フライブルクバロック・バロック・オーケストラ:音の乾布摩擦、効く~っ
会場:東京オペラシティ コンサートホール
2012年1月11日
FBOはなんと初来日とのことである。演目はCDを出したばかりとはいえ、バッハの「管弦楽組曲」という定番すぎるほどの定番。さて、どんなもんかと行ってみた。
これまで聞いたことがある彼らの録音は、かなり以前に出したパーセルや、バッハとヴィヴァルディが半々入ったディスクなど古いもの数枚しかない。
プログラムを買ってみて、スケジュールを見ると11日から15日まで一日休みが入るだけで四か所を回るという強行軍。東京は三鷹でもやることになっているものの、この日のオペラシティはほぼ満員状態だった。
さらにプログラムに紙が挟まっていて、三人のオーボエ奏者のうち一人が降板で、代わりにトーマス・メラナーが入ると書いてあるではないか(!o!)
はて、どこかで聞いた名前だなあと思い出してみれば、なんと秋にやった公演で宇治川朝政くんを感涙にむせさせた、あの若手オーボエ奏者ではありませぬか
ここで、ドッとなにげに得した感が押し寄せたのは言うまでもない。
一同はステージ上に現れると調弦なしにイッキに演奏開始。3番→2番→休憩→1番→4番と進めた。
弦の配置が第2ヴァイオリン群だけ右端に置くという形だったので、ステレオ効果(?)も満点だった。ティンパニやトランペットが突出してやかましく聞こえるということもなく、全体と融和しているのに感心した。
驚いたのは2番。大半の演奏者が引っ込んで、コンマスのゴルツ他6人という小編成でやった。そこで、ロン毛の白髪をポニーにしたおぢさん(カール・カイザー)が吹くトラヴェルソが、これでもかこれでもかというほどに装飾音がてんこ盛り状態だったのである。
いやー、生でこの曲を聞いたのはそれほどないが、録音も含めてこんなに装飾音入れまくった演奏は聞いたことがない。こんなにてんこ盛りにして脱線しませんか~(>O<)というほど。
曲が終わった後は、客席から「すげー('◇')」という驚きの声が漏れ聞こえたのであった。バッハ先生の時代もこんな風にコロコロと吹いたトラヴェルソの名手がいたのであろうか--なんて思っちまいましたよ。
メラナー君登場は、後半の1番から。オーボエとファゴットの木管隊が弦と渡り合うように活躍する曲である。そして全員登場(トラヴェルソを除く)する4番と聞いてきて感じたのは、彼らの弦の音は流麗でも滑らかでもなく、むしろゴワゴワした感触であるということだ。それなのになぜか心地よい。
あたかも寒い日に使い古したタオルで乾布摩擦をしまくった後に、皮膚がヒリヒリして血行が良くなりジワーッとあったまってくる気分だった。
最後は会場全体拍手喝采となった。満足であ~る。新年最初のライヴがこんなで、幸先がいいやだ。アンコールは「復活祭オラトリオ」のシンフォニア。
12月のオランダ・バッハ協会に続き、外タレ(?)のさすがのパワーを感じさせたコンサートだった。
唯一の不満は売ってたプログラム冊子。CDブックレットを訳しただけという代物でナンだが、その日本語訳文もなんだかわけが分からん。これだったら、オペラシティがくれた冊子(主催公演の時はいつも無料配布)の方がよほど内容的にマシであった。
500円損したぞ(-"-)
【関連リンク】
《わればかりかく思ふにや》
この間違いはスゴイ。信じて行ったら、既に半分終わってたりして……(ーー;)
札幌公演は二千人のキャパの所に客一千人だったというウワサである。
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コメント
乾布摩擦とは、どういうことかと思ったら、言い得て妙!です。
年末にベルギーで聴いたコンサート(バッハとゼレンカ)でも、第二ヴァイオリンが右側配置でした。小編成で特に指揮者を立てない場合、奏者同士の親密そうな目配せのやりとりなどで緻密なアンサンブルを作り出すのにも感心しました。
キワモノっぽい外タレの方が結構来日してるのかも。。。正統派外タレの演奏は一味違って、滋味で元気つけてくれますよね。
投稿: レイネ | 2012年1月23日 (月) 08時41分
キワモノっぽい外タレとは……例えば最近、毎年のように来ているレ●ド・プ●●ストですか(@∀@)
FBOは他の曲もぜひ聞いてみたいですねえ。パーセルあたりとか。
投稿: さわやか革命 | 2012年1月26日 (木) 06時28分