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2011年2月13日 (日)

「ソーシャル・ネットワーク」:ヲタクの執念、世界をも動かす

110213
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ジェシー・アイゼンバーグ
米国2010年

日本(と数か国)以外では最大の人気を誇る「フェイスブック」の創設者マーク・ザッカーバーグをめぐるゴタゴタを描いた実話に基づく作品(フィクション)。

結論から言えば、すご~く面白かった\(^o^)/
登場人物はほとんど喋っているだけ。アクション・シーンもラブ・シーンもなんにもなし。それなのにこんなにハラハラドキドキして面白いとは。感心したぜいっ
さらに、登場人物のほとんどがイヤな奴ばっかり。まともな人間は出てきても数シーンだけ!というイヤ~ンさが炸裂だ
しかも、よくできた映画がしばしばそうであるように、これもまた観た人それぞれ多様な解釈が可能なようになっている。褒めるにしてもケナすにしても色々な意見があってこれまた面白い。

映画ファンにとってはこの作品、やはりデヴィッド・フィンチャーの映画だという認識だろうけど、米国ドラマ「ザ・ホワイトハウス」のファンからするとやはりなんと言っても脚本のアーロン・ソーキンの映画でもあるんだよねー。
あのドラマでも人物たちがもの凄い勢いで喋るんだけど、こちらの映画も同様。冒頭からソーキン節が炸裂だ。主人公が喋りまくる。相手が理解できないほど……(~_~;) 

主人公はハーバードの学生ながら見るからにヲタク。「格下」のボストン大のカノジョにふられて、腹いせにブログに彼女の悪口を書き込み、ついでに女子大生比較サイトをあっという間に作ってしまう。恐るべし、ヲタクの怨念である。いや、それとも能あるヲタクは爪を隠さず、か。そのため学内から顰蹙を買う。
次に優等生しか入れない伝統的かつ閉鎖的な学内クラブへの反感から、学内限定交流サイトを立ち上げる。しかし、そのアイデアは盗用だと訴訟沙汰になるのであった。

最初に出資した親友が広告主を求めてニューヨークをウロウロしている間に、会社は拡大。主人公は彼のセンスの古さに我慢できない。
そして金・地位・パワー(ついでに女も)が集まり、最年少の億万長者へ押し上げる。この業界の驚くべき変化の速さがスピード感を持って描かれている。

さて、アイデア盗用や親友からの訴訟騒動を通して語られるのは何か。
いかにも現代米国風の成功譚と見るもよし。超が付くような天才の前に凡人は去るしかないという厳しい現実を描いたとするのもよし。
ラストシーンからすると、いかに富と名声を得ても本当に欲しいものは手に入らないという寓話か。或いは、映画の作り手である旧世代の人間からの、若い時代の寵児へのやっかみか。それとも、友情と裏切りをテーマにした典型的な学園ドラマであろうか。

実際のザッカーバーグはこの映画と違って、社交的で昔から付き合ってる彼女はいるし、スポーツ系の部活もやっていたという。実話を基にして人物像を作っているのではないとしたら、どこが「真実」なのだろうか。
ほとんど直接的には描かれず、台詞で間接的にしか明らかにされてない部分がある。主人公は異常にプライドが高く(天才ゆえ?)それを損なうような奴は許さず、容赦なく叩き潰すということである。
女にフラれればネットでプライベートをバラし、双子に屈辱的な扱いを受ければ連絡絶ってアイデアいただき。親友がクラブに入会すれば「鳥事件」暴露。資金供給を絶って経営危機に陥らせた時は株の件で騙して切り捨て。さらにはギョーカイの先輩として憧れていた男を警察に密告して逮捕。
表出した事件自体はともかく、その行動は常に極めて猜疑心に満ち、人間性を疑わせるものである。

これはいま現在飛ぶ鳥落とす勢いの人物について、そのような「悪事」を暴き指摘した揚句に「いや、あんたはホントは悪者ではないよ」と言ってのけるとゆう、誠にアッパレな映画なのであった。イヤミだねえ~(^○^)

こちらのブログの記事は色々参考になるものだが、ポスターのオリジナルが載っている。これを見るとバーバラ・クルーガー風のポスターなのだった。直訳すると「数人の敵を作らずに5億人の友人を得ることはできない」だけど、言い換えれば「5億人の友達ができれば、二、三人の敵なんかキニシナイ(・∀・)!」ということだろうか。

若手の役者はいずれもお見事。特に主役のジェシー・アイゼンバーグはオスカー主演男優賞は間違いなし!と思われた……「英国王のスピーチ」が出てくるまでは。
エリカ役の女優さんが「ミレニアム」のリメイク版で主演するらしい。頑張って下せえ

台詞の情報量は膨大で字幕では半分も伝えられてるかアヤシイ気がする。「ザ・ホワイトハウス」もいつも吹き替えで見ていたんで、DVDが出たら吹き替えモードで見直すことにしたい。


スピード感:10点
人間不信度:9点


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