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2011年2月

2011年2月27日 (日)

「古楽の花束」:我がコンサート歴で最少記録か

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オープニング・シリーズ2010/11・募金演奏会8
会場:石橋メモリアルホール
2011年2月20日

例の如く、時間に遅れて汗をかきながら上野の街を走る私の目の前にそびえるのは--あ~れに見えるはスカイツリーじゃないかいな 曇り空をバックに灰色にかすむ、今話題の塔なのであった
ブログ用に写メをしたかったけど断念。ケータイを取り出す時間も惜しいほどに、一分、いや一秒の猶予もならなかったのよ

さて開演時間ギリギリに出来立てのホールに駆け込んだ私の目に入ってきたのは人もまばらな客席であった……。
いや~、近江楽堂とか教会みたいな所で客が少ないというのは経験しているが、一般のホールでここまで人がいないのは初めて。
しかし、それも仕方ないかもしれない。ほとんどチラシの類も出回ってなかったし、そもそも「募金演奏会」って誰が何のためにどこへ募金するのかも不明である。私もよく分からずにこの日が空いてるからチケット買ってみたのだった。来ている他の客は関係者とか学生とか……。

で、この日は何回か行われてきた中で、上野学園の古楽部会二度目の演奏会であるらしい。プログラムを見てみると、こういうのもガラ形式っていうんじゃろか、学校で教鞭を取っている演奏家がそれぞれ独奏を聞かせるというものだ。

一番目のバッハのオルガン曲は全く知らない演奏者。ただ久しぶりにパイプオルガン生演奏を聞いて、またどこかで公演があったら行こうかなという気になった。低音部が左右の壁に反射してグルグルとステレオ効果になったのが快感であ~る。

次は金子浩がバロック・ギターを弾いた。曲はド・ヴィゼ。ただ、響きのいい会場でもさすがにこの楽器独奏には広すぎたようだ。

三番手はガンバの櫻井茂がチェンバロと共にマラン・マレの組曲を。ラストの「リュリ氏へのトンボー」が良かったですよ(^_^)/

休憩を挟んで登場したのは、白いドレスも鮮やかな曽根麻矢子だった。演目はジャック・デュフリである。
これまでこの美人過ぎるチェンバロ奏者を敬遠してきたが、ここで正直に考えを改めることにしよう。それほどに鮮やかな演奏だった 四月の「音楽の贈り物」ではどういう演奏するか楽しみよ。
ただ、やっぱり「華のあるピアニスト」タイプという印象かなー。

続けて反対に黒いお衣装で現れたのは太田光子。ファン・エイクのリコーダー曲を情感たっぷりに独奏したと思ったら、二曲目の「道化師」ではおそるべき超速で吹きまくったのであった。
ここでさすがに人の少ない客席からも喝采が湧き起こった。

そして山岡重治&太田師弟と櫻井茂、チェンバロの戸﨑廣乃によるヘンデルのトリオ・ソナタで幕となった。リラックスしたアンサンブルで楽しかったですう(^^)

というわけで、三千円の元は十分に取れたコンサートだった。
ただ、結局なんの募金だったのかは最後まで分からず……(?_?) この客の人数じゃあ、人件費とか考えると却って足が出ちゃうんじゃないかと余計な心配をしてしまった。

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2011年2月26日 (土)

「ウォール・ストリート」:親子の絆=1億ドル也、高いか安いか?!

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監督:オリヴァー・ストーン
出演:マイケル・ダグラス、シャイア・ラブーフ
米国2010年

O・ストーンの映画は多く見ている方だけど、『ウォール街』(1987年)だけは見ていなかった。理由は二つ、経済系が苦手なのと、当時のマイケル・ダグラスがなんか生臭い感じで今一つ好きになれなかったからだ。

しかし、こちらの続編を見るにあたって前作をレンタルで借りてきて初鑑賞。なるほどアカデミー主演男優賞を取っただけのことはあると納得した。DVDに入ってたインタヴューによると、M・ダグラスはそれまで軽っぽい役柄が多くて、この映画で転身したとのこと。それまで名優の息子としてのプレッシャーもかなりあったに違いない。

さて、前作では金とパワーを手に入れ我が世の春を謳っていた投資家ゲッコーは、23年後の今やム所帰りで、見る影もなく「あの人は誰?」状態。かろうじて「昔の名前出ています」で講演と本の出版で食っているのであった。
時代は変わり、彼がかつてやっていた強引なやり口は当然のこととなっている。そこへ今は疎遠な彼の娘と付き合っている銀行マンの若者が接近する……。

予告や宣伝では全然わからなかったのだが、ゲッコーは悪役じゃなくて別にいたのね~。ジョシュ・ブローリン扮する経営者の方だ。主人公の若者は彼に復讐するためにゲッコーのお知恵拝借ということで接近する。でもって今回の「若者」枠はシャイア・ラブーフだ。

前作では主人公は自分の父親とゲッコーの間で揺れてたのだが、今度は二人の「父親」とも煮ても焼いても食えないヤツ。このためドラマの盛り上がりは欠けてくる。そもそも本当の「父親並み」と認めていた人物は冒頭で姿を消しちゃうからねえ。

そしてラストは--えーと(~_~;)こりゃ金で親子の絆を買ったということですかい? そりゃ、家族だって親戚だって金がないよりゃあった方がいい。それは認めよう。
しかし、これはあんまりな話じゃないか? それとも家族の愛情なんて金で買えるもんよ--という皮肉だろうか。いや、そうは思えんぞ。
加えて、演出に冴えがないのも致命的だ~(=_=) さらに字幕担当が「あの人」とあっては踏んだり蹴ったりとはこのことだいっ。

