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2011年11月 2日 (水)

「元禄~その時、世界は? 第5回 二人の巨人~バッハと八橋検校」:ギャグのなかった奏楽堂

111102
藝大プロジェクト2011
会場:東京藝術大学奏楽堂
2011年10月30日

レクチャーとコンサートを組み合わせた「元禄」シリーズも今回が最終回。お題はバッハと「六段」でお馴染み八橋検校である。
といっても、皆川達夫のレクチャーもバッハのことは全く出て来なくて、もっぱら「『六段』キリシタン音楽説」のことが中心だった。

内容は、西洋音楽が日本に導入されたのは明治以降というのが定説だが、実はキリスト教と共に入ってきていたというのである。その証拠がいわゆる「サカラメンタ提要」や当時の祈祷書の載っている楽譜・歌詞、それに隠れキリシタンに数百年に渡り伝わってきた「おらしょ」(皆川先生がオリジナル曲はスペインのローカルな聖歌だと発見)であるが、実は4番目の証拠があったのだ!

それが「六段」=「クレド」説である。筝曲の代表的作品がグレゴリオ聖歌に由来するとはビックリだが、ここで皆川先生主催の中世音楽合唱団と藝大邦楽科の教授の実演で証明されたのであった。
曲の構造が似ているだけでなく、社会的背景とか、曲の成立過程など色々な要因でも関連するようだ。
まあ、モロに似ていて分かってしまったら当時は死罪になるわけで、実際に聞いてみて「な、なるほど……(+o+;)」と思えるぐらいだが。

レクチャーが終わってから皆川先生お得意のオヤヂギャグがなかったことに気付いた。もしかして、5分ぐらい遅れたんで(例の如く^_^;)最初にやっちゃったのかしらん。残念であ~る
ただ、皆川先生、あんなでかいホールでホワイトボードに字を書いても見えませんよ。だれか学生にパワポでやらせてくださいな(^o^;)

コンサートの部は前半、八橋検校の筝曲を3曲。後半はバッハの「音楽の捧げもの」のカノンの抜粋とブランデン4番であった。どうやらそれぞれの協奏曲風の構造の類似性を示したかったようだが、解説もなくてわりとそっけないものだった。
おまけに先にパンフの出演者紹介を眺めてたらチェンバロ担当以外は古楽科ではない。……ということはモダン演奏か や、やられた~(>_<)

カノンは主題の提示もなくて初心者には優しくない感じ。ブランデンはリコーダーの代わりにモダン・フルート二本で演奏だ。しかし、吹いているのが若い美人な女性二人だったんで、バッハ先生も20年ぐらい若返ってピカピカしてる印象だった。ソロを取ったヴァイオリニストは藝大の教授とのことだが、一昨日に見たE・オノフリ並みに飛び跳ねながら弾いていた。今は踊るのが流行なのか。

それから、お菓子の「八ツ橋」は由来が八橋検校で、あの形は橋ではなくて琴を模しているそうな。知らなかった また一つ賢くなりました(^_^)v
なお、来年は「幕末・維新」シリーズになるそうで、そうなると守備範囲外だから行くことはあるまい。


会場に行く途中、上野公園で地方からの修学旅行らしき中学生の団体が列をなして歩いているのに出くわした。彼らはずっと「こんにちは」を言いながら歩いていた。恐らく教師に「旅行先で人にあったら挨拶しましょう」と言われたのを守っているのだろう(なんと良い子たち)。
しかし、日曜の昼間の上野公園でそんなことをしたら五百回「こんにちは」を言っても足りないかもしれぬよ。

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長年にわたるミュンヒンガーのバッハ音楽研究の成果が、見事に表れており、バッハの音楽の真髄を極めた名演奏である。 [続きを読む]

受信: 2011年12月 6日 (火) 06時04分

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