« 「Georg Philipp Telemann 5 ~トーマス・メラナー氏を迎えて」:涙のオーボエ愛のリコーダー | トップページ | 汚染地図 »

2011年9月17日 (土)

「未来を生きる君たちへ」:このふがいない父よ

110917
監督:スサンネ・ビア
出演:ミカエル・パーシュブラント
デンマーク・スウェーデン2010年

アカデミー賞とゴールデン・グローブ賞の外国語映画賞をWゲットした本作、かなり期待して見に行ったのであるよ。

二つの対照的な世界が舞台である。片方はアフリカの難民キャンプ、もう片方はデンマークの港町である。二つの世界をつなぐのはデンマークに住む医師で、キャンプでの医療にたずさわり、定期的に双方を行き来している。
医師の息子は学校でイジメにあっており、難民キャンプの外では暴力が横行している。すなわち、対照的なようでありながら、実は双方の世界には同じ苦悩が存在するのだ。

それなりに平穏を保っていた二つの世界に、より暴力的な存在がそれぞれ出現することによってその均衡は崩れる。一人は息子のクラスに転校してくる少年、もう一人はキャンプに怪我をしてやってくる暴虐な男である。
医師は両者に非暴力主義によって規範を示そうとするが、それは見事なまでに失敗してしまう。

結局のところ、混沌とし暴力が横行する世界において、一番勇気あったのはいじめられっ子で弱い奴と思われていた息子であったのが終盤に示される。
では、父親の医師は……? いくら物語の全てに白黒つける必要はないといっても、理想はうまく行きませんでした、後は何事もなかったように子どもたちに期待を託しておしまいでは納得いかんぞ~(--〆)ゴルァ

ということで、終盤はなんとなく腰砕け状態であった。
映像や役者の演技は文句なし。凧揚げをしている場面は郷愁に満ちていて美しい。


苦悩度:8点
解決度:6点

| |

« 「Georg Philipp Telemann 5 ~トーマス・メラナー氏を迎えて」:涙のオーボエ愛のリコーダー | トップページ | 汚染地図 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「未来を生きる君たちへ」:このふがいない父よ:

» 未来を生きる君たちへ [映画とライトノベルな日常自販機]
この映画では、人を許すことの難しさ、理由のない暴力やそれに対する報復による不幸の連鎖、夫婦・親子・友人の気持ちのすれ違いなどが二組の家族を中心に描かれています。 いくつかのエピソードごとに感想を書いてみます。 【すれ違う父と子】  クリスチャンは父親から“報復からは何も見いだせない”と言われますが、彼は“やりかえさなければいつまでもやられっぱなしだ”と主張します。主張が反発すればするほど彼と父親の溝は大きくなります。父親との反発が強くなるほどクリスチャンのやられたらやり返すというのが爆弾作りにまでエ... [続きを読む]

受信: 2011年12月 5日 (月) 17時03分

« 「Georg Philipp Telemann 5 ~トーマス・メラナー氏を迎えて」:涙のオーボエ愛のリコーダー | トップページ | 汚染地図 »