実はこれを見る二週間ほど前に『ソーシャル・ネットワーク』を見たのだが、その時「こいつはオリバー・ストーン、分が悪いかも」と思ったのがその通りになってしまったようだ。金融業界とIT業界の違いはあるが、金と権力と人間関係を描いているのは同じであるはず。なんか切り口がヌルいのだ。
非情な世界を描いていたはずが大甘な話になってしまったようだ。いや、別に金も無く、可愛い娘も健気なムコもいない人間のヒガミと取っててもらって結構ですよ(-"-)

その他
*懐かしやトーキング・ヘッズの曲が多く流れる。
*チャーリー・シーンがノン・クレジットで特出。思えば、彼もあの頃は期待のルーキーだったんだけどねえ。
*スーザン・サランドン、フランク・ランジェラなど、豪華共演陣です。
*最近の米国製映画では珍しくタバコを吸っているシーンが多かった。
*J・ブローリンの社長の部屋はなにげに現代アートも多い。見たことないキース・へリングの作品、リチャード・プリンスのホラー看護婦さんもあり。


マネー度:7点
家族度:5点


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2011年2月25日 (金)

「冬のライオン」:野蛮なる時代の野蛮な芝居

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監督:アンソニー・ハーヴェイ
出演:ピーター・オトゥール、キャサリン・ヘプバーン
英国1968年
*DVD

「ロビン・フッド」を見た時に「冬のライオン」を見たくなったと書いたのだが、我がビデオ&DVD棚をゴソゴソ漁ってみたら、なんと未開封のDVDが出てきたではないか!
入手できなくなると困ると思って買うだけ買ってあったらしい……自分で忘れちゃってたのよ(^^ゞ

この作品、もともとは芝居だったらしい。作者本人が映画の脚本も担当している。
中心人物は「ロビン・フッド」でも登場したリチャード獅子心王とジョン王の母エレナー王妃(アリエノールとかエレアノールとか読み方色々あり)、そして父ヘンリー2世である。
この二人の結婚はフランスの半分とイングランドを占める広大な領地をもたらしたそうな。(←『スキャンダルの世界史』の受け売り)

そうなると次の王様は誰にするか(@_@;)というのが大問題。しかも、王妃はなんと軍を起こして王に反乱したかどで十年にも渡り幽閉中だ
そんな中、クリスマスということで王妃と三人の王子、さらに若いフランス王も城に来て一堂に会するのであった。
ここでエレナーが船に乗って川岸の城に現れる光景が非常に鮮やかで美しい。

三人の王子--リチャードは豪胆かつ勇猛のはずだがその実は脆弱、ジェフリーは陰湿な策謀家、ジョンは猜疑心に満ちた愚か者、と一癖ある者ばかりなのだが、その彼らが「怪物」と呼んで憎んでいるのが他ならぬ父母のヘンリーとエレナーであった。
彼らの周囲には不義密通、近親相姦、謀殺、男色などなんでもあり。互いにそそのかし合い、騙し、かつ裏切りながら、何事もなかったかのように振る舞っている。

12世紀となればまだまだ野蛮な時代、たとえそれが王侯貴族であってもだ。国王たちが城の前に出て挨拶するのにニワトリやら犬を蹴散らして出てくるのには笑ってしまった。歴史ものとしては『バリー・リンドン』以前に、当時の王族の世界をリアルに描いたとして評判になったという記憶がある。

キャサリン・ヘップバーンとピーター・オトゥールはその野蛮な時代の怪物的な夫婦を文字通り怪演している。数十年にもわたり愛憎半ばする二人の関係は寝台の中で抱き合いながら互いに剣を突き付けあっているようなもんだろう。
役の上では二人は11歳違いだが、実際には25歳の差があった。
ヘップバーンはこの作品で三つ目のアカデミー主演女優賞を獲得した。一番印象に残るのは二人の兵士が殺しあうのを冷酷な無表情で見守る場面。コワすぎです……(>y<;)
P・オトゥールはやはりこの時もノミネートのみで主演男優賞を逃した。どうすりゃエエんだよ(*`ε´*)ノ☆ってなもんだろう。
一方、アンソニー・ホプキンスはP・オトゥールとは現実には5歳しか離れてなかったが息子のリチャード役だ。ジョン王子には後に「エクスカリバー」主演やデレク・ジャーマン作品の常連だったナイジェル・テリー。実に陰険でさえない若者をうまく演じている。
それからフランス王役のティモシー・ダルトンは、まだ若くてピカピカしていて驚くほどの美しさよ。背中に花やら星を背負っているようだ。
このように曲者揃いが140分弱の間、火花を散らし合って手に汗握る迫力。目を離すことができない。

先日亡くなったジョン・バリーが音楽を担当、オスカーの作曲賞を受賞している。「007」シリーズのジャズっぽい作風から一転して、合唱を使った重々しくクラシカルな曲調だ。特に王が剣を振り上げる場面で呪詛のようなコーラスが入るのが禍々しい。亡くなった時にまだ七十歳台だったのが意外である。若い頃から活躍してたのねー。

