「クリストフ・ルセ チェンバロ・リサイタル」:行く人来る人
東日本大震災 チャリティ・コンサート
会場:上野学園 石橋メモリアルホール
2011年6月1日
ルセは大震災の1週間後にチャリティ・コンサートを行おうと決意し、東京と大阪で開くことになった。ノーギャラで交通費も自弁だとか。
さらにチェンバロ製作者のマーク・デュコルネと調律師も同行とのこと。
ルセは前日に到着してそのままリハーサルという強行軍だったらしい。ご苦労さまです
私は最初行く予定はなかったのだが、やはりその心意気に感動してチャリティ協力ということで\(^o^)/……と言いたいところだが、実はそんな殊勝な心がけではなく、このコンサートでフランソワ・クープランを聴いて、もう一度聴きたくなってしまったという不純な動機からであった。ルセ自身は北とぴあ音楽祭(もう十数年経ってるのね)での公演に行ったことがある。
仕事終わってから会場に行ったので既に「一階は満席なので二階へどうぞ」状態だった。二階どころかステージの上にも関係者席が並べられていた。
内容はルイ・クープランとその甥フランソワの曲集二つずつを交互に休憩なしで出ずっぱり1時間40分演奏。
F・クープランの鍵盤曲というと、これまでレオンハルトの録音と大塚直哉の生演奏を聴いたのが主なものだ。しかし、二人とも当然フランス人ではない。やはり本場の鍵盤弾きはどう弾くのかと期待したのだった。
その結果は……意外にも「健全」
ルイの方は質実--「剛健」ではなくて「地味」。抑制された中から粋の精神がほの見える印象だ。
フランソワはというと、一見ダルに寝そべっている若い娘っ子に「アイス買ってきたよー」と声をかけると「きゃー、うれピー」(←死語^^;)とむっくり起き上がってくるみたい。変な例えですいません。まあ、そんな本質の健全さである。これがご当地流か。
先日の藝大公演でもやはり同じく、フランソワの曲集第2巻第8オルドルが演奏されたのだが、その中のパッサカリアでは大塚直哉は執拗な反覆の中に圧倒的な悲哀を感じさせた。しかし、今回のルセではそんなことはなかった。
そういう点では個人的にもうちょっと退廃的な面を期待していた私にはややガッカリ感があったと言わざるを得ない。
歌手と同じで鍵盤奏者も(あとガンバ弾きもそうか)聴く場合には、上手い下手よりも個人的な好みが優先してしまうのかも知れないねえ~(+_+)
アンコールは3曲もやってくれて、サービス満点であったよ。NHK-FMで放送予定とのこと。
終演後は募金する人が大勢でごった返していた。
| 固定リンク | 0
コメント