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2011年8月

2011年8月28日 (日)

「ハリウッド・バビロン」1・2

110828
著者:ケネス・アンガー
PARCO出版2011年

スターの醜聞はハリウッドの花--映画ファンでゴシップ好きなら必読の書
長らく絶版となっていた名著がこの度復刊されたので読んでみた。著者のケネス・アンガーは実験映画の監督としても知られるが、相当な映画ヲタクだったようで、その容赦ない辛辣な書きっぷりの背後に愛憎がチラチラと交錯している。

「ハリウッドこそ最悪の都、ソドムであるサンタモニカと、ゴモラであるグレンデールを郊外にしたがえた、まさしくバビロンの再来である」

セックス、ドラッグ、殺人、陰謀……は序の口で、なんでもあり。
面白かったのは、チャップリンの懲りないロリータ趣味。裁判沙汰になってもやめられねえ~。ロリコンの魂百までも、か
映画界から政治へと方向転換したやり手の策謀家ケネディの父。
大作『風と共に去りぬ』の監督途中交降板劇の真相は、ふむふむ( ̄ー ̄)そういうことだったのね。
悲惨な人気子役の末路。今も昔も変わりません。
『市民ケーン』の、あのキイワードの本当の意味は オーソン・ウェルズ、よくも殺されずにすんだものよ。
ヒッチコックはやはり変●だったか--何を今さら、作品みてりゃ一目瞭然だって?
現在に至るまで様々なミステリ小説、映画の元ネタとなった「ブラック・ダリア事件」は現場写真付き。

ハリウッド映画の最盛期というのはなんとなく1940~50年代あたりかと思っていたのだが、この本によるとサイレント時代だったようだ。これは驚きである。大衆はこぞって映画館へ押しかけたらしい。収録されている事件もこの時代のものが一番多い。
私も40年代あたりまでの俳優ならなんとか名前ぐらいは知っているが、サイレント時代となると完全にお手上げである。

当時の役者たちにとっての最大の危機はトーキーの出現であり、いかにそれまで人気があっても「声」で脱落するものは多かった。今の3Dなんてメじゃない大革命だったことかうかがい知れる。

などなど、単にスキャンダル集というだけでなく映画と社会の関わりについても色々と教えてくれるタメになる本なのであった。さすが伝説の名著ヽ(^o^)丿面白かった!

死体写真などエグい写真多数あり。もっとも、そんなことを気にする人間は最初からこの本を手に取らないだろう。それに、最初に日本で出版された時はもっと大きな判型で写真がかなり中心に扱われていたそうだが、今回はペーパーバックと同じなので、迫力はかなり薄れているのでご安心を

併映作品としておすすめは『サンセット大通り』『イブの総て』『何がジェーンに起こったか』あたりだろうか。おっと『市民ケーン』を忘れちゃいけませんな。それに『マルホランド・ドライブ』はこの本のイメージをそっくりそのまま映像にしたようだ。

「映画の都として世界的に有名になって以来、この新興都市ハリウッドに、まるでサーチライトに群がる夜の蛾のごとく、あやしげな連中が集まってきた。(中略)しかし、愚か者の金鉱ハリウッドから掘りだせたのは、砂と泥ばかり。」

やっぱり、スターの醜聞はハリウッドの花--咲けば咲くほどに腐った香りと輝きが増すのである。


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2011年8月27日 (土)

「エッセンシャル・キリング」:負のアクション・ヒーロー

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監督:イエジー・スコリモフスキ
出演:ヴィンセント・ギャロ
ポーランド・ノルウェー・アイルランド・ハンガリー2010年

逃げろ逃げろ逃げろ...((((((((( ((;-o-)

ひたすら一人の男が逃げる様子を描いた映画である。なんとそれだけでほぼ全編が説明できてしまうという……。
他の部分はほとんどないと言っていい。そもそも台詞が極端に少ない。ギャロ演じる主人公に至っては一言もしゃべってないようだ。