さて、冒頭でジェフリーが指揮する海岸の戦闘場面は「ロビン・フッド」が参考にしたのではないかというぐらいに似ている。もっとも、こちらの方はカッコ良さなど微塵もない殺し合いであるが。

ということで「ロビン・フッド」を見た方に是非オススメ--はしません(^O^)


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2011年2月22日 (火)

「ウッドストックがやってくる!」:騒然かつ呑気な時代であったよ

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監督:アン・リー
出演:ディミトリ・マーティン
米国2009年

『ブロークバック・マウンテン』の次には、日本占領下の上海を舞台にしたマタ・ハリもの(?)『ラスト、コーション』を作ったアン・リー監督。最新作のネタはなんとあのウッドストック・フェスティバルである。なぜに今さらウッドストック(@_@;)
--と思ったが、実際に原作となった回想録が出ているらしい。

主人公は開催場所が宙に浮いてしまったフェスティバルをひょんなことから地元に誘致した若者である(つまり、実際の開催地は「ウッドストック」ではないのだ)。その町の半分死んだような田舎ぶりたるやタダ物ではない。40年後の日本のローカルな過疎化を先取りしたようだ。そんな町でなお彼の老いた両親は頑固におんぼろモーテルを経営していたのであった。
そこへイッキに巨大イベントが降ってわいたのだから大変だ~ そのテンヤワンヤ振りを裏方の立場から一貫して描く。従って、フェス自体はほとんど出て来ない。ありゃ、遠くから聞こえてくるはジャニスかジミヘンかってなもん。

人と金が動けば欲望もまた喚起される。実際には相当ドロドロしたトラブルがあったのではないかと思うが、あくまでノホホンとした感じで綴られる。ノホホンが過ぎてゆるい所まで行ってる気もするが、監督の描きたかったのはそういうドロドロの部分じゃなかったのだろう。
一方で、開催時に押し寄せた人・車などその物量の再現振りは大したもん。田舎道を埋め尽くしたヒッピー達に当時のバイクや自動車、さらにはコンサート・フィルムでお馴染み泥すべり場面、主人公がLSDで完全にラりるところ、そして終了後のゴミだらけの会場まで……。昔懐かしの分割画面も復活だいっ(*^^)v
ここまで徹底してると、エキストラの数とか小道具大道具でとても予算と収益が引き合わなかったのではないかと心配になっちゃったりして 余計なお世話ですが。

新たな世界に触れた主人公は、ゲイであることを自覚し、さらに故郷と両親から離れる決意をする。ここに至ってどうしてアン・リーがこの話を取り上げたのかようやく分かったのであった。

登場する周囲の人物がみな存在感あるのには感心した。もちろんそれだけの役者を使ってるからだろうけど。
ヘリコプターで突然出現し混乱した現場を馬に乗って移動する主催者マイケル(演じてるジョナサン・グロフは新人とのことでビックリ)は超然としたイメージが非常に印象に残る。主人公にLSDを進めるヒッピー男はポール・ダノ。ベトナム帰りで後遺症に悩む旧友はエミール・ハーシュだ。
それから朝鮮戦争帰りの大柄な「おねーさま」のヴィルマがス・テ・キ(*^_^*)ポッ どこかで見た顔だなーと思ってたらなんとリーヴ・シュレイバーだった。私もピンクのドレスが似合う女になりたかったわん もう今からじゃ遅いがな。

しかし、一番キョーレツなのはなんと言っても母親だ。色んな映画のキャラクターで強烈なのは一杯いるが、いずれも現実離れしているのがほとんど。しかし、この母親は強烈かつ、どこにでもいそうなのがスゴイ。私は自分の祖母を思い出しましたよ。
で「イメルダ・スタウントンにちょっと似てるけど違う女優さんだよなあ」と思ってたら、やっぱり本物のイメルダ・スタウントンだった(火暴) それほどに完全にどーしようもない頑固な田舎モンのオバサンになり切っていた……。恐るべし

あ、ついでに邪魔なボカシが入ってなかったのも良かったですう(^^)


ところで、ウッドストック・フェスの頃は私は小学生だった。もちろん、リアルタイムではそんなイベントがあったことなど知らない。というか、日本でどの程度報道されてたか怪しいものだ。映画に主人公の両親がTVで初の月面着陸を熱心に見ている場面が出てくるが、こちらの方はハッキリ覚えている。もちろん日本でも中継されていた。
長いことウッドストックは名前のみ知る--であった。実際に映像を見られたのは、ずっと後に記録映画が再公開されてからだ。ライヴを収録したアルバムは出ていたが、確か3枚組だか4枚組。とても学生には買えん。もっとも日本盤が出ているだけマシ。モンタレー・ポップ・フェス(ジミ・ヘンドリックスがギターを燃やした)なんて輸入盤を必死こいて探したもんよ(~_~メ)


お祭り度:7点
鬼母度:9点


【関連リンク】
《BRUIT BLANC》
原作を読んでた人の感想。私が見た時は若い人がほとんどだったが(?_?) 私より年上そうなのは一人か二人しかいなかった。

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2011年2月21日 (月)

バッハ・コレギウム・ジャパン第91回定期演奏会:管群大活躍

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ライプツィヒ時代1927~29年のカンタータ3
会場:東京オペラシティ コンサートホール
2011年2月10日

