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2011年4月 9日 (土)

「サラエボ,希望の街角」:三つの音楽が流れる都市

110409
監督:ヤスミラ・ジュバニッチ
出演:ズリンカ・ツヴィテシッチ
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、オーストリア、ドイツ、クロアチア2010年

今の社会に生きる若い女性の苦悩を描いた作品である。
ヒロインはスッチーairplaneとして働くキャリア・ウーマン。しかし同棲中の恋人が勤務中に失態を演じて停職処分になった上に、怪しい宗教キャンプに行ってしまったきり戻ってこない。ようやく戻ってきたと思ったら、別人のように変わっていた--。
こういう話なら日本が舞台だとしても普通にありそうだ。

しかし、この映画の舞台はサラエボの街。十数年前の内戦から早くも復興を果たししつつある状態だ。ヒロインはイスラム教徒でかつて目の前で両親を殺され、生まれた土地から移住を余儀なくされた過去を持つ。
恋人は内戦時は兵士で、そのトラウマに悩む中で走ったのがイスラム原理主義なのだった。
生活のスタイルは完全に西欧と変わらないし、街なかにモスクはあるが、原理主義者となるとテロリストか日本なら新興宗教みたいな扱いである。同じ国の同じ信者であってもこんなに温度差があるのは意外であった。

愛する男が自分とは正反対の価値観を持ったと知った時どうするか。彼に従っていくか、それとも自分を貫くか……というのはどこの国・時代でもある意味、不変の悩みだろう。そんな女性映画的な部分には戸惑ったが(何せ普段あまり見ないジャンルなんで(^^;)、複雑な歴史や文化を背景に自己の再生を力強く誓う物語として重ね合わせて見ることもできるのだった。

同時に監督は、モダンな都市生活者でもなく厳格かつ旧弊な原理主義者でもなく、ヒロインの祖母が体現しているような素朴な信仰に生きる人々が本来の姿であるとみなしているようだ。もちろん祖母たちもイスラム教徒なのだが、どちらかというとスラブ民族的なメンタリティを多く持っているように思える。それは様々な宗教や思想がこの地で交錯するはるか以前から存在する原初的な精神なのである。

映画の中で三種類の音楽notesが流れる。一つは女友達のボーイフレンドのクラブでかかるラップ・ミュージックで、鬱屈した若者の心情が歌われる。
もう一つは原理主義者たちがキャンプなどで歌う素朴な信仰を表した歌。
そして祖母の家や町の祭りで流れるのは民族音楽っぽい哀愁と情熱が混ざったような曲。そのいずれもがそれぞれの人々内面を反映しているようだ。
特に、モスク内のコーランの朗誦(でいいのか?)は「音楽」じゃないかも知れんが、その美しさに驚いてしまった。

あと、関係ないけど女友達が頼りになるヤツで羨ましいぞっと(^J^)

というわけで、若い人(特に女性)が見るにふさわしいような内容だったのだが、何せやってる場所が岩波ホールだけにジジババ度spa高しで、残念よ。もっとも岩波ホールでなきゃこんな映画やってくれないだろうけど。


ところでタイトルの「サラエボ,希望の街角」の「,」は一体なんだ?「,」は(?_?)
日本語じゃねえぞpunch 責任者連れてこ~い(*`ε´*)ノ☆


女性度:7点
社会度:6点


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