冒頭、アフガニスタンの荒涼とした岩山で、現地の人間らしき男が逃げ回る。米軍に捕えられて拷問された後に、悪名高きグァンタナモ米軍基地に送られるかと思いきや、着いた先は雪の中。はて、ここは東欧か北欧か(?_?)
そして今度は雪に覆われた森林地帯を逃げ回る羽目になる。時折、幻想のように妻子らしき人の姿が浮かび、そしてコーランの一節が聞こえるだけだ。

見ていて、この男は逃走し続けてどうするのだろうと思ってしまった。言葉も通じぬ遠い異国の地で、家族の元に戻れる当てもなくどうする気なのか。

監督は『ランボー』(と『サクリファイス』)を引き合いに出しているらしい。確かに、名も知らぬ地で殺人もいとわず逃げ続ける男の姿は、ハリウッド映画を裏返したアクション・ヒーローとでも言うべきものである。やってること自体はほとんど同じだといえよう。しかし、誰も彼を褒めたたえてくれる者はいない。

雪に覆われた山河の光景や、ラストの白馬の姿は極めて印象的である。ただ、前作の『アンナと過ごした4日間』でも「川を流れる牛」と同様、そういう映像の使い方を「あざとい」と感じる人がいるかも知れない。

いずれにしろインパクトあり強烈な作品なのは確か。不良ジイサン監督にまたもしてやられたという印象だ。
V・ギャロはヴェネチア映画祭で主演男優賞を獲得したそうだが、演技がどうのこうのというより文字通り「ごくろうさん<(_ _)>」賞ということだろう。


監督不良度:9点
アクション非情度:9点


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2011年8月22日 (月)

「フランチェスコ・ラージ」:歌は涙かため息か

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演奏:南蛮ムジカ
会場:求道会館
2011年8月20日

フランチェスコ・ラージといっても全く聞いたことがない。
なんでも初期バロック期のイタリアで活躍した歌手にして作詞作曲家だそうで、シンガーソングライターのはしりと言っていいようだ。楽譜の残っている最古のオペラとして知られるベーリ「エウリディーチェ」に歌手として参加、そしてモンテヴェルディの「オルフェオ」初演ではタイトルロールを歌ったという。こりゃ、音楽史上で大した人物なのであった。

そんなラージ氏を聴いた。歌うは辻康介である。彼の歌はジョングルール・ボン・ミュジシャンのコンサートで中世歌曲を聴いたことしかないのだが、実はイタリア留学してバロックを学んでいたとのこと。
南蛮ムジカとは彼のユニットで、他のミュージシャンはその都度変わるらしい(多分)。この日はスピネットの根本卓也、テオルボの佐藤亜紀子が共演だった。

さらに会場も珍しい。1915年に建てられた浄土真宗の教会堂という、日本近代建築史上貴重なものだ。(詳しくはこちらをご覧下せえ) 場所は東大のすぐそばである。
靴を脱いでスリッパに履き替えて入る。内部は自由学園明日館講堂をこじんまりさせたような印象である。

前半はラージ自身の作品が7曲歌われた。おそらくご本人は当時こんな風に歌ったであろう姿を彷彿とさせるものだった。
合間に佐藤亜紀子が小曲を挟んだりした。会場があまり残響が多くないために却って音が明確に聞こえ(近江楽堂なんかだと残響あり過ぎで音がぼやけた感じになってしまうのだ)、それがまたとっても心地良い音なのであった。テオルボでもリュートでもこれまでこんなに気持ちのいい音は聴いたことがねえ~というぐらい。
スピネットの音は初体験だと思うが、チェンバロよりも撥弦楽器っぽい印象だった。
で、この二人が曲を抒情的にますます盛り上げるのであったよ。

後半はラージが歌手として歌った「オルフェオ」から数曲。さらにドド~ンと感情揺さぶる歌が続く。
えー、コンサートの趣旨に反してしまうけど、正直な所やっぱりモンテヴェルディって卓越した作曲家だったんだなと思ってしまった。前半のラージと比べるとね(^_^;) まあ、歌曲集とオペラじゃ傾向も違うとは思うけど……

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ラストの曲だけ「エウリディーチェ」から。これはなんと悲劇的なオルフェウス神話をハッピーエンドにしてしまった作品だそうな。