今回の聞きものはBWV174番の冒頭のシンフォニアと170番アルト・カンタータですかね。あ、もちろんJ・F・マドゥフを初めとするトランペット3人組もいますな。

前者は「ブランデンブルク」3番を元にしてオーボエやホルンなども加わった大きな編成ヴァージョンだ。教会でこんな長くて派手めな曲をやったのかーという印象である。

アルトのソロ・カンタータはロビン・ブレイズ全開!(^^)!であった。
ステージ真ん中にももう一台のオルガンがあって、この曲では鈴木(兄)御大も座って今井奈緒子と二台で演奏した。特に3曲目のアリアは通奏低音の入らない極めて不安定なイメージの曲で、オルガンの高音が余計にそれをかき立てるのであった。
しかし、ラストのアリアでは一転して明快に終わる。見事に歌いきって舞台袖に引っ込んだロビン君が「ヤッタネ」風の歓声を上げたのが開いている扉から漏れ聞こえてきて、前方の客席に笑いを招いた。

他に印象に残ったのは、145番のバスのアリアで、なんとトランペットとフルートが絡む曲なのであった。音量が違い過ぎなこの二つ、下手するとトランペット暴奏みたいになってしまう危険性をはらんでいたかも(フルートは菅きよみ)。しかし、そこはさすがのマドゥフ氏であった。

ティンパニとトランペット三本が入った華やかな149番については、翌日NHK-FMで放送されて聴いた人も多いだろう。
アルト&テノールのアリアでは先日の川崎公演でも活躍甚だしかったファゴットの村上女史がまたも活力ある音を聞かせてくれた。
番組の方にはソプラノのハナ・ブラシコヴァとロビン君が出演 なんとハナたんのナマ歌もやってくれて感激であった。どうせだったら、二人のデュエットもしてくれたら良かったのに~。ま、贅沢は言うまいよ。
なお、公演当日にはBBCラジオの取材も入っていたそうである。

ところで、冒頭のオルガン演奏(ブクステフーデとヴァルター)は、鈴木(息子)氏の選曲なのかね(?_?)


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2011年2月20日 (日)

「曽根裕展 Perfect Moment」:巨大な砂糖菓子

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会場:東京オペラシティ アートギャラリー
2011年1月15日~3月27日

本当かどうか不明だが、日本のアーティストとしては曽根裕は海外で村上隆より有名だと聞いたことがある。それで行ってみましたよ。

ここで正直に告白しよう。まあ、今まで色々と現代アートの展覧会には行ったが、これほどに全く何にも感じなかったのは初めてである。
見ても「うーむ……あるなあ」としか感想が湧いてこない(~_~;)

ジャングルを模した木々が配置される中に、ニューヨークのマンハッタン島、観覧車、木漏れ日、バナナの樹などの精緻な模型が点在している。それらは全て白い大理石のによる彫刻作品である。中国やメキシコの工房で制作したという。
あまりに精緻すぎてか(?_?)マンハッタンなんか巨大な砂糖菓子のように見える。
また周囲のジャングル風の木々がまたミスマッチで--それを狙っているのかもしれないが--昔の喫茶店の観葉植物みたいでなんとも安っぽい。チラシの写真みたいに雑然とした作業場みたいな所にあるとハマって見えたんだが……。

私には理解の範疇外であったということだろう。

映像作品2点も、意図は分かるが、じゃあ実際に見ていてどうよ--というものだった。「バースデイ・パーティ」は各所に出没してアーティスト本人の誕生日祝いを無理やりやってもらうという趣向だが、どうせなら日本編も付けて欲しかった(^○^)
田舎のあぜ道で田植え中のじーさんばーさんに「ハッピーバースデイ」歌ってもらうとかさ。

若手を取り上げる「プロジェクトN」は吉田夏奈という人。山間の風景を執拗にまで描きこんでいく巨大なドローイング(ただし場所によって着色してあったり白黒だったり)にはミニマリズム的反復の執念を感じるが、見るこちらに体力と元気がないと辟易するしてしまうところがあり……疲れたす((+_+))


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「悪の教典」(上・下)

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著者:貴志祐介
文芸春秋2010年

読み終わってすぐの感想は「えっ(・・?これがこのミス1位? このミスも程度落ちたなー」であった。

サイコキラーにして優秀な高校教師である主人公が徐々に本性を明らかにしてくる上巻はまだいいけれど、後半になると今流行の閉鎖空間(この場合は学校の校舎)での殺し合いゲーム、みたいのになっちゃって詰まんな~い なんだよ、やりたかったのは結局これかよ(-"-)てな感じである。

大体にして知能指数高い悪人のはずなのに、やってることは計画性とは程遠い行き当たりばったりなことばっかり。こんなに無計画な犯罪ではとても死刑にはできません 他人と違って殺人も選択のうち--なんて言ってる割には、衝動的殺人多過ぎ。お前には殺人しか選択肢がないんかいと言いたくなる。
ライバル的な存在の人物も生かせぬままあっけなく退場。

同じ作者の前作『新世界より』はちょっと風変わりなSFとして面白かったんだけどねえ……。

ところで、現実にはいそうでいないのが「色っぺえおねーさんな保健室の先生」というやつ。思い返してみると実際に見たことは一度もないぞ。
「いや、ウチの近所の学校にはいる!」という方はぜひご一報下せえ(^O^)/


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2011年2月19日 (土)

「Mon Favori 私のお気に入り」:伴奏・合奏・共奏

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演奏:高橋明日香、譜久島譲、北谷直樹
会場:近江楽堂
2011年1月29日

