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2011年10月29日 (土)

オペラ「ヴィーナスとアドニス」抜粋:あのセレブ美女が若い男にぞっこん!四角関係で炎上(週刊「神話」中吊広告より)

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アンリ・デマレ生誕350年
演奏:マティルド・エティエンヌ、マラン・マレ・スペシャル・ユニットほか
会場:近江楽堂
2011年10月21日

デマレはルイ14世時代に人気があった作曲家である。マレやシャルパンティエなどと並び活躍したとのこと。しかし弟子の女性と駆け落ちして逃走、国外追放と同じような境遇になってしまったらしい。

彼の作品はCDで宗教作品しか聞いたことがなかったが、演奏会形式でオペラをやるというので行ってみた。
会場が近江楽堂だからそもそも大編成ではない。ヴァイオリン×2、ガンバ、チェンバロに、歌手はソプラノ二人にバリトン一人というものだ。

このうち知っているのは、チェンバロの野澤知子とバリトンの辻康介ぐらい。ソプラノの片方は、フランスから来日した古楽系若手歌手のマティルド・エティエンヌだ。

オペラの内容は、女神ヴィーナスが王子アドニスに恋をしてしまうところから始まる。それを聞いて「冗談じゃないわよ」状態なのはアドニスの婚約者シディップだ。女神を非難し、その夫の軍神マルスに訴え復讐を決意する。
で、ヴィーナスがちょっと目を離したすきに、マルスが巨大怪獣--ぢゃなかった、怪物を召喚し国土を破壊。怪物と戦ったアドニスは戦死してしまい女神は嘆き悲しむのであった。

オリジナルでは当然アドニス役が出るのだろうが、今回はそのパートはすっぱり削除されている。
このような小規模な形でオペラなどをサロンで演奏するというのは当時よくあった形態だという。

主役のヴィーナスがエティエンヌ女史で、身体は小柄だが顔の造作がナタリー・ポートマンを大きくしたようで、いかにも舞台映えする美女ではありませぬか
彼女は中盤までの、新しい恋に有頂天になって周囲の声も耳に入らぬ若い娘のようになった女神を表現し、一転終盤では恋人を失った悲嘆を切々と歌った。まことにお見事である。
それに対し、婚約者役の樋口真理子はいかんせん線が細すぎ。今後の精進を期待します。

マルスを歌ったのが辻康介で、これまで彼については中世歌曲とイタリアものは聞いたがおフランスものは初めて。助演的な役どころのせいかこれまでの押しの強い歌い方ではなく、受け手に回った印象。でもマルスなんだからもうちょっと強く出てもよかったんじゃないの(?_?)という印象だ。

実は歌手とは別に女優の語りが入っていた。乳母役として場面場面でストーリー説明し、これから歌われる内容を紹介する。これが淡々と語るだけならいいんだけど、絶叫したりするのにはマイッタ。音楽が十分に心情を語ってくれるというのに、それ以上に加えてどうするよてなもん。まさに屋上屋を重ねるとはこのことだいっ。

楽器の演奏の方は、これまで海外で活動していた(?)人たちなのだろうか。そつのなく、少人数で情感をよく表していた。

日本では上演機会が皆無に近い、珍しいデマレのオペラを聞けただけでも元は取れた公演といえよう。エティエンヌ女史も素敵(*^o^*)ポッでしたわよ。
彼女は北とぴあ音楽祭参加公演である野澤知子のリサイタル(10月30日)にゲストで出るもよう。バロック・ジェスチャーも披露してくれるようだ。旧古川庭園の洋館というロケーションもバッチリである。興味のある方はどうぞ。
残念ながら、私は藝大で皆川先生のお話を聞かねばならぬ……。


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