「Peace ピース」:ネコは許せても人間は許せねえ
『選挙』や『精神』が話題となったドキュメンタリー監督想田和弘の新作。
支援団体を運営し高齢者・身体障碍者の送迎ゃヘルパーをしている中年夫婦の日常を淡々と記録していく。
合間に夫が自宅の裏庭で近所の野良猫たちにエサやりをしている光景が挟まれる。平和な野良猫集団に出現した「どろぼう猫」、そして縄張り争い……。
そして、夫妻がケアする91歳の男性「橋本さん」が突然に自らの兵士としての戦争体験を語り始める。
「Peace」とは彼が愛飲しているタバコの銘柄でもある(末期の肺がんなのに!)。それまで一度も話題にしたことがなかったのをここで急に話をしたというのは、恐らくカメラを意識してのことだろう。
そして、裏庭の猫たちと「どろぼう猫」が和解と共生へと向かう。
過激なネタもなく静かに日常を撮っているだけであるが、見る者には何がしかの思いが浮かび上がるのであった。
これまで監督が撮ってきた「観察映画」の「番外編」というだけあって、これまでにも増してアッサリ味である。同時にテーマの突き詰め方が薄味な部分もあり。
ミクシィの映画レヴューで「共生と言ってるけど、近所の住人と猫についての問題は置き去りにしている」という意味のことが書かれていて、なるほど(~_~;)とうなずいてしまった。
映画の中で奥さんが「近所に文句言われて困ってる」と語っている場面がちょこっと出てくるが、冒頭見ただけで「あー、こりゃ近所から非難されてるだろうなあ」と思ってしまった。絶対「まあ~、あそこのご主人は野良猫にエサやったりして。ホントに迷惑よねー」とか言われてるに決まってるぞ
猫嫌いなご近所の住民に理解を求めるのは無理だろう。
猫の方は気にしてないだろうけどな。問題は人間同士であるよ。
夫妻と監督の関係は、ヨメさんのご両親ということらしい。事前情報で知ってたから問題なかったけど、何も知らずに見てたら分かったかニャー(=^・^=)
ネコ共生点:8点
人間ピース点:5点
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