「もう一人のナオキ」こと北谷直樹(チェンバロ)の参加するアンサンブルが昼・夜2回行われた。夜はカウンターテナーの青木洋也が加わってファンで満員になってしまうだろうと予想したので、器楽のみの昼の回だけ行った。両方掛け持ちで聴いた人も多かったかも。

プログラムはリコーダーの高橋女史を中心にしたもので、クープラン、デュパール、ブラヴェなど。間にデュフリのクラヴサン曲集から北谷氏が独奏した。
当時のサロン的な雰囲気は堪能できたが、アンサンブルに関してはガンバの譜久島氏が少し高橋女史の引き立て役に徹しし過ぎた印象が強くて、もう少し前に出てもよかったんじゃないかと思えた。そうじゃないと合奏の緊張感が感じられなくなっちゃうんだよね。

このライヴを聴いて、今回はパスしようと思った直樹氏のソロ公演に行きたくなってしまったのであったよ(#^.^#)
ところで、ナオキ氏と譜久島氏は小学校の途中から高校まで同じだそうでビックリ。校名は言わなかったけど、音楽系で有名な所なんざんしょか。


休憩なしの1時間15分ぐらいの演奏会ということで、その後時間ができたので同じオペラシティのアートギャラリーに行くことにした。が……


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2011年2月13日 (日)

「ソーシャル・ネットワーク」:ヲタクの執念、世界をも動かす

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監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ジェシー・アイゼンバーグ
米国2010年

日本(と数か国)以外では最大の人気を誇る「フェイスブック」の創設者マーク・ザッカーバーグをめぐるゴタゴタを描いた実話に基づく作品(フィクション)。

結論から言えば、すご~く面白かった\(^o^)/
登場人物はほとんど喋っているだけ。アクション・シーンもラブ・シーンもなんにもなし。それなのにこんなにハラハラドキドキして面白いとは。感心したぜいっ
さらに、登場人物のほとんどがイヤな奴ばっかり。まともな人間は出てきても数シーンだけ!というイヤ~ンさが炸裂だ
しかも、よくできた映画がしばしばそうであるように、これもまた観た人それぞれ多様な解釈が可能なようになっている。褒めるにしてもケナすにしても色々な意見があってこれまた面白い。

映画ファンにとってはこの作品、やはりデヴィッド・フィンチャーの映画だという認識だろうけど、米国ドラマ「ザ・ホワイトハウス」のファンからするとやはりなんと言っても脚本のアーロン・ソーキンの映画でもあるんだよねー。
あのドラマでも人物たちがもの凄い勢いで喋るんだけど、こちらの映画も同様。冒頭からソーキン節が炸裂だ。主人公が喋りまくる。相手が理解できないほど……(~_~;) 

主人公はハーバードの学生ながら見るからにヲタク。「格下」のボストン大のカノジョにふられて、腹いせにブログに彼女の悪口を書き込み、ついでに女子大生比較サイトをあっという間に作ってしまう。恐るべし、ヲタクの怨念である。いや、それとも能あるヲタクは爪を隠さず、か。そのため学内から顰蹙を買う。
次に優等生しか入れない伝統的かつ閉鎖的な学内クラブへの反感から、学内限定交流サイトを立ち上げる。しかし、そのアイデアは盗用だと訴訟沙汰になるのであった。

最初に出資した親友が広告主を求めてニューヨークをウロウロしている間に、会社は拡大。主人公は彼のセンスの古さに我慢できない。
そして金・地位・パワー(ついでに女も)が集まり、最年少の億万長者へ押し上げる。この業界の驚くべき変化の速さがスピード感を持って描かれている。

さて、アイデア盗用や親友からの訴訟騒動を通して語られるのは何か。
いかにも現代米国風の成功譚と見るもよし。超が付くような天才の前に凡人は去るしかないという厳しい現実を描いたとするのもよし。
ラストシーンからすると、いかに富と名声を得ても本当に欲しいものは手に入らないという寓話か。或いは、映画の作り手である旧世代の人間からの、若い時代の寵児へのやっかみか。それとも、友情と裏切りをテーマにした典型的な学園ドラマであろうか。

実際のザッカーバーグはこの映画と違って、社交的で昔から付き合ってる彼女はいるし、スポーツ系の部活もやっていたという。実話を基にして人物像を作っているのではないとしたら、どこが「真実」なのだろうか。
ほとんど直接的には描かれず、台詞で間接的にしか明らかにされてない部分がある。主人公は異常にプライドが高く(天才ゆえ?)それを損なうような奴は許さず、容赦なく叩き潰すということである。
女にフラれればネットでプライベートをバラし、双子に屈辱的な扱いを受ければ連絡絶ってアイデアいただき。親友がクラブに入会すれば「鳥事件」暴露。資金供給を絶って経営危機に陥らせた時は株の件で騙して切り捨て。さらにはギョーカイの先輩として憧れていた男を警察に密告して逮捕。
表出した事件自体はともかく、その行動は常に極めて猜疑心に満ち、人間性を疑わせるものである。

これはいま現在飛ぶ鳥落とす勢いの人物について、そのような「悪事」を暴き指摘した揚句に「いや、あんたはホントは悪者ではないよ」と言ってのけるとゆう、誠にアッパレな映画なのであった。イヤミだねえ~(^○^)

