「ミツバチの羽音と地球の回転」:ビワ食いたいっ
3月に朝日ニュースターの「ニュースの深層」に監督が出て映画が紹介されたのを見て、このドキュメンタリーを見に行こうと思った。しかし、その週の金曜に震災が起こってしまい、ようやく今になってアンコール上映に行けた次第。
内容は大体三つのパートに分かれていて、中部電力の原発建設計画に反対する瀬戸内海の山口県祝島、国民投票で脱原発を決めたスウェーデンの現状、そしてまた日本に戻って将来を探る--というもの。
祝島では30年近く反対運動が続けられていて、それに多くの時間を取られてしまっているとのこと。その中心を担っているのは中高年のオバチャンたち……(^o^; 元気だ
TVで監督が語っていたが、同じ海域の他の地区は漁業権を売ってしまっているそうで、唯一祝島が売らずに頑張っているらしい。
今は人口減に悩む島であるが、冒頭で千年以上も前から続けられているという漁船を連ねた祭りが紹介されて驚く。まさしく網野善彦の日本列島論を彷彿とさせるものだ。宗像教授がいたらウンチクを長々と開陳しそう。
スウェーデンでは自然エネルギーへの様々な取り組みや、国民がそれぞれどんな方式による電力か選択して購入できる様子が紹介されている。
印象に残ったのは、スウェーデンの中でも貧しい市が風力エネルギーを売って財政難を立て直し、化石燃料をなるべく使わない発電所を作ったり、効率的な酪農施設を作ったくだりである。牛舎でエサはベルトコンベアで運ばれ、牛は自分で搾乳機に入っていく。酪農家は、前は年に20日ほどしか休めなかったが今はゆっくり休暇が取れるとのこと。
ところが、先日地上波のTVで六ヶ所村の核燃料施設について取材した番組の中に、地元に作られた同じようなハイテク牛舎(ただし、もっと大規模)が出て来たので驚いてしまった。施設を受け入れた交付金や援助で建てたのだという。
これってなんか優先順位が変ではないか? 雇用や産業の支援が必要なら、何も核燃料施設など経由せずに直接地元に対して産業振興とか使えばもっと費用をかけずにかつ効率的にできるんじゃないの
なぜに(?_?) 何者かに利益が回っているのかねえ~。
全体的に見ると、時間が長いのとそれから原発受入派がほとんど取材されていないのが難であるが、それより新たな未来を模索する側の取材に力を入れたと見るべきか。
あとタイトルが覚えづらいのには困った
それにしても登場する祝島産のヒジキやビワがおいしそうです 映画館出たところで売ってたらすぐ買っちゃうよ(^_^)v
さて、テーマに関係なくもう一つ印象に残ったのは、原発について重要な議決時の町議会の傍聴についてもめた時である。数百人もの町民が来ていているのに傍聴席は20しかない。中に入れろ入れないという大混乱になるが、役場の職員たちは大勢の町民の必死の抗議に対してただ無言のまま道をふさぐ。
「上司の人に伝えてもらうということだけでも出来ないですかねえ」という声に、年嵩の職員が小声で絞り出すように「すいません」とかろうじて漏らしたのであった。
どんな騒動になろうと、町民が何を訴えようと、語らず動かず--これこそ、H下フ知事が理想とする粛々と「上司の命令を守」る公務員の清く正しい姿に他ならないではないか\(^o^)/ 素晴らしい
持続可能点:9点
タイトル点:6点
【関連リンク】
祝島で語る「今、おきていること。これからのこと」
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