなシチュエーション(上陸作戦や、女子どもを納屋に閉じ込めて火を放つなど)になって、飽きさせない。
騎馬の群は美しく弓矢はドスドス飛んで派手なチャンバラあり、とサービス満載。。
ただ、物語の展開は後半で息切れ状態にして適当なものに…… なんでマリアンの納屋を襲っていた孤児たちが、一転して彼女を助けるのか見ていて不明。さらにフランス勢との決戦にまでしゃしゃり出てこないでくれい。
マグナ・カルタとの絡みも強引過ぎ~(>O<)
というわけで、お屠蘇気分のついでに観るのがちょうどいい映画だったようである。
それと、色んな人が様々な感想を書いてるが、結局のところラッセル・クロウ&ケイト・ブランシェットの配役に満足するかどうかに評価がかかっているような気がしなくもない。若くてピチピチしたイケメンとか色っぺえねーちゃんの登場を期待した向きには大いに不満であろう。
なお、ファン向けにR・クロウの唐突な上半身裸さあびすシーンあり。はっ(!o!)……まさか『スパイダーマン』みたいな合成じゃないだろうな。
家臣役がどこかで見た顔だなあと必死で思い出そうとしたが分からず。なんとウィリアム・ハートだった(^=^; マックス・フォン・シドーはさすがの貫禄よ。
リアルタイムで見たロビン・フッド物というと、当時人気絶頂だったケビン・コスナー主演作があったが、その時も「ブルックリン訛りのロビンなんているもんかいっ」とくそみそに言われていたっけ(作品自体は大ヒットだった)。
まあ、森で暮らしてる義賊なんて存在自体が荒唐無稽だからねえ。だったら、『ロビン・フッド キング・オブ・タイツ』(←もちろん見た。ピカリンことP・スチュワート特出だもんね)みたいなパロディ物の方がふさわしいかも知れん
ところで、ここで登場する二人の英国王リチャード、ジョンの母親アリエノール・ダキテーヌは、フランスと敵対する言動をしているが、なんと彼女自身も元フランス王妃なのであった。どういうこっちゃ(?_?; その波乱万丈な人生は『スキャンダルの世界史』にもしっかり取り上げられている。
そういや彼女は『冬のライオン』にも登場していたなあと思い出し、猛然と『冬のライオン』を見たくなってしまったのであったよ。
お屠蘇気分度:9点
史実度:5点
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