こちらのブログの記事は色々参考になるものだが、ポスターのオリジナルが載っている。これを見るとバーバラ・クルーガー風のポスターなのだった。直訳すると「数人の敵を作らずに5億人の友人を得ることはできない」だけど、言い換えれば「5億人の友達ができれば、二、三人の敵なんかキニシナイ(・∀・)!」ということだろうか。

若手の役者はいずれもお見事。特に主役のジェシー・アイゼンバーグはオスカー主演男優賞は間違いなし!と思われた……「英国王のスピーチ」が出てくるまでは。
エリカ役の女優さんが「ミレニアム」のリメイク版で主演するらしい。頑張って下せえ

台詞の情報量は膨大で字幕では半分も伝えられてるかアヤシイ気がする。「ザ・ホワイトハウス」もいつも吹き替えで見ていたんで、DVDが出たら吹き替えモードで見直すことにしたい。


スピード感:10点
人間不信度:9点


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2011年2月12日 (土)

日本インターネット映画大賞結果発表されました

「第15回(2010年)日本インターネット映画大賞結果」が発表されてます。

今回は「告白」と「インセプション」ですか。
投票総数が二、三年前から減ってるのがちょっと気になりますな。

ちなみに私が投票内容はこちら。各作品のリンクを貼る余裕がなかったので、ブログ内検索してご覧下せえ。

ついでに、2ちゃん映画板のベストテンも貼っときます。こちらは洋邦一緒です。
1位 (2184点 154票) 第9地区
2位 (1619点 102票) アバター
3位 (1596点 115票) インセプション
4位 (1384点 102票) トイ・ストーリー3
5位 (1320点 103票) 告白
6位 (*833点 *61票) 息もできない
7位 (*745点 *60票) キック・アス
8位 (*723点 *61票) ヒックとドラゴン
9位 (*621点 *51票) 十三人の刺客
10位 (*616点 *52票) (500)日のサマー

ソース不明ですが(^^;昨年の興行収入も。
【邦画】
1位 借りぐらしのアリエッティ 92億円
2位 The Last Message 海猿   79.26億円
3位 踊る大捜査線 THE MOVIE3ヤツらを解放せよ! 73億円
【洋画】
1位 アリス・イン・ワンダーランド118億円
2位 トイ・ストーリー3 107億5,000万円
3位 バイオハザードIV アフターライフ47億円

これ見ると「邦高洋低」とか言われてるほどではないことが分かって意外ですな。

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2011年2月11日 (金)

バッハ・コレギウム・ジャパン「コーヒー・カンタータ」:弘法ならぬマドゥフ氏も……

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バッハ名曲コンサートin調布
会場:調布市文化会館たづくり くすのきホール
2011年1月27日

なんでもBCJと調布市が協定事業をやることになったとかで、その一環としての特別プログラムのコンサート。他には市民向け公開リハーサルなんかもやるらしい。
会場はほぼ満員 さすが、調布市である。やっぱり××市とか●●●市じゃこんなに人は集まらんよねー(×や●にはあなたが「文化的ではない」と思える市名を入れましょう(^o^;)。
市民向けということか、曲ごとに鈴木(兄)雅昭が登場して曲目解説した。

前半は「コーヒー・カンタータ」でコーヒー娘を松井亜希、ガンコ親父を浦野智行、語り手兼求婚者を藤井雄介が担当。皆さん、オーバーアクト気味に演じて笑わせてくれた。松井女史はここでも大いに芸があるところを披露してウケていた。
また、ガンコ親父のテーマ(^_^;--ぢゃないけど、バス・アリアでの頑固っぽい通奏低音をいかにもな感じでガシガシと弾いてみせたのにも笑ってしまった。(今回の鍵盤は息子ではなくてマチャアキ御大が担当)
この曲目のせいか(?_?)休憩ではコーヒーが売れていたようで

後半の冒頭はトラヴェルソの菅きよみが登場して、寺神戸&鈴木ブラザーズによる「音楽の捧げもの」のトリオ・ソナタだった。解説ではフリードリヒ大王が与えたテーマを「不気味な」感じなどと話していたけど、言われてみれば確かにそんな気も……。
ただ、会場の方がこの曲に向いているとは言い難かったのが残念である。

続いて、今回の目玉曲。松井ソプラノ独唱&J・F・マドゥフのバロック・トランペットによるカンタータ51番である。
鈴木(兄)の説明によると口と息だけによるナチュラル・トランペットは「歌う」ことに近く、アンサンブルにもぴったり来るという。
一曲目のアリアはまさしくそんな感じに全体に溶け合っていた。そして終曲のハレルヤで再登場した時も同様!--と言いたいところだが、なぜかチェンバロ弾きながら鈴木御大が2回ほどマドゥフに合図したのに音が聞こえてこない。
ハテ変だなーと思ったら、マドゥフ氏やおらトランペットの先から何か黒いフタのようなものをサッと外して、今度は朗々と吹き始めたのであった。

な、なんと弘法も筆の誤りならぬ、マドゥフもフタの誤り(+o+)かっ ビックリなアクシデントであった。
まあ、アンコールでもう一度やってくれたのでよかったけど。2度目は完璧でしたよ。あ、もちろん松井女史の歌唱はグッジョブであった。


さて、この日は木曜日。木曜って職場で会議があるんだよねー。しかも定時に終わることは非常に少ない。この2週間前の「エイシスとガラテア」もやはり木曜日で行けなかったのであった。
今回も時間ギリギリでドトールの類に入る余裕もなくて空腹のまま。行きの京王線はラッシュで激混みだし、帰りは乗り継ぎ悪くて時間がかかってしまった(-_-メ)
家にたどり着いたときはくたびれてしまい、職場を早退できる時以外は平日に調布まで来るのは難しいと感じたのであったよ。