会場も含めて全体的に満足感の高いコンサートであった。
ただ、辻氏のMCはいささかクセがあって「ちょっと気に入らんな<(`^´)>」と感じる人もいるかも。

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2011年8月21日 (日)

最後の連載

中村とうよう自殺の報を聞いてからはや一か月……。(過去の記事はこれこれですな)

「ミュージック・マガジン」誌の9月号が出たんで買ったが、さすがに誌面構成を変える余裕はなかったらしく、特集は山下達郎のままで、湯川れい子と原田尊志の追悼文が載っているだけだ。ちゃんとした追悼特集は10月号になるようだ。

二人の追悼文を見てページをめくったら、連載コラムの「とうようズ・トーク」が出て来たんで驚いた。誰か代理で書いているのかと思ったが、読み進むとまぎれもなくご本人の文章で最後には自殺のことまで触れているではないか!(しかもユーモアめかして)
なんと自殺の当日に編集部に原稿が届いたとのこと。死の直前に書き上げたようだ。その用意周到さと意志の強さにアゼン(+o+)とするばかりである。
意志薄弱な私だったら送った途端に「やっぱり死ぬのはヤメタ」と決意を翻したくなっちゃうに決まってる。

参りました_| ̄|○


死の直後にブログやらツイッターで関連記事を読んでいたら、未だに「ロッキング・オン」誌とのいざこざに触れている文章が出て来てこれまた驚いた。まだ続きをやってんのかい
こういうどうしようもない縄張り争いみたいのがロック・ファン、いや音楽ファンの性というヤツかね。

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「黄色い星の子供たち」:正しさと面白さと

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監督:ローズ・ボッシュ
出演:ジャン・レノ
フランス・ドイツ・ハンガリー2010年

「御説ごもっとも!」……だが実際見て面白いかというと(?_?) ハテナ印が付いてしまうのがこの映画である。

ナチス・ドイツ占領下のパリで行われた一万三千人のユダヤ人一斉検挙--行く先はもちろん強制収容所だ。
この事件についてフランス政府が責任を認めたのは1995年になってからだという。

監督はジャーナリスト出身で当時の記録や目撃者の証言などを集めて作ったらしい。
だが、作品は序盤からどうも焦点が定まらず散漫である。ユダヤ人居住区の複数の家庭、フランスの行政側、ヒトラーとその周辺が並列的に描かれるのだが、互いの話が絡み合うわけではなく、単に「こうでした」と並べているだけに過ぎない。
特にあんまり似てないヒトラーの登場するシークエンスは果たして必要だったのか、疑問である。作り手の方は、どのような経緯で行われたのか史実を描きたかったのだろうと推測するが、ヒトラーのソックリさん物についてはこれまでに出尽くしてしまっているので、今さら感がぬぐえない。直に出すより脚本でうまく処理しろってな印象だ。

中盤以降の検挙が行われるくだりからはさすがに生存者の話を元にしているだけあって、迫力満点な描写となる。
とりわけ競輪場に集められ押し込められる場面は震災の避難所を想起させて、見ててウツになってしまった(>_<)

途中からジャン・レノの医師とメラニー・ロランの看護婦が中心となってくるが、むしろ親との再会の望みを捨てて逃走した少年を主人公にして話を組み立てた方がよかったのではないの? 子役が中心だからお涙頂戴になりかねないが、よくよく考えると壮絶な人生であるよ。
史実を客観的に描くんだったらドキュメンタリーの方がふさわしかっただろう。

というわけで趣旨には文句を付けようがないが、できた作品はであった。
役者については子役とおとーさん役はグッジョブ

フランス政府は長くかかったとはいえ、それでもよく責任を認めたもんである。当時のネトウヨの類が騒がなかったのかね。


子役点:8点
ヒトラーそっくりさん点:5点

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2011年8月16日 (火)

「カーズ2」(3D字幕版):「2」は「1」の続きならず

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監督:ジョン・ラセター
声の出演:ラリー・ザ・ケイブル・ガイ、オーウェン・ウィルソンほか豪華声優陣
米国2011年

