「フェア・ゲーム」:美人過ぎるCIAのママは何でも知っている
監督:ダグ・リーマン
出演:ナオミ・ワッツ、ショーン・ペン
米国2010年
「奥さまの名前はヴァレリー。そして、だんな様の名前はジョー。ごく普通の二人は、ごく普通の恋をし、ごく普通の結婚をしました。双子の子供も生まれました。でも、ただひとつ違っていたのは……奥さまはCIAだったのです!」
911直後から始まる実話をもとにした作品。当時、新聞でCIAエージェントの女性が正体をばらされて窮地に陥った……とかいう話は読んだ覚えがかすかにあるが、こういういきさつだったとは初めて知った。
監督が『ボーン・アイデンティティー』の人なんで、話はドキュメンタリー・タッチでサクサクと進む。ほとんど再現ドラマを見ているみたいだ。ただし、配役は豪華版である。
ブッシュ政権下、CIAはイラクに核兵器は存在しないと分析するが、ホワイトハウス側は宣戦布告したいがために圧力をかけて報告をねじ曲げる。元・大使であるヒロインの夫が義憤に駆られてマスコミに真相を訴えると、報復に妻がCIAであることを暴露されてしまう。おかげで彼女が関わっていた十数もの極秘の計画も中止、エージェントとして使いものにならない状況に追い込まれる。
ネットの感想を見ると前半は退屈で、後半になると面白くなった--という意見が多かったが、私は逆に感じた。
前半の世界を股にかけた諜報活動(というほど派手ではないが)とそれをめぐる策謀が、後半に至ると夫婦の絆と愛情に限定された話に収束してしまうのはアレレ(@_@;)と肩すかしな印象である。
もっとも、夫婦を演じるオナミ・ワッツとショーン・ペンの熱演はさすがとしか言いようがない。特にペンが「闘わずして葬り去られるのか」と問うところは、思わず感動してしまったぜい
ラストは二人の汚名が晴れてメデタシではあるが、でっち上げられた戦争に巻き込まれたイラクの市民や、作戦中止でほったらかしにされて殺された協力者たちは浮かばれめえ。
「CIAはやっぱり正しかった!」と言われてもねえ……(-"-)
ところで、日本政府の公式見解はまだ「大量破壊兵器はあった」のままなのかね。誰か訂正したというのを聞いた覚えがないが
と、クサしてはみたが、こんなネタで映画を作れてしまうのはさすがハリウッド。日本で、今の事態を十年後に社会派映画にできるかというと無理だろう。
サム・シェパードが父親役で特出。ヒロインの実物ご本人が、N・ワッツに引けを取らない美人なのにはビックリよ。
ラストのクレジットの配役名が伏字になってたのも驚き。実名を出せないのだろう。
CIA:8点
ホワイトハウス:3点
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