「ナンネル・モーツァルト 哀しみの旅路」:修道女か伴奏者か
監督:ルネ・フェレ
出演:マリー・フェレ
フランス2010年
モーツァルトは守備範囲外なんで最初は見に行く予定はなかったが、気が変わって急きょ鑑賞してみた。
モーツァルトに知られざる才能のあった姉がいた!ということで、抑圧された女性芸術家、あるいは巨大な天才の前にかすんでしまった芸術家の苦悩--みたいな話を期待していったのである。が、当ては大きく外れてしまった(+o+)
貴族の館を馬車で旅して回るモーツァルト一家。きょうびの貴族は支払いが悪い、現金で払えっちゅうの、ゴルァ(~_~メ)と愚痴る父レオポルドに対し、11歳の弟の鍵盤伴奏を務めるナンネルは、弟と共に作曲術を学せてちょーだいと頼むのであった。しかし父からはつれない返事「女に作曲はできん」であった。
実は、物語がこの肝心なところに至るまでが結構長い。フランス国王の娘たちと会うエピソードが長々出て来て、一体こりゃなんだとか思っちゃう。全体そんな感じで、演出が悪いのか脚本が悪いのか、話が絞り切れずにダラダラと続く。
で、その挙句の結論が、ヒロインが作曲をあきらめたのは弟モーツァルトが偉大過ぎたせいでもなく、女だからというわけでもなく、フランス王太子との恋に破れたためなのであった
はぁ(@_@)そうですか、ってなもん。肩すかしな感じで終了するのである。
途中でナンネルが作曲したという曲が演奏されるが、実際は現存してなくて、現代の作曲家が想像して作ったとのこと。なんちゃって古楽でもなくトンデモ古典派でもなく中途半端な印象だ。
建物や衣装は美しいが、王様の娘がいつも同じドレスで着た切りスズメなのはちょっと問題あり。それにフランス映画なんで、台詞はすべてフランス語だ。
監督の娘たちが出演、編集なども身内でやっているようだ。そういう家内工業な部分が裏目に出たのかも知れない。
唯一の拾い物は、弟モーツァルト役の男の子ダヴィド・モロー君。実際に音楽学校の生徒だそうで、ヴァイオリンだけでなく鍵盤も達者に弾いて見せてくれてた。しかも、ヤンチャな少年で実物のモーツァルトも11歳の頃はこんなだったのか、と思わせてくれましたよ(*^^)v
この時の国王はルイ15世とのことで、その王太子ったらルイ16世じゃないのと一瞬、疑問に思ったが、なんでも父親より早死にしてしまったそうな。王子様もつらいよってところですかな。
ところで、モーツァルトの姉よりもバッハ先生の娘たちはどうだったのかね。そっちの方が興味があるぞ。遺伝子的には才能があった確率が高いんだが。
女性芸術家度:4点
王宮度:6点
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