『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります』刊行記念トークイベント上野千鶴子×古市憲寿「私が生きた時代 キミが生きる時代」
会場:池袋コミュニティ・カレッジ
2011年12月1日
*内容は省略したり記憶違いの所があったりするので、そこんとこご留意下せえ。
今、売出し中&人気沸騰中の若手社会学者の古市憲寿が上野千鶴子とタッグを組んで出した『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります』(光文社新書)の刊行記念として、二人でトークイベントをやった。
登場した上野千鶴子は風邪を引いてるらしく、紺にベージュのドット柄というマスク(そんなマスクあるんか)をしていた。一方、26歳東大院生の古市憲寿は外見も喋り方も今どきのフツーの若者風であった。
冒頭は、少し前に紀伊国屋ホールで行なわれた同様のトークイベントで古市クンが「どーしたらいいんでしょうねえ」を連発したために、質疑応答の最後に中高年の女性から「東大の学費には税金が投入されているのに、あんたみたいなのに使われるのはもったいない。税金返せ!」と爆弾発言があった--というエピソードから始まった。ということで、この日は「どーしたらいいんでしょうねえ」は使用禁止となった。
そして、遂に出た~~ッ「現代思想 上野千鶴子特集」がまるで「追悼集」みたいで、本当に死んだらもっと悪口を書かれまくるに違いないけど、死んじゃったらその悪口を読めないから残念とか、一方、古市君の新刊『絶望の国の幸福な若者たち』のオビの小熊英二からの推薦文がエラそうな上から目線だとか、上野女史がフリーターを自称しようとしたら政府の統計ではフリーターは35歳までで、じゃあわたしゃ一体何なんだ--という調子で話が続いた。
他には世代論、格差論、幸福観そして女と若者は共闘できるはずなのだがとか、大阪のダブル選挙の結果は若者のリセット願望かなどの話題が出た。
全体的には上野女史の鋭いツッコミを古市クンがフニャフニャとかわす、みたいな印象であったが、残念ながら風邪のせいでいつもの芸術的なツッコミが見られなかったのが残念であ~る。
私は最初古市クンの頼りなさげな話を聞いていて、紀伊国屋ホールで怒った人がいたというのも頷けると思っていたのだが、質疑応答コーナーの最初の人が「甘えて猛獣を馴らしている」と指摘したのを聞いて、「なるほど、そうだったのか」と納得してしまった。「甘え」で上野千鶴子を馴らすとは悪賢いのう
上野女史は発言者の指摘を誉めつつ「あたしゃ猛獣か。しかしその手が使えるのは30歳までだからね」と釘を刺したのであった。
会場を見ると客は若い人(特に男性)が多く、どうやら古市クンの実物がどんなもんか確認しに来た人も多かったもよう。彼はネットでの発言も積極的にしているらしく、ブログやツイッターでの発言に関しての質問が結構あった。
どころか、古市政治家待望論みたいのまでネットには出現しているらしいのには驚き。彼は今どきの若いモンのヒーローだったのか(!o!)
トークは色々と興味深く笑えて、上野千鶴子が終盤で語っていたように質問者のレベルも高く、千円分の元は充分に取れた内容だった。
それにしても、この日のタイトルの「私が生きた時代」を見ながら、彼女が「私も過去の人間なのねえ」とぼやいていたのが印象的であった。
さて、肝心の『上野先生、勝手に死なれちゃ困ります』であるが、サブタイトルに「僕らの介護不安に答えてください」とあるように、団塊世代を親に持つ古市クンがいつか迫りくる「親の介護」問題について教えを乞うという内容である。当然、若者世代を中心に読まれることを念頭にしているのだろう。
介護保険の詳しい内容といった具体的な問題から、弱者同士(女、若者、高齢者など)が争うことなく共闘して、泥船に共に乗ったままにぶくぶく沈んでいかない方法を模索するのである。
読んでてオッ(・o・)と思ったのは、年金はそもそも昔の子どもから親への仕送りの代わりであるという上野千鶴子の指摘。なるほど、だから下の世代が上を支えるようになっているわけね。私も就職して独立してからは親に仕送りしたことはありませぬ。こりゃ年金のおかげだわい。
それにしても弱者同士が共闘する時代が来るのであろうか。やっぱり、古市クンに期待するしかないのかニャ>^_^< ちと頼りないけど。
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