「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」:アートの沙汰も金次第
いや~、こりゃ面白かった\(◎o◎)/!
町に出没しては壁などに描きまくるグラフィティ・アート。文字通り小学生の落書きに毛が生えた程度から芸術の域に達しているものまで様々である。
このドキュメンタリーはその方面では有名な覆面アーティストであるバンクシー自らが監督。なんとアカデミー賞にもノミネートされちゃったのだ。で、知られざるストリート・アートの世界を紹介してくれる作品だ……と、予告を見た時には思ったんだけどね。
米国在住のフランス人で撮影マニアの男(本職は古着屋経営)がひょんなことからストリート・アートの世界に関わり、その制作現場の一部始終を記録するようになる。公共の場とはいえ壁やシャッターという他者の所有物に絵を描くんだから、下手すりゃ逮捕である。男は撮影だけでなく、見張り役や制作のお手伝いまでやるようになっちゃう。
さて、その中でもバンクシーは美術館の展示室の壁へ勝手に自分の作品を飾ったり、公衆電話のボックスを路上でインスタレーションにしたり、さらにはパレスチナでイスラエルが作った「分離壁」に落書きする、といった過激なゲリラ的活動を行なっている。彼は男に撮りためた映像をまとめて映画作品にするように勧めたのであった。
ここで突如意外な展開が MBW(ミスター・ブレインウォッシュ)なる新人アーティストが出現したのである。
その人物自身は美術方面の心得が大してあるわけではないが、各種スタッフを集めて指示を出して大量のグラフィティ作品を制作(このやり方にはデミアン・ハーストが引き合いに出されている)。これまでの実績など皆無なのに、あの手この手で高い評価を得てしまうのだった。
全くもって一瞬先は闇だか光
だか分かんない、魑魅魍魎の跋扈する美術界といえよう。あっけに取られちゃう。
そのような金と欲が支配する現代アートシーンを皮肉たっぷりに批判的に描いている。
だがちょ~っと待った 果たして、本当にMBWはここに描かれている通りの人物なのか? そして彼についてのバンクシーを含む他のアーティストの感慨は本当のことを述べているのか?
もしかして、これって美術界をおちょくった疑似ドキュメンタリーじゃないの(~o~;)
……などと思うと全てがアヤシイ
かように見る者をケムにまく、謎と風刺とバカバカしさに満ちた作品である。
美術ファンとドキュメンタリー好きは、見て損なしと保証しておこう。
それにしてもストリート・アートでもウォーホルの影響は大きいのだなと感心。やはり現代美術はデュシャン先生とウォーホルで決まり(*^^)vですか。
驚愕度:8点
おちょくり度:9点
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