会場自体は典型的な多目的ホールで、あまり音楽に向いているとは言えない。ビルの中の公共複合施設で、北とぴあに似ている。ついでに言えば女子トイレの数が少ないところも同じだ。
行くかどうか迷っていてチケット買うのが遅れたので、後ろの方の席になってしまったんで余計に音の聞こえがよくなかったのかも。もっとも、近くに高田あづみ女史が座ってたのを目撃した。

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2011年2月10日 (木)

速報!BCJ放送

本日、バッハ・コレギウム・ジャパンの定期公演がありましたが、明日11日の午後0時15分からのNHK-FM「今日は一日“古楽”三昧」という番組で一部を放送するそうです。一体どの部分をやるのか--ナチュラル・トランペットか、はたまたロビン君のソロ・カンタータか

それにしても、こんな番組やるなんて知りませんでした。なんと6時間以上ですぜ。
リクエストも受け付けるとか……超マニアックなやつでもいいんですかね(^O^;)

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2011年2月 8日 (火)

さらば池袋HMV

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1月の末に池袋HMVのクラシック売場に行ったら改装工事中だった。掲示を読むとこれまで別区画にあったポピュラー系やDVDなどの売り場を全部詰め込んでしまうらしい。

ついに来る時がキタ━━━(>y<;)━━━!!
少し前にワールド・ミュージックやサントラのあった売り場のスペースが統合されちゃった時からいつかこうなるだろうとは予測していたのだが。
HMVはネット販売中心に移行するという方針だと聞いていたから、完全撤退しないだけマシなのか

で、今日、たまたま池袋行ったんで新装開店を見てきたわけだ。
その結果は……もう二度と行くことはあるまい、池袋HMV(T_T)/~~~サヨーナラ~

あっ(+o+)でもポイントが少しだけどたまってたはずだから、使わなくては
ジェフ・ベックのライヴでも買って終わりにするかなっと。
と思ったら、ネット販売でもポイント使用できんのね(^^)ゞ

もうあとクラ売り場で使えるのは渋谷タワーと銀座ヤマノぐらいか。新宿タワーは担当者変わったせいか、何気に「ぬるい」んだなー。

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2011年2月 6日 (日)

「J・S・バッハ:管弦楽組曲 全曲演奏会」:改めてバッハ先生のむつかしさを実感

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演奏:バッハ・コレギウム・ジャパン
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
2011年1月22日

久しぶりに来ました川崎ミューザ。BCJの管弦楽組曲で、しかもナチュラル・トランペット外人部隊を呼んだとあっては行かずばなるまいて

演奏順は1・4・2・3番。曲自体がそういう風にできているせいなのか?オーボエ、ファゴットといった管楽器が目立っていた。そしてもちろんJ・F・マドゥフ他のトランペット隊も神業プレイで、4番で登場して吹き始めた時は会場全体がホーッというどよめきが湧いた。そして音量が大きいにも関わらず、全体のサウンドに溶け込んで聞こえたのはさすがである。

一方、弦の方は寺神戸&若松というツートップなのに、全体に管楽器に比べて地味~(~_~;)な感じをぬぐえなかった。なぜだっ(?_?)

2番は菅きよみのラヴェルソに、チェンバロは鈴木(兄)御大自身が入って7人という小編成。いくら会場が大きさの割に聞こえがよいというミューザといっても、これはちょっと無理無理無理であった。

さて--以前にも書いたことがあるのだが、管弦楽組曲って有名な割にはコレっという演奏は少ないようだ。録音でも満足したのはほとんどない。今回、BCJでもそういう部分があったのはちょっと意外だった。
思わぬところでバッハ先生の一筋縄で行かぬところを見せ付け……聞かせ付けられたのである。

ところで、ブログ検索で他の人の感想を読んでたら、マドゥフ氏たちのトランペットについて大してうまくない、みたいなことが書いてあってビックリ(!o!)した。一体、もっとうまい奴というのはどこの誰だか教えてほしい……とコメント付けたろうかと思ったが不毛なのでやめた_| ̄|○


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2011年2月 5日 (土)

「マルコ・メローニ バロックギターリサイタル」:熱い檄文に感動です

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イーストエンド・(インターナショナル)ギターフェスティバル2011
会場:近江楽堂
2011年1月21日

古楽方面にはほとんどアナウンスされてなかった公演。
会場こそおなじみの近江楽堂だが、客層はやはり古楽関係とはかなり違っていた。

M・メローニは50歳ぐらいのイタリア人で、フランスの音楽学校でギターとバロックギターを学んだとのこと。ホプキンソン・スミスが大絶賛したとチラシにある。

前半はバルトロティという作曲家の組曲やバッハの無伴奏を。後半は同じフェスの出演者であるホルヘ・カルドーソとの二重奏でスペインの(多分)作曲家のギター曲を演奏した。カルドーソという人はアルゼンチン出身で、この世界では「神」扱いのギタリストだという。

メローニは背が低くガッシリ体型、髪は短く白のトレーナーを着て出てきたんでまるでアマレスリングの選手のように見えた。で、楽譜なしで立ってバロックギターを立て板に水のように弾きまくる。
休憩時間に若い男子二人がそのテクニックを「すげー」と感心していたが、確かにバッハのプレリュードを弾いた時には、弦の上を旋律が滑っていくような感覚にとらわれたほどだ。
ただ、一方で舞曲っぽさや、対位法にあまり拘泥してない演奏のように感じられた。そういう意味では個人的にやや不満であったよ。

