「ウォール・ストリート」:親子の絆=1億ドル也、高いか安いか?!
監督:オリヴァー・ストーン
出演:マイケル・ダグラス、シャイア・ラブーフ
米国2010年
O・ストーンの映画は多く見ている方だけど、『ウォール街』(1987年)だけは見ていなかった。理由は二つ、経済系が苦手なのと、当時のマイケル・ダグラスがなんか生臭い感じで今一つ好きになれなかったからだ。
しかし、こちらの続編を見るにあたって前作をレンタルで借りてきて初鑑賞。なるほどアカデミー主演男優賞を取っただけのことはあると納得した。DVDに入ってたインタヴューによると、M・ダグラスはそれまで軽っぽい役柄が多くて、この映画で転身したとのこと。それまで名優の息子としてのプレッシャーもかなりあったに違いない。
さて、前作では金とパワーを手に入れ我が世の春を謳っていた投資家ゲッコーは、23年後の今やム所帰りで、見る影もなく「あの人は誰?」状態。かろうじて「昔の名前出ています」で講演と本の出版で食っているのであった。
時代は変わり、彼がかつてやっていた強引なやり口は当然のこととなっている。そこへ今は疎遠な彼の娘と付き合っている銀行マンの若者が接近する……。
予告や宣伝では全然わからなかったのだが、ゲッコーは悪役じゃなくて別にいたのね~。ジョシュ・ブローリン扮する経営者の方だ。主人公の若者は彼に復讐するためにゲッコーのお知恵拝借ということで接近する。でもって今回の「若者」枠はシャイア・ラブーフだ。
前作では主人公は自分の父親とゲッコーの間で揺れてたのだが、今度は二人の「父親」とも煮ても焼いても食えないヤツ。このためドラマの盛り上がりは欠けてくる。そもそも本当の「父親並み」と認めていた人物は冒頭で姿を消しちゃうからねえ。
そしてラストは--えーと(~_~;)こりゃ金で親子の絆を買ったということですかい? そりゃ、家族だって親戚だって金がないよりゃあった方がいい。それは認めよう。
しかし、これはあんまりな話じゃないか? それとも家族の愛情なんて金で買えるもんよ--という皮肉だろうか。いや、そうは思えんぞ。
加えて、演出に冴えがないのも致命的だ~(=_=) さらに字幕担当が「あの人」とあっては踏んだり蹴ったりとはこのことだいっ。
実はこれを見る二週間ほど前に『ソーシャル・ネットワーク』を見たのだが、その時「こいつはオリバー・ストーン、分が悪いかも」と思ったのがその通りになってしまったようだ。金融業界とIT業界の違いはあるが、金と権力と人間関係を描いているのは同じであるはず。なんか切り口がヌルいのだ。
非情な世界を描いていたはずが大甘な話になってしまったようだ。いや、別に金も無く、可愛い娘も健気なムコもいない人間のヒガミと取っててもらって結構ですよ(-"-)
その他
*懐かしやトーキング・ヘッズの曲が多く流れる。
*チャーリー・シーンがノン・クレジットで特出。思えば、彼もあの頃は期待のルーキーだったんだけどねえ。
*スーザン・サランドン、フランク・ランジェラなど、豪華共演陣です。
*最近の米国製映画では珍しくタバコを吸っているシーンが多かった。
*J・ブローリンの社長の部屋はなにげに現代アートも多い。見たことないキース・へリングの作品、リチャード・プリンスのホラー看護婦さんもあり。
マネー度:7点
家族度:5点
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