「ヒューゴの不思議な発明」(2D字幕版):不思議も発明もなく
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ベン・キングズレー
米国2011年
アカデミー賞授章式で司会のビリー・クリスタルから何度も「初めて暴力も流血シーンもない映画を作った」とジョークのネタにされた、スコセッシの新作(しかも3D)。技術系の賞を多数ゲットしたのはメデタイッ\(^o^)/ということで見てきた。
しかし、結果は……(-"-)
*映画への愛がない人
*細かいことが気になる人
このどちらかに当てはまる人は、絶対に見てはいけない
もう一つの敗因は2D版で見てしまったことだろう。3Dメガネを普段のメガネの上にかけるのはつらいし、吹替えじゃなくて字幕で見たかったし……。
だが、冒頭のセリフがなく駅の構内をウネウネと進んでいく映像は3Dでないと効果半減。他にも時計や自動人形の機構もそうなんだろうなあ。--などと想像すると無念さが増すのであった。
気を取り直してストーリーやテーマの方へ視点を移すと、人物の発言や態度が一貫してなくて何を考えているのかよく分からない。辻褄が合わない部分もあるし、やるべき描写がすっ飛ばされているので唐突に見える部分もある。
一つ気になりだすと雪だるま式に不可解な点が増えてくる。例えば、メリエスの作品はフィルムが一本、映画アカデミー(だっけ?)に残されているだけなのに、なんで主人公の少年は父親と映画館で見られたのか?--とか。
それから、主人公の少年は長いこと駅で暮らしているのに外から戻ってくる度にボーッとして、ハッと気付くと目の前に公安官が(!o!)というパターンが繰り返されてイライラする。お前には学習能力というものがないんかいっ(`´メ)
それと子役二人(エイサ・バターフィールド&クロエ・グレース・モレッツ)の演技が小賢し過ぎて、見ているうちに段々鼻についてくるのもマイナスポイントだ。
正直に言おう。私は映画を愛していない。メリエスがどうだろうと構いはしないのだ。一方で「構う」人々の心情を外部の人間に伝える努力をこの映画は欠いていると思う。「メリエスは素晴らしい」という価値観を事前に持っていない人間には「だから何なのよ」ということになる。アカデミー賞授賞式で、映画の歴史が懐古的に語られるコーナーのようなぬるさしか感じられなかった。
それにしても、今年の受賞数を二分した二つの作品(もう一つは『アーティスト』)が、共にパリが舞台で、サイレント時代の古い映画の話で、しかも犬が活躍する--ってのは何かの偶然かね?
子役二人は同い年女子と男子じゃ全然成長度が違うのね~(^_^;)ビックリ。他にはクリストファー・リーが特出。
邦題が「ヒューゴは何も発明していないのになんなんだ」という意見多数。だが、その真実は……下記リンクを参照のこと。
2D映像度:6点
納得度:5点
【関連リンク】
《映画的・絵画的・音楽的》
なるほど原作ではヒューゴは確かに発明をしているわけですな。
この原作は面白そう。見てみたい。
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