待ってました『カーズ』(字幕版はこちら)の続編である。
久々にジョン・ラセター現場監督復帰ということもあって期待大で、よし)^o^(今度も字幕版で行くぞーと意気込んだんだけどね……。

字幕版やってねえ~~(>O<) やってても数少な~い
仕方なく都心の映画館へ行った。
ところが、字幕版はそんなに混んでいないにもかかわらず、窓口のおねーさんにすごい前方を割り当てられてしまい、3D鑑賞にはかなり不利な状況となってしまった。こりゃマイッタ(@_@)
実際見てみると、字幕追うのに目がチカチカしてストーリー把握するのが精一杯であったよ。

前作は洗練されたレーサー車ライトニング・マックィーンが、田舎町に放り込まれてさあどうするよ--という話だったが、今回はその逆で「ド」がつく田舎者、ぢゃなかった田舎車のメーターが国外へ飛びだし世界を 股にかけ タイヤにかけ活躍。しかも本人はよく分かってないけどJ・ボンドみたいな国際スパイとしてなのだった。
「女王陛下のスパイ車」の声の出演は、なんと名優マイケル・ケイン……と言ったらやっぱり「国際諜報局」ですな。
のっけから手に汗握るスパイ(車)アクション・シーンが展開して驚かされる。

メーターのおっちょこちょい振り、日・伊・英と回る華やかなワールド・グランプリ、代替エネルギーをめぐる策謀(そういや『ウォール・ストリート』もこのネタが出てきましたな)、忘れ去られた車の秘密結社等など、こりゃ完全にスパイ物のパロディみたいな感じで前作とは全く違~う(x_x) ちとガッカリだ。

……と思ったけど、よくよく考えてみれば前作のようなしみじみ路線で、あれ以上の出来を極めるのは無理だろう。となれば、全く違う方向を目指したのは賢明だったかも、と思い直したのであった。

ただ車ネタ全般、特にオンボロ車関係はカーキチ(死語?)でないとよく分からない印象は強い。どうしてレモンがテーブルに飾ってあるのかも意味不明だったし(下のリンクを参照のこと)。
とはいえ、へこみを大切にするメーターはええヤツです でも、友人のデートの邪魔はいかんよなあ。
もう一度、今度は吹替版で映像をじっくり見てみることにしよう。

R・ニューマンが音楽担当を降板したのは残念。
声優はフランコ・ネロヴァネッサ・レッドグレーヴ組やその他豪華出演陣が嬉しい。

日本の場面では、首位を譲った東京タワーと今は亡き歌舞伎座が出現 思えば世の移り変わりが激しいです。イタリアでは「法皇車」、英国では「女王車」が登場したのに日本では何もなしなの……(^^? やはり、やっちゃいけないネタなのか。
しかし、一番の日本ネタが至れり尽くせりの高機能(?)トイレというのは笑ったというか、そんなに驚異なんだ日本のトイレである。
ついでに書いちゃうと、コンサートでホールのトイレに入るとウォッシュレットの方には点字や英語で説明がついてたりするのに、肝心の「洗浄」ボタンにはどこでも漢字しかないのはなぜだ? オペラシティなんてガイジンさんが来るだろうにさ。

なお、恒例のオマケ短編はなんと『トイ・ストーリー3』後日譚という嬉しいもの。ドジなケンをおなじみの面々みんなで盛り立ててやるという涙ぐましい(?_?;お話しで楽しい。

吹替版の感想を書きました。

友情度:7点
日本のトイレ:9点

【関連リンク】
《水曜日のシネマ日記》
《ノラネコの呑んで観るシネマ》


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2011年8月14日 (日)

「田中さんはラジオ体操をしない」:あなたは体操をするか

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監督:マリー・デロフスキー
オーストラリア2008年

これは見る人を選ぶ作品--というより、見る人は見るだろうし、見ない人は何を言おうが見ないだろう。
ということで、この手のテーマがイヤな人は初めから読まないことをおすすめしたい。

