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2011年4月24日 (日)

「ザ・ファイター」:あなたの家庭は鬼何匹?

110424
監督:デヴィッド・O・ラッセル
出演:マーク・ウォールバーグ
米国2010年

実在のボクサー兄弟の物語で、オスカーの助演女優&男優賞を獲得した作品。事前の下馬評で二人の受賞ほぼ確実とされていて、その通りになった。

主人公の一家は米国の白人下層いわゆるホワイト・トラッシュに属し、なんと9人きょうだいで、物語の中心となる兄・弟以外に7人もの姉妹がいる。スゴー(@_@;)
加えてさらにキョーレツな母親がいる。姑(ぢゃないけど)と小姑合わせて合計なんと鬼一万匹分のパワーが爆発だ~

で、才能があったのに刑務所を出入りしてチャンスを逃した兄と騒がしい女家族に包囲されて、地味な弟はボクサーとして期待されているが不満と不安を抱いているのであった……。
母・姉妹に劣らずしっかりモンのガールフレンドを見つけて転機を迎えるが、前途多難。やっぱり心細くて兄ちゃんの助言は欲しいよ~((+_+))
てな感じで、揺れるボクサー心はどこへ行くよ。

事前に母親役のメリッサ・レオと兄役のクリスチャン・ベイルの熱演はやり過ぎ--という評判を聞いていたが、確かにその感はある。しかしずっと見ていくうちに、そもそもモデルとなった人たちがこれぐらい「やり過ぎ」なキャラクターだったんではないかなと思うようになった。
ま、思い返せばこれほどキョーレツな人物は実際にいるわけで……。そばにいられたら非常に迷惑だが その通りに演じたら却ってウソ臭いと思われてしまうのもナンだかなあ。難しいところである。

ただ、そのようなキョーレツなキャラクターの「熱演」を捉えているカメラは常にシニカルな距離を保っているのが、他の実録ものとは違っている。いつも突き放して見ているという印象だ。この監督の作品は「スリー・キングス」しか見てないが、持ち味がそもそもそういう所にある人だったはず。
一方、ボクシングの試合の場面は迫力たっぷりは保証付き しかし、前にも書いたことがあるが、実際の試合というのはそんなに面白いのは少ないんだよねえ。テレビじゃなくてナマで見るとまた違うのかしらん。

結局、主人公は家族となんとかうまく折り合いをつけてやっていくという道を選択する。家族の良い所を得るには悪い所も我慢しなければならないという当然の理ではある。
主役のM・ウォールバーグは二人の役者の熱演に押されてしまっているように見えるが、それは実際の主人公の立場をそのまま表現したものなのだろう。


ボクシング点:8点
家族点:5点


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