「サラの鍵」:鍵をかけようとかけまいと
監督:ジル・パケ=ブランネール
出演:クリスティン・スコット・トーマス
フランス2010年
『黄色い星の子供たち』と同様、ナチス占領下のパリで起こったユダヤ人一斉検挙事件を取り上げた作品である。同じ実話に基づいているのか、登場するユダヤ人の子ども(こちらは少女)の運命は非常に似通っている。
何日も競輪場に閉じ込められた挙句、両親と引き離され、収容所から逃走し、途中で住人に助けられる。
違うのは、こちらの少女は幼い弟を助けようと自宅に残してきてしまったことだ。少女は助けに戻らねばと焦るのだった。
さらに、現在の女性ジャーナリストが過去に起こった事件を探るという形を取っているのも異なる。それによって過去の事件に対して今の人間は何をなすべきかという視点も入ってくる。
ヒロインは夫の家族から余計なことをほじくり返す厄介者扱いされてしまう。彼女がフランス人ではなく米国出身だという立場が微妙に反映されている。
それにしても驚くのは、自らの危険を顧みずユダヤ人の逃走を助ける人々がいたことである。私だったらそんな勇気は到底ない。それに今の日本では、正義を成すことよりも、和を乱す行為として指弾されることだろう。
エイダン・クインが終盤で出番は少ないが、微妙な心理の変化を見せて極めて印象深い演技をしていた。
客観点:8点
主観点:6点
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