このドキュメンタリーの主人公・田中さんは大手電機会社で働いていたが、始業時間より前に職場でラジオ体操を強制されるようになったのに抗議して、やがて解雇されてしまう。
以後、会社の門の前でテンガロンハットをかぶり毎朝ギターを抱えてプロテストソングを歌うようになったのであった。それを続けること30年!
もちろん「たかがラジオ体操に意地を張るなんて」とか「ラジオ体操、健康によくてけっこうじゃないか」という意見もあろう。

しかし、それについては田中さん本人が解説している。ノンビリした職場だったのが、電電公社(当時)から来た「やり手」が社長になり、方針転換とリストラを宣言。大量解雇をした揚げ句に、さらに異端分子を排除するために用意した「踏み絵」……それがラジオ体操だったのだ。
ここで問題となるのは組織の中で評価されるのが、「勤勉」でも「能力」でもなく「忠誠」ということである。となれば、その中で人々が励むのはおべっかを使い媚びへつらうことであり、能力向上や外部へのサービスではなくなってしまう。
おっと、そういや最近似たような事例を幾つか……。他分野から転身して行政の長になり、「改革」を叫んでまずやるのがリストラと「忠誠」を試すこと、というヤツだ。

その場合差し出される「踏み絵」において実のところ重要なのは「絵」の方ではない(「絵」の意味に関らず)。常に「踏む」という行為が問題なのである。身体による行為の統制こそが、支配の最もあからさまな形態である。かつて独裁者たちがいかに統制された身体を好んだか想起してみよう。
この作品の中でそれが期せずして明らかにされているようだ。

話がそれた(^=^;
普段は自宅でギターや英語(かなりブロークン(^^;)を教える塾を開き、シンガーソングライターとしてCDも出しているという田中さんは、かなり個性が強くてキョーレツな人物である。身近にいたらちょっと大変かも 脇で見ている限りでは「こんな人物がいるんだー」と感心するけど。

監督はオーストラリアの人。ネットで彼の画像を見て興味を持ったとのこと。パートナーも同じようにトラディショナル・ソングや労働歌を歌ってるようだ。もう少し音楽ネタがあるのかと思ってたら、それほどでもなかった。
タイトルに反して、作中でラジオ体操をする場面が出てくる(^O^)のだが、なんとあの音楽はカット。アンチ「ラジオ体操」な内容には使用許可が出ないらしい。どうしたことよ、NHK

ひたすら田中さんに焦点を当てたこの作品、ドキュメンタリーに「潔く正しく公正に」というのを求めている人は、見ない方がよろし。

それにしても、職場でのつまはじきの例として「旅行のおみやげが自分だけ配られなかった」というのは、ガイジンに理解できるのか


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2011年8月13日 (土)

「西遊妖猿伝 西域篇2・3」

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著者:諸星大二郎
講談社2010・2011年

感想を書くのが遅くなってしまった。
3巻が店頭に並んでいるのを見て、モロホシ先生来たーッ(^^)/とすぐに購入。早速読み始めたのだが、どうもこれまでの話を忘れてしまったらしい。そこで、本棚を探すが1巻は見つかったものの2巻の方がいくら探しても出て来ない。1巻のラストを見てみると、この先を読んだ記憶が全くないのであった……。

2巻目買い忘れた~(☆o◎;)

またやってしもうた……_| ̄|○

3巻を買った本屋へ行くと2巻が一冊だけあった。ヨカッタ

ゾロアスター教の悪鬼まで出て来て大変だー。一体いつになったら天竺にたどり着けるのでありましょうか?
双子と4つ目の犬がカワユイ こういうキャラクターをからませるのが巧いです。
それと、八戒が奥方のところへ忍び込むところがコワイ(-_-;) 仮面も不気味だ。急にそこだけ展開のテンポがのろくなって、エロ怖いというか……諸星先生の本領発揮であろう。

それにしても3巻のラストの続きが気になる。双子どうなるのか。4巻目は買い逃さないようにしなくては、ですよ(@∀@;


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2011年8月10日 (水)

「ビクトリア没後400年に寄せて~そして、光の彼方へ」

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演奏:アンサンブル・ビクトリア
会場:同仁キリスト教会
2011年8月6日

