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2011年8月14日 (日)

「田中さんはラジオ体操をしない」:あなたは体操をするか

110814
監督:マリー・デロフスキー
オーストラリア2008年

これは見る人を選ぶ作品--というより、見る人は見るだろうし、見ない人は何を言おうが見ないだろう。
ということで、この手のテーマがイヤな人は初めから読まないことをおすすめしたい。

このドキュメンタリーの主人公・田中さんは大手電機会社で働いていたが、始業時間より前に職場でラジオ体操を強制されるようになったのに抗議して、やがて解雇されてしまう。
以後、会社の門の前でテンガロンハットをかぶり毎朝ギターを抱えてプロテストソングを歌うようになったのであった。それを続けること30年!
もちろん「たかがラジオ体操に意地を張るなんてsweat01」とか「ラジオ体操、健康によくてけっこうじゃないかok」という意見もあろう。

しかし、それについては田中さん本人が解説している。ノンビリした職場だったのが、電電公社(当時)から来た「やり手」が社長になり、方針転換とリストラを宣言。大量解雇をした揚げ句に、さらに異端分子を排除するために用意した「踏み絵」……それがラジオ体操だったのだ。
ここで問題となるのは組織の中で評価されるのが、「勤勉」でも「能力」でもなく「忠誠」ということである。となれば、その中で人々が励むのはおべっかを使い媚びへつらうことであり、能力向上や外部へのサービスではなくなってしまう。
おっと、そういや最近似たような事例を幾つか……。他分野から転身して行政の長になり、「改革」を叫んでまずやるのがリストラと「忠誠」を試すこと、というヤツだ。

その場合差し出される「踏み絵」において実のところ重要なのは「絵」の方ではない(「絵」の意味に関らず)。常に「踏む」という行為が問題なのである。身体による行為の統制こそが、支配の最もあからさまな形態である。かつて独裁者たちがいかに統制された身体を好んだか想起してみよう。
この作品の中でそれが期せずして明らかにされているようだ。

話がそれた(^=^;
普段は自宅でギターや英語(かなりブロークン(^^;)を教える塾を開き、シンガーソングライターとしてCDも出しているという田中さんは、かなり個性が強くてキョーレツな人物である。身近にいたらちょっと大変かもtyphoon 脇で見ている限りでは「こんな人物がいるんだー」と感心するけど。

監督はオーストラリアの人。ネットで彼の画像を見て興味を持ったとのこと。パートナーも同じようにトラディショナル・ソングや労働歌を歌ってるようだ。もう少し音楽ネタがあるのかと思ってたら、それほどでもなかった。
タイトルに反して、作中でラジオ体操をする場面が出てくる(^O^)のだが、なんとあの音楽はカット。アンチ「ラジオ体操」な内容には使用許可が出ないらしい。どうしたことよ、NHKpunch

ひたすら田中さんに焦点を当てたこの作品、ドキュメンタリーに「潔く正しく公正にshine」というのを求めている人は、見ない方がよろし。

それにしても、職場でのつまはじきの例として「旅行のおみやげが自分だけ配られなかった」というのは、ガイジンに理解できるのかsign02


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