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2011年7月 3日 (日)

「テンペスト」:乙女ヴァージョン

110703
監督:ジュリー・テイモア
出演:ヘレン・ミレン
米国2010年

「テンペスト」はシェイクスピアの作品中でも、比較的上演に当たり外れが少ないものだろう。芝居でも映画でも見て「詰まんないfoot」と思ったことはない。祝祭的で様々なアレンジが可能でいかようにも料理ができる。これが「ハムレット」あたりだと主人公が何考えてるかよく分からんし、そもそも長いし……と、高名な割に満足できたためしがない。

今回の映画化では主人公のミラノ大公プロスペローをヘレン・ミレンがプロスペラとして演じるという趣向である。
なるほど(ポンと手をpaper打つ)H・ミレンの女魔法使い、こりゃ怖そう(>y<;) さぞ島に流れ着いた男どもを手荒く翻弄してくれるんだろうな。娘ミランダとの関係も面白そうだ。
それに、監督は「ライオンキング」の演出で一躍名を挙げたジュリー・テイモアじゃござんせんか。
期待は高まりますぞ~(*^^)v

かつて弟の策略によりミラノ大公の地位を奪われ、幼い娘と共に島流しにされたプロスペラ、憎き仇たちが船で通りかかったのを好機に難破させて島へおびき寄せる。
孤島の中をさまよううちに、彼らは一人また一人と姿を消していき--そして最後には誰もいなくなったempty
おっと(~o~)こりゃ違う話だ!

プロスペラがまず取りかかったのは、娘のムコ候補であるナポリ王の息子を厳しくチェック。薪運ばせて根性試しだ~。
この王子様がまた大昔の少女マンガみたいに、花と星とさらにネギと鍋をしょった軟弱な二枚目shineとして流れ着く。おまけに歌まで歌っちゃうO(≧▽≦*)Oキャーッ 乙女心をくすりぐますわkissmark

ヒロインは歳くったとはいえ、妖精のエアリエルや怪物キャリバンからまだ「女」として思いを寄せられる立派な「現役」であることが示されつつ、大公の地位を取り戻し、娘に理想のムコをあてがい復帰するというメデタシメデタシな大円団に至るのであった。
女として母としてこれ以上の満足はあるまい。

彼女以外のキャストも豪華fuji ナポリ王はデヴィッド・ストラザーン、その弟はアラン・カミング、宿敵である自らの弟にはクリス・クーパー。お笑い担当はアルフレッド・モリナと若手ラッセル・ブランド。妖精&怪物はベン・ウィショーとジャイモン・フンスー--と渋いところから若いモンまで各種網羅しております。
道化役のラッセル・ブランドはどう見てもいかれたフーテン(死語)のあんちゃんにしか思えないが(衣装もそんな感じだ)。

しかし、ここがシェイクスピア作品の映画化の難しさ。名優や個性的な役者を取り揃えても面白くなるわけではないのだ。
さらに決定的なのは映像にマジックがないこと。ハワイでロケしたそうで、荒涼とした岩だらけの大地や奥深い森などが登場するが、魔法に満ちあふれているはずのプロスペラの島が描けていない。
なんだか現実の風景の中で、ああ役者さんたちが演技しているなーという印象しか湧いてこない。一方、エリアル出没のCG使いまくりにも違和感あり。

女としての予定調和のうちに終わるこのヴァージョンは、正直なところかなり期待外れだったと言えよう。
ただ、音楽はよかった。ラストのプロスペラの独白はエンドクレジットと共に、往年の4ADサウンドを彷彿とさせる曲調で歌われる。思わず聞き入ってしまう。その背景の映像こそが最も幻想的イメージに満ちあふれていたのであった。

というわけで、今のところ「テンペスト」映画化ベストcrownは『禁断の惑星』ということでよろしいかな。あとD・ジャーマン版も××年ぶりに見直してみよう。


魔術度:5点
豪華キャスティング度:8点

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コメント

この映画、オランダでは公開予定がまだ決まってないんです。どういうことでしょう。ヘレン・ミレンが好きなので、興味ある映画ですが、イマイチですか。。。トレイラーで見るエアリアルのCG処理、確かに違和感を感じました。(<-ベン・ウィショーも好きな俳優なのです)
シェークスピア作品の中では映像化しやすいと、わたしも思うのですが、役者揃えてもそれだけでは安易すぎてだめってことね。

投稿: レイネ | 2011年7月 4日 (月) 16時12分

ヘレン・ミレンや他の俳優がご贔屓なら見ても損はないと思います。
オヤヂ連中は渋い所を取り揃えてるし、若いカップルはキュートだし。
観客が、予想より若い人が多かったのはラッセル・ブランドやベン・ウィショー目当てだったのかも。

ただ、「幻想劇を見ている」--というより「幻想劇を演じている役者を見ている」という感じになってしまうのが困ったもんです。

投稿: さわやか革命 | 2011年7月 6日 (水) 06時01分

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