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2012年1月 9日 (月)

歌劇「オルフェオ」ミラノ・スカラ座:冥府は暗く地上もまた暗い

演出:ロバート・ウィルソン
指揮:リナルド・アレッサンドリーニ
演奏:ミラノ・スカラ座管弦楽団&コンチェルト・イタリアーノ
2009年9月上演
*TV放映

オペラの殿堂、ミラノ・スカラ座--私にとっては完全守備範囲外 一生縁はあるめえと思っていたが、年末のNHK-BSで特集放送があって、その中にモンテヴェルディの「オルフェオ」が入っているではないか(!o!)
もちろん録画して見てみましたよ。

舞台装置は極めて簡素、なんだかマグリットみたいなシルエットの森があるなあ……と思ったら、他の人の感想でアンリ・ルソーの絵との類似が指摘されていて、なるほどと納得した。冒頭、サルやらウサギやら動物が点在しているのも確かにそれっぽい。

登場人物は上演当時の宮廷人風の衣装。主要なキャラクターの顔は完全白塗りで、動作は手の動きぐらいしかなく、全く近代的な感情の表出は意図していないことが分かる。
ただ、手の動きはバロック・ジェスチャーではなくパントマイム風だった。
幽玄な雰囲気で、全体的に静止したポーズが多く、衣装のせいもあって有元利夫のテンペラ画を思い起こさせた(もっとも有元利夫のネタ元はルネサンス絵画だが)。
他には鳥の仮装をしたダンサーが地上の場面で出没するぐらい。

で、退屈かというとそういう訳ではない。神話を題材としたこの物語にピッタリと合った様式で、非常に面白かった。
それにしても、演出が簡素なだけにこの作品がほとんどオルフェオ出ずっぱりなのだなーというのを実感した。他の人物はカロンテも冥府の王も一シーンだけ出るだけだし、エウリディーチェだって登場早々に死んじゃって後半にちょこっと出てくるだけだ。
主人公のみが延々歌ってるという印象。タイトル・ロールのゲオルク・ニール(ニグル?)はごくろうさんであ~る(^^)//"""

オペラ関係はほとんど無知なので、歌手で知っていたのはエウリディーチェ役のロベルタ・インヴェルニッツィしかいない。それも、クレジットが出なければ顏がわからなかった(分厚い白塗りなので)。
合唱がもうちょっとマドリガーレ風な感じだったらよかったかも。

指揮はアレッサンドリーニで、通奏低音はコンチェルト・イタリアーノ担当。他はミラノ・スカラ座管弦楽団とクレジットされていたが、どう考えてもコルネット部隊は外から呼んできたものだろう。
いずれにしろ演奏には文句なかった。
鳥のダンサーはカーテンコールで仮面を取ったら若くてカッコエエおにーちゃんであったよ(どーでもいいことだけど)。

またNHKさんにはバロックオペラの放送をお願いしたい。

【関連リンク】
《Numero Cinque》
公演を実際に見た人の感想。やはりモンテヴェルディでは客は呼べんのかのう……。

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