後半のデュオは互いの弦をチラチラと見ながらで、即興性の強いものだった。これまた神業の連続だったようだが、二人ともそんな様子を微塵も見せずに淡々と弾いていたのであった。

というわけで、私にとってはいささか猫に小判なコンサートだったニャ~

さて、当日配布のチラシにはこのフェスの主催者の「熱い」ご挨拶が書いてあって、「日本のギター界を名実ともに世界水準へ引き上げる」という役割を果たすための一環として開催したとある。「それが実現した時に今まで肥沃な西洋音楽文化を享受するばかりだった私たちは、初めて能動的な恩返しを世界に向けて果たせることになる」
その心意気やよし!(*^^)d

そのために三人の名ギタリストを呼んで、公演だけでなくマスタークラスや日本人参加者によるコンクールもやったらしい。来年度の開催も決まっているとのこと。どこの世界にも熱心な人がいるんだなあと感心した。これからも頑張って下せえ。

ただ、フェスティバルの名称が統一されてなくて同じチラシに三種類もあるのは、どうにかした方がいいんでは……(^_^;)

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2011年2月 3日 (木)

「ロベレ将軍」:色男、金と大義はなかりけり

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監督:ロベルト・ロッセリーニ
出演:ヴィットリオ・デ・シーカ、ハンネス・メッセマー
イタリア1959年

イメージフォーラムで「映画の國名作選 1 イタリア編」というのの予告でやってて、見てみたくなった。他の作品はベルトルッチの『暗殺の森』とフェリーニの『道化師』だ。一か月の間に交互に上映するので、今ではほとんど消えてしまった名画座っぽいプログラムだが、一本1500円なんでそんなに安いとは言えないなあ。

ロッセリーニの作品は過去に見たことがあるんだかないんだか実はよく覚えていない 子供の頃にTV放映で何か見たかも知れないが……。
この作品は戦後すぐ名作を放った彼が一旦不振に陥った後に、再復活したというものらしい。ヴェネチア映画祭で金獅子賞を取っている。

1943年、ナチス・ドイツと手を結んだファシスト政権下のジェノヴァの町で、詐欺師の男が捕まる。彼はドイツ軍の下士官と手を組んで同胞から金をだまし取っていたのだ。
それを知った独軍将校が彼を利用して、レジスタンス活動の指導者的存在である将軍の替え玉に仕立てて、政治犯の監獄でスパイさせようと考えた……。

実際に見てみて意外だったのが、詐欺師の主人公が捕まるまでの話がかなり長かったこと。女を騙してヒモになって暮し、さらにドイツの収容所に送られる逮捕者の家族にうまいことを言って金を騙し取る--というケチな悪事を念入りに描いている。
なので物語の重点はレジスタンス自体よりも、一人の卑しい小悪党の男が最後に同胞のために戦うことを選ぶという「改心」にあるようだ。

主人公役は自らも名監督であるデ・シーカ。前半の「二枚目だが誠実さのカケラもない男」をうまく演じている。
もう一つ意外だったのは、主人公を監獄へ送り込むドイツ人将校があまり悪人ではないことだった。どちらかというと徹底した現実主義者という感じで、大義のために自らを犠牲にするなどというのは理解しがたい行動であるという人物。H・メッセマーはこの役で演技賞を取っている。

今の時点で見てみると、ちょっと前半が長過ぎ~という印象。それに話は感動的だが、主人公の改心が急すぎてあまり納得できないというか……。だから、独軍将校の方にリアリティを感じてしまうのは仕方ないことか。
もっとも、公開時にファシストの残党たちが映画館で騒いだなどという逸話も伝わっているので、当時はまだ生々しい問題だったようだ。

あと一つ見ててビックリしたのは出てくる女優さんが役柄年齢に関わらず、みんな非常な美人ばっかりということだ(!o!) 当時の日本の純朴な(?)映画青年たちが「イタリアには美女が成る木があるに違いない」と思い込んだとしても、オイラは驚かねえよっ--てなぐらいであった。

上映はなんでもDVDを使ったらしいが、初日からトラブルが頻発したそうな。私が見た前の回も途中で止まったか何かあったという話を後で聞いた。私の時は開場が遅れたぐらいで何もなかったけど。


大義度:6点
主人公ダメダメ度:9点


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2011年2月 2日 (水)

聴かずに死ねるか:マイナー・コンサート編 2月版

先月は「エイシスとガラテア」に行けませんでした。無念であ~る(>_<)

*26日(金)タブラトゥーラ

確定してるのはこれだけで、他には

7日(月)ヴァルター・ファンハウヴェ&田中せい子・ダニエレ・ブラジェッティ
12日(土)サクバット・コンソート・アンジェリーコ
13日(日)スコラ・カントールム定期
17日(木)アンテロープ・リコーダー・コンソート
19日(土)ブクステフーデ「夕べの音楽」
20日(日)募金演奏会 8 古楽の花束
      BWV2001
25日(金)アリアス・ヴォーカル・クァルテット

など、色々ありますな。
なお、A・シュタイアー「ゴルトベルク」と西洋館de古楽についてはレポートをお待ちしてまーす(@^^)/~~~

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