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2011年11月20日 (日)

「ウィンターズ・ボーン」:タフでなくては生きていけない村の掟

111120
監督:デブラ・グラニック
出演:ジェニファー・ローレンス
米国2010年

米国のド田舎の寒村に住む一家の物語。風景は徹頭徹尾暗くて冷たい(冬の話だし)。また、他の感想でもよく引き合いに出されているが『プレシャス』『フローズン・リバー』と共通する点が大きい。「社会の底辺」と「女たちの絆」である。

主人公は17歳の少女。父親は所在不明、母親は病気で、弟と妹の世話は彼女がすべてやっている。母親だけでなく父親の役割までもこなしていることが描かれる。
おかげで、同じ年頃の若者が通っている高校にも行くことができない。収入がなくて家畜にエサをやる金もないのだ。

さらに追い打ちをかけるように、保釈中の父親が姿をくらましたことが判明。期日に出頭しないと、保釈金を払うことになりその抵当に家と土地が入っていたのだった(!o!)
なんとしても父親を探し出さねば(~_~;)と必死になるが……。

親類や村人は彼女を助けるどころか、「余計なことを詮索するんじゃねえ」モードである。荒涼とした村の中をグルグル回るうちに果たして父親を見つけられるのか。

このように物語はハードボイルド・ミステリの形式を取っている。探偵役は「卑しき街の騎士」ならぬ「貧しい村の娘っ子」だ。従って、謎解きの謎自体よりもその過程で探偵の前に出没する村の情景や人々の描写に重きがかかっている。
とはいえ、初めそっけなかった叔父がどうして後半で態度を変えたのか、理由が全く示されてないのは不満であ~る。

結局、ヒロイン助けるのは村の女たちだ。それはシスターフッドなどとは到底呼べないほどのささいなものだが。
終盤でようやくタイトルの意味が判明。なるほどそういう事だったのね……(-_-;)
結末は前向きで明るさを感じさせるものだが、よくよく考えると何一つ状況は変わっていないのに驚く。それだけ元々の状態が暗すぎということか

途中で、彼女が金を得るために軍隊へ入ろうとする場面が出てくるが、こういう若いモンが中東へ行かされてるのか。暗澹たる気分になってしまう。

昨年のアカデミー賞で主役のジェニファー・ローレンスと叔父役のジョン・ホークス(助演)がノミネート。頷けるところだろう。もっとも、他の村の女たちやヒロインの幼なじみ役もグッジョブである。
ローレンスは『あの日、欲望の大地で』『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(本国の公開はこちらの方が後か?)で注目されている若手。今後も期待だ。

ところで、この時に某日本映画の予告をやってたのだが、その中で若い女優が「正統作者」とセリフを喋っていた。正統作者……(?_?)はて、なんじゃろと疑問に思った次の瞬間、「性倒錯者」のことだと思い至ったのだった。
なんとかしてくれい(T_T)


陰鬱度:9点
ハードボイルド度:8点


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