坂の上の小さな教会で行われたコンサート。
会場はこじんまりした空間だが、満員で補助椅子まで出たのには驚いた。

ビクトリアと言えばスペインの作曲家--と思っていたが、二十年近くローマで音楽活動していたというのはちとビックリ。小品もあるが、今回の聞かせどころはやはり「第四旋法のミサ」と「死者のためのミサ」か。
編成はソプラノ3、CT1、テノール・バスが2ずつである。会場が小さいので、この人数でもかなり声が迫って聞こえる。

私はシロートゆえ歌手の技量等はよく分からんけど、ルネサンス期のポリフォニーの綾や華麗な曲の展開を十分に堪能した。
とはいえ、このように正統的なアプローチには、今一つ心惹かれなくなってしまったなあと個人的に感じたのも事実であったよ。


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2011年8月 8日 (月)

「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」(2D字幕版):魔法大戦争、涙の決着

110808
監督:デヴィッド・イェーツ
出演:ダニエル・ラドクリフほか豪華共演陣
イギリス・米国2011年

遂に終了した長編ファンタジー。原作は3巻目まで読んだけど、その後は挫折。映画は結局すべてリアルタイムで見てきたのであったよ。
今回はこれまでの教訓を踏まえ、レンタルで4巻以降をイッキ視聴。万全の態勢で鑑賞に挑んだのであった
で、その結果は……

最終巻!いや~~面白かったですう\(^o^)/

と、言いたいところではあるが、実際には

あー、終わったな(*´ー`) フッ

--だったのよ。

パート1の方は全ての結論は先送りみたいな終わり方だったんで、どうなることかと期待していたんだけど……。
確かに学園での総攻撃場面は戦争映画みたいな展開で大迫力。これまで登場してきたそこここが破壊されるのは痛快でさえある。
マクゴナガル先生は意外にもお茶目なところを披露、ロンのかーちゃんの恐ろしさ(でも、なんで学校にいたの?)もよーく分かった。

しかしその後の、肝心の一騎打ちが尻すぼみというか、訳ワカラン状態のまま終わってしまったのはどーしたことよ。なんでも原作ならちゃんと分かるように説明されているらしいが、映画だけだと説明ナシのまま丸め込まれちゃったような印象でスッキリしない。
さらにヴォルデモート配下の悪役組がパッとしないのも今イチ物足りない。敗因は優秀な部下がいなかったせいか?なんて思っちゃう。
そういや、ハグリッド(登場時間少ない)とロン(登場時間多いけど)も見せ場なしだったな。

スネイプ先生の秘密がついに明らかに! こりゃ確かに泣ける(/_;)話だが、それ以外に盛り上がれる部分がないのもちと寂しいという気がする。
ハリーがその秘密を知る前の態度もおかしい。彼にとってはスネイプはダンブルドアの仇じゃなかったの? そのままだったら「ざまーみろ」なんて思うはずでは。そこら辺の心理描写もないし。

タイトルになってる「死の秘宝」の意味も結局よく分からず。物語の展開にほとんど関わっていないようなんだが

残念ながら、私にとってこのシリーズは花火大会のように毎年開催してくれるイベント映画以上のものではなかったということだ。

(元)子役たちは、これから自由に色んな役に挑戦して役者として精進していただきたい。イメージを払拭するのは大変だろうけど。
どーでもいい事だが、ハーマイオニーがべラトリックスに変身した場面で、ヘレナ・ボナム=カーターがエマ・ワトソンのしぐさを完コピしているのに笑ってしまった。さすがT・バートンのヨメだけでなく大した役者でもある。


スネイプ:10点 大変よく出来ました
ハリー:5点 もう一息です
あの人:1点 やり直し


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2011年8月 7日 (日)

パワポの功罪

久しぶりに仕事関係の研修会に行ってきた。
この歳になるとすっかり勉強しようという気もなくなって、「定年まで残りあとウン年、このまま過ぎ去るのを待つのみ(@^^)/~~~」みたいな感じになってしまい、何か新しいことを学ぼうという気もなくなくってしまうのであった。

