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2012年2月18日 (土)

「ミラノ、愛に生きる」:今様王女メディア

120218
監督:ルカ・グァダニーノ
出演:ティルダ・スウィントン
イタリア2009年

旧家を舞台にしているので、ヴィスコンティ作品が引き合いに出されているが、それは単なる背景に使われているに過ぎない。(スタイルもテーマも違うし……)
これは抑圧的な生活を続けてきた中年女性が「母」や「妻」の役割を捨てて、自立して生きることを選ぶという話である。

ミラノの伝統ある名家の嫁であるヒロインは長男の親友である、料理人の若者と知り合って深い仲に。一方、一家の主人であった祖父から父と共に長男は家業の後継者に指名されるが、一人合理化に反対する。

モノクロの雪景色に始まる映像スタイルは斬新、ジョン・アダムスの音楽も面白い(一部、使い方が突拍子もない所があるが……)。
ただ、突然ヒチコックの引用が出てきたりするのは「」である。

一方、脚本や設定はかなり不可解でガタガタのように思えた。
ヒロインはロシア人で長男とだけロシア語で話すという親密な関係を築いているが、そもそもそんな旧家のヨメにどうしてロシア人がなれたのかは謎だ。貴族の出という訳でもなさそうだし。
それが原因でいびられているという様子もない。イヤミな姑だったら「あら、息子と違って孫はちゃんとイタリア人の嫁を選んで嬉しいわ~」ぐらい言いそうだが。

また、終盤の彼女の言動は正直言って人間性を疑わせるものだ。見ていて納得いかなかったし、共感もできなかった。強いて理解しようとすれば、彼女は現代版の王女メディアであろうとした、としかいえないだろう。もっともダンナは浮気してる様子はないが。

この不可解な物語に説得力を与えているのは、ひとえにヒロインを演じているのがティルダ・スウィントンだからである。彼女でなかったらこの映画の価値は85パーセント減と断言しよう。
名家の奥様風の高級ファッションもよれたスウェットが似合うのも彼女だからだ。ヌードも見せているが、とても五十過ぎとは思えない。憧れてしまう~(*^^*) ひとえに彼女のための作品といってよい そういや、「アエラ」誌表紙のすっぴんメイクのドアップもさすがのものだった

そのせいかどうか、登場する男性陣が全員サエないのはどうしたことか。溺愛する息子も、肝心の恋人シェフだって……(?_?) 今はこういうのが流行りなのか? それとも実は男はどーでもいいのだろうか。
男のわき毛のアップが出てきたのには目が点(・o・)

娘役の女優さんはどこかで見たなーと思ってたら『やがて来たる者へ』に出てた人だった。


ティルダ・スウィントン:10点
作品:5点


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コメント

この邦題は、ミラネーゼ・マダムとかミラノ・ファッションが好きそうな女性を観客に取り込もうという魂胆で付けたのか、なんだかなあ、と脱力させてしまう例の典型です。
ティルダが作りたかった映画を本人が主演してるんだから、ティルダ度満点ですね!でも、本当に浮気の相手役が冴えなさすぎで、がっくり。同年代の女としては、そこのところが納得できない!
娘役のアルバちゃんも素晴らしく印象的なので、彼女が出てる映画を追っかけちゃいました。彼女主演の『素数たちの孤独』は、2010年の暮に見たんですが、まだ日本公開されてないのかしら?後者は個人的に2010年のベスト映画です。原題Io sono l'amore 英題I am love 邦題『ミラノ、愛に生きる』も観た直後はかなりインパクトありましたが、アルバちゃんの勝ち。

投稿: レイネ | 2012年2月18日 (土) 19時20分

恋人の男だけでなく、ダンナも長男も今一つパッとしなくて残念無念な感じであります。
男はこの場合、ジャンピング・ボードに過ぎなかったのでしょうか?

『素数たちの孤独』は東京国際映画祭でやったきりのようです。その後ソフトも出てないし--。最近は数年たってから突然公開というパターンもあるので油断できません。

投稿: さやか革命 | 2012年2月19日 (日) 17時10分

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