「ハリウッド・バビロン」1・2
スターの醜聞はハリウッドの花--映画ファンでゴシップ好きなら必読の書
長らく絶版となっていた名著がこの度復刊されたので読んでみた。著者のケネス・アンガーは実験映画の監督としても知られるが、相当な映画ヲタクだったようで、その容赦ない辛辣な書きっぷりの背後に愛憎がチラチラと交錯している。
「ハリウッドこそ最悪の都、ソドムであるサンタモニカと、ゴモラであるグレンデールを郊外にしたがえた、まさしくバビロンの再来である」
セックス、ドラッグ、殺人、陰謀……は序の口で、なんでもあり。
面白かったのは、チャップリンの懲りないロリータ趣味。裁判沙汰になってもやめられねえ~。ロリコンの魂百までも、か
映画界から政治へと方向転換したやり手の策謀家ケネディの父。
大作『風と共に去りぬ』の監督途中交降板劇の真相は、ふむふむ( ̄ー ̄)そういうことだったのね。
悲惨な人気子役の末路。今も昔も変わりません。
『市民ケーン』の、あのキイワードの本当の意味は オーソン・ウェルズ、よくも殺されずにすんだものよ。
ヒッチコックはやはり変●だったか--何を今さら、作品みてりゃ一目瞭然だって?
現在に至るまで様々なミステリ小説、映画の元ネタとなった「ブラック・ダリア事件」は現場写真付き。
ハリウッド映画の最盛期というのはなんとなく1940~50年代あたりかと思っていたのだが、この本によるとサイレント時代だったようだ。これは驚きである。大衆はこぞって映画館へ押しかけたらしい。収録されている事件もこの時代のものが一番多い。
私も40年代あたりまでの俳優ならなんとか名前ぐらいは知っているが、サイレント時代となると完全にお手上げである。
当時の役者たちにとっての最大の危機はトーキーの出現であり、いかにそれまで人気があっても「声」で脱落するものは多かった。今の3Dなんてメじゃない大革命だったことかうかがい知れる。
などなど、単にスキャンダル集というだけでなく映画と社会の関わりについても色々と教えてくれるタメになる本なのであった。さすが伝説の名著ヽ(^o^)丿面白かった!
死体写真などエグい写真多数あり。もっとも、そんなことを気にする人間は最初からこの本を手に取らないだろう。それに、最初に日本で出版された時はもっと大きな判型で写真がかなり中心に扱われていたそうだが、今回はペーパーバックと同じなので、迫力はかなり薄れているのでご安心を
併映作品としておすすめは『サンセット大通り』『イブの総て』『何がジェーンに起こったか』あたりだろうか。おっと『市民ケーン』を忘れちゃいけませんな。それに『マルホランド・ドライブ』はこの本のイメージをそっくりそのまま映像にしたようだ。
「映画の都として世界的に有名になって以来、この新興都市ハリウッドに、まるでサーチライトに群がる夜の蛾のごとく、あやしげな連中が集まってきた。(中略)しかし、愚か者の金鉱ハリウッドから掘りだせたのは、砂と泥ばかり。」
やっぱり、スターの醜聞はハリウッドの花--咲けば咲くほどに腐った香りと輝きが増すのである。
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