しかし、このままではイカンと電車を乗り継いで行ったのだったよ。ムシ暑くってかなりマイッタが。
二日間だったけど、驚いたのはどの講座もみんなパワーポイントを使用していること……なに?いまどきそんなの当然だって(^^ゞ いや、私なんか一度も触ったことさえありません(火暴)

見やすいし、途中で動画も挿入できたりして便利なもんだが、一方で弊害も--。
どれもこれも内容に関係なくみんな同じような印象になってしまうのであった。説明聞きながらボーッ(゜.゜)と眺めていてそれでオシマイ。

「えー、ご質問は?」
「……」
「では、ご意見は?」
「……」
「出ないので、それでは名簿順に伺っていきます」
「(~o~;)アセアセ」

こんな調子なのが何度かあった。困ったもんであるよ。
というわけで、今回の研修で一番の収穫は、某駅のエキナカにあるイタ飯屋が非常に良いということであった。ワインもおいしかったぞ。でも、わざわざ某駅まで出かけることなんて滅多にないからなー。

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2011年8月 6日 (土)

「Peace ピース」:ネコは許せても人間は許せねえ

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監督:想田和弘
日本・米国・韓国2010年

『選挙』や『精神』が話題となったドキュメンタリー監督想田和弘の新作。

支援団体を運営し高齢者・身体障碍者の送迎ゃヘルパーをしている中年夫婦の日常を淡々と記録していく。
合間に夫が自宅の裏庭で近所の野良猫たちにエサやりをしている光景が挟まれる。平和な野良猫集団に出現した「どろぼう猫」、そして縄張り争い……。

そして、夫妻がケアする91歳の男性「橋本さん」が突然に自らの兵士としての戦争体験を語り始める。
「Peace」とは彼が愛飲しているタバコの銘柄でもある(末期の肺がんなのに!)。それまで一度も話題にしたことがなかったのをここで急に話をしたというのは、恐らくカメラを意識してのことだろう。
そして、裏庭の猫たちと「どろぼう猫」が和解と共生へと向かう。

過激なネタもなく静かに日常を撮っているだけであるが、見る者には何がしかの思いが浮かび上がるのであった。

これまで監督が撮ってきた「観察映画」の「番外編」というだけあって、これまでにも増してアッサリ味である。同時にテーマの突き詰め方が薄味な部分もあり。
ミクシィの映画レヴューで「共生と言ってるけど、近所の住人と猫についての問題は置き去りにしている」という意味のことが書かれていて、なるほど(~_~;)とうなずいてしまった。
映画の中で奥さんが「近所に文句言われて困ってる」と語っている場面がちょこっと出てくるが、冒頭見ただけで「あー、こりゃ近所から非難されてるだろうなあ」と思ってしまった。絶対「まあ~、あそこのご主人は野良猫にエサやったりして。ホントに迷惑よねー」とか言われてるに決まってるぞ
猫嫌いなご近所の住民に理解を求めるのは無理だろう。

猫の方は気にしてないだろうけどな。問題は人間同士であるよ。

夫妻と監督の関係は、ヨメさんのご両親ということらしい。事前情報で知ってたから問題なかったけど、何も知らずに見てたら分かったかニャー(=^・^=)


ネコ共生点:8点
人間ピース点:5点


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2011年8月 1日 (月)

聴かずに死ねるか:マイナー・コンサート編 8月版

さすが8月は公演自体が少なめです。

*6日(土)「ビクトリア没後400年に寄せて」(アンサンブル・ビクトリア)
*27日(土)「スペインの光の中のビクトリア」(Laudesi Tokyo)
なぜか真夏のビクトリアであります。

他には
*5日(金)ザ・ロイヤルコンソート
今回は声楽アンサンブル付き。絶対行きたいんだけど、遠方での研修会と重なってしまった(T_T) なんでこういう時に限って……。間に合ったら当日券で行くぞ~。
*20日(土)南蛮ムジカ
F・ラージという作曲家は寡聞にして知らず、であります(^^ゞ

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