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2011年9月11日 (日)

「ミラル」:女たちのパレスチナ紛争

110911
監督:ジュリアン・シュナーベル
出演:ヒアム・アッバス、フリーダ・ピント
フランス・イスラエル・イタリア・インド2010年

もはやアートよりも映画の方の活躍で知られるようになったJ・シュナーベルの監督作品である。

監督自身はユダヤ系だそうだが、この映画の主人公はエルサレムのアラブ人女性たち。
一人は私財を費やし1940年代末から孤児のための学校を作り運営してきたヒンドゥという人物である。
彼女の長年にわたる活動を背景にして、三人の女性の姿が描かれる。ミラルの母、彼女と刑務所で同房になった看護師、そしてミラルである。特に後半は少女だったミラルの成長の過程をたどる。
ユダヤ人との軋轢、暴力、不和--少女はそれらに触れざるを得ない。避けて生きることはできないのである。

などと書くと、シリアスな社会派ドラマのように思えるが、そのようなタッチではない。凝った幻想的な映像のせいもあって、シビアなテーマの割には重苦しくはない。あくまでも時代の中で生きた女たちの半生を淡々とつづるという印象だった。

そして最後には和解の道筋が(極めて細いものだけど)示されるのだった。

ミラルを演じるフリーダ・ピント(『スラムドッグ$ミリオネア』)の美少女振りは相当なものだが、美少女には関心の薄い私は、やはり孤児と共に生きたヒンドゥ役のヒアム・アッバスの演技に圧倒された。さすがの一言である。
できれば彼女の生涯を正攻法で描いたのを見てみたかった。大河ドラマ風になってしまうかもしれないけど……。
ウィレム・デフォーとヴァネッサ・レッドグレーヴがホントにチョイ役で特出。

見終わって、なんとなく物足りない気がしたのは、ミラルが双六のように最後に「上がり」でハイ一丁(@^^)/~~~だからか、それともタッチが淡々としすぎているからか。なんだか狐に鼻をつままれたまま終わってしまったようなのだった(?_?)


これから上映予定作品の予告を四本ばかりやってたが、どれ一つとして見たいのはなかった(>_<)
しかもそのうち半分は家族の和解・再生を描いたもの。災厄の後は家族に戻れってことですかい? 縁がないね~

淡々度:8点
和平到達度:6点


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コメント

ミラル見ました。ハリウッド映画よりはましでした。
実際には、パレスチナには希望が見えません。
そこは描かれていませんでしたので、終わり方がヘンでした。

投稿: 久米仙人 | 2011年9月12日 (月) 08時31分

一応最後に但し書きが出てきましたが(^^;)--知らない人が見たら和平が実現してると思ってしまうかもしれませんね。
物語の終わった時点では、ということでしょうか。

投稿: さわやか革命 | 2011年9月16日 (金) 06時58分

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