「ザ・タウン」:甘過ぎ注意報発令
監督:ベン・アフレック
出演:ベン・アフレック
米国2010年
ベン・アフレックの監督二作目。前作の『ゴーン・ベイビー・ゴーン』が今イチの出来だったのでパスしようと思ってたが、映画関係のブログで取り上げられている数が多かったので行ってみることにした。
ただ、賛否は見た人によってかなり分かれるようだ。
この作品もやはりボストンが舞台となっている。前作の感想にも書いたけど、ボストンは古い建物が多くて街並みが美しいが、実際には犯罪率が非常に高いそうである。そのせいかこの都市を舞台にした犯罪小説やハードボイルド小説は多い。この映画もそういう小説を原作としている。
若者四人組が銀行強盗をするのが発端。若い女性支店長を目隠しして人質にとって逃走し、途中で解放するが主人公は彼女のその後の動向を探っているうちにホレてしまうのであった。
手際よい強盗の手口や、狭い路地を逃走するカー・アクション、そして市街での銃撃戦などは手堅くキメて、思わずヨッシャ~(*^^)vと叫びたくなった。見ていて満足であ~る
しかし一方、若くして支店長をやるほどのヒロインがどうして主人公に惹かれるのか見ていてよく分からない。この二人のラブロマンスの描写がいささか甘すぎ~。虫歯になりそうよ。
他にも、街のボス然とした老人(先日亡くなったピート・ポスルスウェイト)がご近所の若いモンに強盗を嫌も応もなくやらせていて、そこから抜け出せないという仕組みがあるようなのだが、それがあまりよく実感できないのも難だ。
他所のブログ(後で探したがもう一度探し出すことができなかった(~_~))で、P・ポスルスウェイトやクリス・クーパーのような名優を出しといて出演時間があまりに短すぎるから、本当はもっと長くて過去の因縁などが描かれていたのではないかと推測していた。実際、最初は4時間ぐらいあったのを編集で切りに切ったらしい。削られた部分で色々あったんだろうなあという感じだ。
あともう一つ、今イチ感があったのは主人公の造形も甘すぎという点。主役はベン・アフレック自身でやらずに、他の役者にした方が良かったんじゃないの?
オスカーに親友役のジェレミー・レナーの方が助演賞ノミネートされたのは仕方ないという印象だ。特に終盤で彼がバッグの中からドリンクを取り出して飲む場面……ハードボイルドです
見ていて思い浮かぶのはM・マンの『ヒート』だろう。強盗や銃撃戦の場面もそうだけど、「晴れた日……」のくだりはアシュレイ・ジャッドとヴァル・キルマーの夫婦のエピソードを連想させる。ただ、あの瞬間が今生の別れとなる悲壮感はこちらの作品にはないのだった。
というわけで、けなしまくる必要もないが、褒めまくるのもどうか--というどっちつかずの所が結論である。
糖度:8点
辛度:6点
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