「リリウム・オリエンタリス~東地中海に咲く百合」:音楽による中世期のユーロ圏
北とぴあ国際音楽祭2011 参加作品
音楽監督:守谷敦
会場:北とぴあ つつじホール
2011年11月3日
久々にディープな中世音楽を聴いた\(◎o◎)/!というコンサートだった。
キプロス写本に収められた1400年代初頭のキプロス島の音楽はその数200曲--その中の多声ミサ曲を演奏するという内容である。
当時のキプロス島はフランス文化圏に属していたということで、音楽的には少し前の時代のマショーの影響が大きいようだ。
音楽監督兼リコーダー(指揮もやってた)の守谷敦という人は、まだ若くて学生風だがイタリアの方で活動しているらしい。客席では、この日の夜にはイタリアへ戻る、なんて話が聞こえてきた。
他の二人の楽器隊はフィーデルとオルガネット(ちっこくて手でふいごを動かすオルガン)でアントネッロ系の奏者だった。
歌手は各声部一人ずつで4人である。
「ほとんどの楽曲が現在ヨーロッパ内でもほとんど演奏されることなく、日本では初演であろう」というだけあって、とっつきやすいプログラムではない。また、配布の解説もきょうびのコンサートでは珍しいというぐらい難解である。しかも途中休憩なし
なんだか中世音楽の実演研究発表会のおもむきだ。まあ、だからこそ「国際音楽祭」の看板に相応しい公演かも知れない。
なわけで、周囲には途中沈没している客ちらほら。私も沈没しかけたです(^^ゞ
延々とフレーズを繰り返していく当時の宗教曲は、後世(バロック期でも)の作品とは違って、近代的な感情移入を完全に阻むものである。むしろ現代音楽や民族音楽のフィールドに近いものであろう。
そういうことをよ~く確認できた公演だった。
歌手の皆さんは喉を酷使してご苦労さん。こういう音楽こそ、ある水準以上の技量がないと歌えないのをヒシと感じた。だって、アクションや感情発露や声量ではごまかせないもんねえ
特にアルトの横町あゆみが安定した印象。ソプラノの名倉亜矢子は翌日のジョングルール・ボン・ミュジシャンのコンサートにも出てたはずなので、連チャンで大変です。
男声陣は長尾譲と春日直人だった。
毎年、北とぴあ音楽祭で感じることだが、チケットが入手しにくくて困る。参加公演でも大手のチケット販売で買えるようにして下せえよ(-"-)
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